わいはまいね 能面三昧

写真付きで趣味の能面製作を紹介するブログ

曲見2 その1

2019年09月26日 | 能面

前回にも紹介した「曲見(しゃくみ)」の作業がいくらか進んでいるので、紹介します。

このお面は、去年の12月頃に一個目を彫っていたもので、今回は2個目になります。通常は続けて2個目を彫っていますけど、前回は2個目を保留していました。理由は「高齢者の女面は彫りたくない」事だったのですが、その後に能面教室の課題で「小町老女」という、曲見よりももっと高齢の女面を彫ることになり、しかもそれを2個続けて彫った事実ががあります。従って、私の持論が崩れた事もあり、今回はまだ一年も経たずに曲見を彫ることになりました。もっとも、それ以外にも、たまたま手に入れた材料が女面の寸法であり、ま、やむを得ない現実もあったりして。。。

さて、参考にした写真は下の通り。中年女性と言えそうですから、私の基準よりは若い女性です。

これを元に、私が彫ったのが下の写真。写真の日付は今年の「元旦」ですが、もちろん彫ったのは12月でしょう。

さて、作業開始です。下は23日の写真ですが、材料に図面を乗っけているだけですね。

下は同じ日です。ただ、顔の輪郭を切り取り、表面の凹凸の一部を切っていったところ、何やら「節(ふし)」が表面の出てきました。もちろん、最初から節はあったのが分かっていましたけど、「うまい具合に切り取ることが可能」と判断して、位置を決めていましたね。しかし、妙な方向に節(ふし)が発達しており、結局は頭頂部に出現したという具合です。これは具合が悪い!!

さて、その節(ふし)の処置について、若干の説明をします。

上は拡大した節穴です。周囲をきれいに切り取って、ここに別途、添え木をして埋めることにします。

上は、顔の輪郭を切り取った余りの材料を活用し、節穴に合わせて埋め込みます。周囲には鋸くずとボンドを混ぜた「補修材」を利用して隙間を埋めていきます。ただ、節穴と詰め込んだ材料の間には隙間が出来ており、そこへの補修材もきっちりと入らないので、いくらかの隙間が出来た気配。

さて、一日が経って乾燥したあたりに、余分な詰め物を切り取って周囲になじませていきます。

さらに手を加え、違和感がない程度に形を整えていきます。これらの作業を23日から25日にかけて行いました。ただ、細かく見たところ、他の部分にも割れ目があり、それらも含めて補修することになります。それが下の写真。

上は26日の作業結果です。額(ひたい)には数本の補修跡が見えます。また、湖の段階で全体的な女面の姿も見えてきていますから、ここまで来れば一安心かな。もちろん、裏彫りの第一段階も終了しており、材料も軽くなって作業効率がよろしい。

 

という具合で、23日から作業開始で、今日は26日。まだ3日目です。しかも普段はやっていない「節穴の埋め込み作業」にも余計な時間がかかっているにもかかわらず、すでに作業は5割程度の進み具合ですね。いくら、これまで多くの女面を彫った経験があるとは言え、今回もいやに早く進んでいることも事実ですけど。

 

というあたりで、「その1」は終わります。次は10月の更新になります。

 

 

 

 

 

 

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痩せ男2 その3

2019年09月22日 | 能面

いよいよ彩色が始まっている。いや、もう終わったところかな。

ということで、一応は完成したので紹介します。

上は裏側だが、今回はずいぶんと赤っぽい。普通はもっと黒っぽい色なのだが、これには理由があり、それは次の通り。

通常は赤と黒の工芸漆を混ぜて、適当な色を作っている。今回、この「工芸漆(赤)」が残り少なくなり、最後に全部を使う事にした。で、この色を他の器に全部取り出して、黒色を混ぜることで黒っぽい茶色になるはずだったのだが、赤色がちょっと多く残っていたらしく、量が若干多い気がした。これを「黒っぽい茶色」にするためには、ある程度の量の黒色を混ぜる必要がある。ところが、3個のお面の裏塗りには量が多くなり、せっかく作った色が余ってしまう。これでは、十分な黒色を使った場合、塗料が余り、捨てる事になりそう。これでは黒色がもったいない。

