もう3月だ。今回は2月一杯をかけて4個のお面の彩色を行った事で、このひと月は彫る作業は全く行ってこなかった。こんな事は初めて。
記憶に残っている分でも、ここ数年間は一ヶ月、全く「彫る」作業を行っていなかった事は無かったと思う。従って珍しい期間だったものの、肩の痛みは相変わらすあることで、それが鎮まった・・訳ではなかったのだが。
で、今回はまた「別当」の2個目を彫ることにした。これは、たまたま来年度の能面教室の課題が「若乙(わかおと)」であり、それ用の材料をすでに手に入れたことから、この材料を使って、ほかのお面を彫ってみようかな・・と言う話。
というのも、実は私はすでに「若乙」は2個彫っていた。従って来年度能面教室で、他の生徒と一緒に若乙を彫ってもしょうが無いという気持ちがあり、「なら、その材料を使って他のお面を彫ろう」と考えていたところ。今回はそれを実行することにした。
それでは、1個目の別当について若干の紹介を。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/18/3c/4e2e9a6c6687719a5abd6a80d14b5d8d.jpg)
上は「髭の材料と作業途中の図」である。材料は馬の毛だ。これを適当な束にして糸で縛り、ボンドを付けて根元を固める作業途中である。上はなんと2月11日の写真だから、その前から作業が始まっていたと言う事だろう。
右側は、糸で縛った部分にボンドを付け、根元を固定しているところ。左は固定部分を取り外し、根元を揃えた、いわゆる完成品である。この髭をなんと70数本も作った。これは大作業である。もちろん一日では終わらないから数日をかけていた。
これをお面に開けた穴に一本づつ植え込むのだ。これも大変。穴にきちんと収まる太さの髭を作るのが大変なのだ。髭の太さは目見当で束ねるから、穴に収まる保証はない。穴の直径がおよそ2.5mmだから、それに収まる毛の束もそれよりは細い必要がある。これを70数本だ。嫌になる気持ちも分かるだろう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/28/9e/9d8edc823767b4a3d9658f85c529cf49.jpg)
ま、文句を言ってもしょうが無いから作業を続けたが、やっと完成した毛を植え込んだのが上の写真。見た目はOkだろう。もっとも、目をこらして見る必要もないから、こんな程度でも「よく見える」。これは2月13日の写真だ。一応は完成したので、従ってそれ以降は能面の作業に手を出す事は中断をしていたことになる。
さて、2個目の作業を見てみよう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5a/64/b769d8bf9a3c2758c18688cc7b7aa1bf.jpg)
上は2月27日だ。今回は「表面をある程度彫ってから裏を彫る」のではなく、いきなり裏彫りの第一段階を行った。これは1個目の時に考えた手順であり、表面がでこぼこになった後に裏彫りで丸鋸を使った場合、作業が不安定になって危険である。これを防止するには、表面が平らな時に丸鋸を使って、ある程度の裏を彫ってしまう・・のだ。
今回はこれを実行したために、四角い材料のうちに裏部分の一部を切り取ったと言う具合である。ただ、この手順は、一歩間違うと切りすぎになる危険があり、せいぜい同じお面の作業で可能な手順であろう。ただ、作業が安定して切り取ったのは事実。もっとも、あとで「切りすぎた」と思うかも・・・
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3d/36/6ba9a000f674a3f01616ce7626368b1f.jpg)
今日は3月1日だから、昨日の時点で周囲を切り取って丸い形にしたところ。今後はこれから徐々に彫り進んでいく。出来れば今月いっぱいをかけて作業を進め、日常の環境に戻していこう。