わいはまいね 能面三昧

写真付きで趣味の能面製作を紹介するブログ

悪尉べし見3 その2

2019年07月27日 | 能面

さて、紆余曲折があった「悪尉べし見(あくじょうべしみ)」だが、一応は順調に作業が進んでいる。この工程も、一般的なお面の作業と同様なので、決めている毎日の作業時間に実行しているところ。

上は16日だ。ほぼ全体像が見えるから、作業工程もまあ半分行ったかな・・あたり。ここまでおおむね2週間程度の作業時間になっている。これでも「早い」と言えそうな出来具合だ。もちろん、裏彫りもまじめに行っているので、単に日数だけの判断では何とも言えないものの、早いことには違いない。

上の写真は23日。前の写真とは一週間ほども経っており、大きく変化しているハズと考えそうだが、実はそうではない。このあたりまでになると大胆にノミを使う作業工程ではなく、彫刻刀を使った細かい作業が中心になる。従ってお面の一部を集中的に彫ることになり、時間もかかっている割には、どうしても大きな変化が出てこないのだ。

この写真の場合は、耳の形を整えて行く作業であり、当初は耳一個につき、1日の作業時間を考えていた。耳が2個だから2日分の作業工程だが、以外と早くに作業が進み、この部分を1日の作業時間(約2時間)で終えたところ。ただ、ここまできれいに彫り上げているから、もう少し時間がかかっていたかも知れないが・・・

さて、今日は27日。表面を粗めの紙やすりで磨いて全体の仕上がり具合を見る過程だ。ここまで来れば全体的な仕上がりの程度・割合は8割ほどであろう。もちろん、単にノミ跡を消して、形の仕上がりを見やすくしているだけなので、これからも細かい修正は続いていくことになる。

さて、裏側はどうなっている?

すでに数回の裏彫りを実施しているから、ほぼ出来上がっていると行っても良い。また、このお面は口の部分と裏側を貫通させる必要がなく、その、口の部分では「彫りやすい」部類に入る。ただ、このような「口の部分と裏側を貫通させる必要がない」お面、いわゆる口を閉じたお面は、「大べし見」や「武悪(ぶあく)」など、ごく限られたお面しかないから、まあ喜んでばかりはいられないが。

上は裏側の出来具合。ほぼ最終段階であり、このまま色を塗っても良いほどだ。もちろん、もう少し表面との厚さなどを考慮して、若干の修正はありそうだ。

今の段階から判断すれば、素彫りの完成は今月中にも発表が可能。ただ、あえて急いで完成を発表する必要もないから、8月7日に予定されている能面教室あたりまでを作業期間としても良いかな・・・

 

 

 

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悪尉べし見3 その1

2019年07月13日 | 能面

もう次の課題に入っている。

今月9日に、3個を同時に彩色し終えたのなら、せめて数日は休んで次の課題に入っても良さそうなものだが、なぜか次期作業が進んでいるところだ。これも、別に急いでする必要もないことは従来通り。ただ、彩色の工程が終わった後の日課に若干のヒマもあって、「次なる課題」を考えていたところ、材料は手元にあるし、「1個しか彫っていなかったお面」を見つけたという次第。なら、ぼーっとしているぐらいなら、ちょっとでも作業を進めようかな?・・・程度の認識である。

ところが、実はこれは間違っていたようだ。悪尉べし見は「1個しか彫っていない」と思っていたところ、どうもすでに2個を彫っていた・・らしい。

記録によれば、悪尉べし見の作業経過の写真は、2004/07/22から始まって2004/09/03で終わっている、髭も付けており、いわゆる「素彫りの完成」だ。これが1個目だと思っていた。それが下の写真。これの日付が2004/09/03となっていた。

ところで、その1個目と思われていた「素彫り」は、後に彩色が施されており、その写真も残っていた。それが下の写真で、日付がなんと2008/10/09になっているではないか。

ただ、上の写真では、よく見ると朱色の部分が色あせており、素彫りが終わった後、すぐに彩色をして写真を撮ったわけでもない気配が見られる。恐らく、素彫りが終わった2004/09/03から数年後に彩色が施され、更に数年経ったあたりに撮られた写真だろう。その日付が2008/10/09ということか。結局は、素彫りから4年後の写真とも言えるだろう。

で、次の写真だ。

上は、写真の情報から2006/01/19に撮られたものだ。ただ、このお面はペイントで塗られている。この状況は、現在のお面の先生から教わった「胡粉や膠(にかわを)使った本格的な彩色」ではなく、自分で勝手にペイントを購入して塗ったもの。そもそも、能面教室初代のお面の先生は、彩色の技術は持っていなかったので、我々生徒も彩色はやっていない。そのため「素彫りの段階で完成」としていた時期でもある。仮にそのお面に色を付けようと考えたなら、自分の判断でペイントを買ってきて色を付ける・・という手段しかなかった。それを実行したのが3枚目の写真だと考える。