ということで、余分な黒色は使わずに、今回は若干赤っぽくなったが、少しだけ黒色を混ぜて、そのままの色で裏側を塗ることにした。これで余分な黒色を使う必要がなくなったものの、出来具合は美しくないところかな。ま、いいか。

上は表面の彩色だ。いずれも似たような色具合だったから、3個のお面にも同じ色を使ったところ。本来はそれぞれが微妙に違っているはずだが、いわゆる「めんどくさい」ので3個同時に同じ色を使って、そのまま塗ったという「手抜き」だ。

実はこれをまじめにするつもりなら、お面の一個に対して、それぞれに合った色を作る作業が必要だ。ただ、そうすると今回の場合でも3色が必要。また、一個につき、最低3回は色を塗り重ねているから、別々の色を作り、保存し、塗り重ねる作業も大変で、手間がかかる。という事から「簡略手順」が登場することになる。

で、上は目の中の部分や毛髪、眉毛、更には髭などを書き込んだところ。実はこれが大変で、かなりの日数がかかった。作業も細かいし慎重に時間を掛ける必要がある部分だ。ましてや、同じお面2個を同じように書き込むのは、実は大変なのだが。

さて、ああだこうだと文句を言いつつも、やっと完成になる。それが下の写真。

上は、歯の部分に金色を塗り、黒色で陰影を付ける。実はこのあと、古色を付けて完成になるのだが、その作業の前の段階でも立派に「完成品」といえよう。

上は2個の「痩せ男」が完成したところだ。左が1個目、右が2個目だ。この彩色が終わったのは22日だが、裏側の彩色を始めたのは13日だから、ほぼ一週間以上がかかったことになる。また、古色の作業は22日に実行したので、実際には彩色だけで9日間を要したことになる。

今回の場合は、完成予定が今月いっぱいなので、まだ期間的には余裕だ。

 

さて、同時に彩色をした「悪尉べし見」はどうしたのかと言えば、下の通り。これも23日に完成したので、これで一段落としょう。

上の「悪尉べし見」は、実は髭がない。今回も髭なしで完成したと報告したが、いずれは髭も作り、植え込む予定。ただ、気力と体力がいつまで持つのかも含めて、「髭付きの悪尉べし見」がいつになるかは不明なのです。

 

次の課題予定は「曲見(しゃくみ)2」である。去年の12月には一個目を彫っているから、恐らく今回も楽勝だろう。すでに材料を入手し、型紙を当てて下書きを済ませているところ。もしかして明日あたりから作業が始まるかも・・・・

いやいや・・・脚・腰・腕が痛いはずなのに、何を急いでいるのかな・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

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痩せ男2 その2

2019年09月13日 | 能面

痩せ男2号の、その2だ。最近のブログは「その2」あたりまで行くとほぼ出来上がっている傾向にある。というのも、ブログの書き換えが頻繁に実行されないまま毎日が過ぎ、作業も大詰めに入ってきたあたりでのブログ更新が恒常化されている。まあ、別にそういう意思で決めているわけではなく、単に「さぼり」的な現実・・というあたりかな。

もっとも、作業が早めに進んでいる実態もあるのだが、無理をしないようにして気を遣っていることも事実ですけどね。

ということで、今回も「その2」あたりで素彫りが完成した。その過程が下の写真である。

上は4日の結果。完成度は8割弱程度だろう。上の状態からは鼻の穴、口の周辺、目の中の仕上げが残っており、いわゆる完成間近の状態だ。もちろんこの付近からは裏彫りもきちんと仕上げる必要があり、それも行っている。