ここで改めて2枚目の写真を見てみよう。この彩色手順は、今のお面の先生から教わった「胡粉や膠(にかわを)使った本格的な彩色」である。

彩色のなかった初代の先生から、彩色も含めた現在の先生に交代したのはずいぶん前だ。従って、写真の時期は前後するのだが、どうも3枚目の写真は、初代の先生の時期に作成された1個目のお面であり、そして1枚目と2枚目の写真が2個目のお面になる。このことから、2004/07/22から作業を始め、2004/09/03に素彫りが終わったお面は2個目と考えてもよさそうだ。当然として、1個目はそれ以前にすでに彫っていたはずだから、3枚目の写真は、その日付こそ2006/01/19になってはいるものの、実は、2004/07/22以前に彫られた1個目の「悪尉べし見」と言わざるを得ない。ただ、その時期・作業期間が定かではないのがちょっと残念。

 

さて、前置きが長くなったが、今回彫り始めた「悪尉べし見」は、結局は3個目と言う事で良いらしい。で、早速その過程を紹介することにする。

下は今月4日の写真だ。型紙に合わせて四隅を切ったところ。この日から作業開始となる。この日付けを見れば、大黒天などの彩色が終る前に、すでに次の課題の木工作業を始めていることになる。

下は7日。これも大黒天3などの彩色が完了する前の空いた時間を活用して、周囲をきれいにのこぎりで切り取り、更には高さ(厚さ)が足りなかったことから、鼻の部分に余材を足して必要な厚さを確保したところ。今回の材料は、厚さが85mmほどしかなく、このお面に必要な100mmには満たないから、余った材料を貼り合わせて厚さを確保するテクニックを使う事になった。これもやむを得ないか。最近は厚さ100mm程度の材料がなかなか手に入らない気配らしい。うーん。残念。

下は10日だ。顔の表面を丸く削り、また、顔の表面には型紙から表情を転写する。こうすることで彫り進む目安を付けていく。

下は12日。目の一部を彫り、顔全体に「あたり」を付ける。更には大まかな鼻の形を作り、頬の部分を決めるために、口元の形を整えていくと、こうなるのだ。これで、かなりの形が見えてくるから、まずは粗彫りの第一段階、いやすでに第2段階あたりかも知れない。もちろん、裏彫りも2度やっているから材料も軽くなり、色入と具合がよろしい。

 

今回の本格的な作業開始は彩色が終わった9日以降だが、その数日前からは事前の準備作業を行っており、今回もかなり早めの作業工程になりそうな気がする。いや、「気がする」のではなく、恐らく、実際にも早めに素彫りが終わるだろう。ただ、予定としてはせめて今月いっぱい作業時間をかけたいから、あまりにも早めに素彫りが終わってしまうのは避けたいところだ。

 

 

 

 

 

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大黒天3 その2

2019年07月10日 | 能面

大黒天の素彫りは、6月に終わっている。で、7月に入ってから「彩色」に入る予定だったこともあり、素彫りのままだった「小町老女」2個を含めて、計画通りに作業は進んでいるところだ。

 

上は4日。裏側には黒と茶色の工芸漆を混ぜて色を作り、それを塗った状態だ。今回は久しぶりに「との粉」を使った。これは、前に使っていた「との粉」を使い切った後に補充をせず、素彫りの裏側に直接、色を塗っていた。その場合、色が木肌にしみこんでしまい、色もざらざらのままになってきれいに色が乗らない状態になる。そのため、きれいな裏の色が出来ずに、汚いまま「これで完成」としていた。いわゆる「手抜き」のまま、作業を終えていたという状態である。

で、今回はその「汚いお面の裏側」を解消するために、砥の粉を買ってきて使ったという具合。その結果は上の写真の通り、つやのある裏塗りを終えたという状態。まあ、これが手順としては正正しい方法なのだが、元の手順に戻ったというあたりだろう。これでも3回塗りだ。

上は6日。裏塗りが終わったところで、表面の彩色に入る。今回は、いずれも肌色に近づけて同じ色を使ったが、これで十分だろう。大黒の他の色は、余っていた色を利用して「余った色の活用」の精神を継続している。これも3度塗りだ。

で、これは完成品だ。9日に撮った写真だが、前の写真から見ても数日がかかっている。これも手間のかかる彩色なので、やむを得ないことだろう。無理をしないで焦らず、手間を惜しまず時間を掛けて作業を行っているし、3個同時の作業だから、まあこんなものだろう。

で、「小町老女」はどうしたと言えば、下の写真の通りだ。

同じく9日に完成している。2個を作っていたはずなので、その姿は下の写真の通り。

 

というところで、今回の3個のお面は完成したところを紹介した。

 

次のお面は「大黒天」だ。これは次の機会に紹介することにしよう。

 

 

 

 

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