上は真鍮製眼球の製作を残して、ほぼ出来上がった状態。11日の姿だが、眼球の穴、口の中なども裏側まで通過しているので、この時期には裏彫りは完成している。

上は真鍮製の眼球を収めた姿であり、この時点で「素彫りの完成」である。12日だが、この日が一応の完成日という事になろう。だが、予定では、彩色の日程を入れて「今月いっぱいの完成予定」と決めていたので、まだ充分に日程に余裕がある。といっても、今日13日から彩色の作業を始めており、このまま順調に進めば、どうも来週中には「痩せ男2」を含む、3個のお面が完成することになる。

で、「痩せ男1」はどうしたかと言えば、下の写真の通り、彩色の待機中である。

こうしてみれば、「1」と「2」では表情に若干の差が見える。もちろん参考にした元の写真がそれぞれ違うから、仕上がりが違うのも当然。これも、あえて作者の違う原図を採用した結果だから、まあ、当然だろう。

 

今後の彩色は、上記の2個と、もう一つ「悪尉べし見」の3個を、同時に行っているところ。この作業は今日13日から開始中だ。

 

 

 

 

 

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痩せ男2 その1

2019年09月02日 | 能面

タイトルが「痩せ男2」だ。先月は「痩せ男1」だったのだが、その「1」の素彫りが終わった報告の前に、また、一ヶ月も経たずに「2」になった。これは何だろう。

実は、痩せ男1の素彫り完了予定は今月の4日だった。ところが、以外と早くに作業が進み、真鍮製の眼球も8月28日にはすでに装着が終わっていたのだ。従って、それ以降の作業はなく、時間が余ったという具合。そこで、手持ちの材料の有効活用を考えていたところ、「ま、もう一個、痩せ男を彫ってみるか」という考えにたどり着き、同じ課題に挑戦しているところ。

ただ、さすがに同じ資料を基にするのはつまらない・・ということから、前回保留した写真を参考に、「痩せ男2」を彫ることにした。

さて、参考にした写真は下の通り。当然、作者が違うので、仕上がり、出来具合も当然として違うのは、これまた当然か。

これを元に図面を自作して、早速、作業開始だ。

上は作業開始。8月29日だ。型紙に沿って材料を切り取っていく。いつもの手順だが、出来るだけ手間を省くために、努めて「電気ノコ」を使う。

表面の大まかな形を作る。30日の作業結果だが、まあ、こんなもの。ここでもノートパソコンに表示した一個目の作業写真を参考にして、「きょうはここまで行こう」という具合に、作業の進み具合を決めている。

上は31日。1日2時間でこのあたりまで進めていく。この段階は、お面の全体像が見えてくる程度に作業を進めて、翌日に備えるというあたりか。

さて、この痩せ男の特徴でもある「痩せこけた頬骨」を表現したところだ。もちろん一個目も大胆に深く彫ったのだが、2個目は更に深く、かつ大胆に掘り下げようと試みているところ。もちろん、参考写真を見てもかなり深く彫られており、それに習って気合いを入れた。9月1日だ。

で、今日は2日。当然、昨日よりも作業が進み、こめかみ部分や口の形を彫ってみたところが、下の写真。こうしてみれば、かなりの部分が出来上がっており、全体的に見ても7割程度の出来具合だろう。もちろん、裏彫りも第2段階程度に進んでいる。

 

いやはや、こうしてみれば大筋で出来上がっているようにも見える。もちろん、細部の作業はこれからだが、表情を見ても一個目とは若干違い、今回の参考写真に類似しているはず。

8月29日に作業が始まり、今日は9月2日。実質の作業期間は5日間だ。また、このお面は今月いっぱいを作業期間に考えているが、1個目の作業期間を見た場合、2個目もずいぶんと前倒しで素彫りが終わる気配もある。そうなれば、もしかして素彫りが終わっている3個の彩色を同時に進め、それらを含めた作業期間が今月いっぱい・・・になるかも。

 

 

 

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