わいはまいね 能面三昧

写真付きで趣味の能面製作を紹介するブログ

生成 その4

2012年08月28日 | 日記・エッセイ・コラム

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26日までの図。全体像もすっかり見えているが、まだ十分ではない。それでも何を彫っているのかが(知っている人は)見えてきていると思う。最初に書いたが、口の中の造作は細かいから、簡単に進めて行けば失敗する(らしい)。従って慎重に彫り進んでいくことになるが、別に口の中だけを慎重に彫っているわけではない。この段階ではまだ目の中はいじっていないが、ここもどうやらめんどくさいようだ。

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で、まずは目の中はあとにして口の中の作業に入ることにした。28日までの作業だが、ここは牙があり、この位置関係が難しい。図面は平面だから、それをいかにして立体的に正しい位置に彫っていくのが腕の見せ所。もっとも、たいした腕はないので、先生から借りてきた見本をしつこく見ながら、何度も位置関係を確かめて印を付け、それに沿って彫っていく・・・と書けば簡単に聞こえるが、そんな単純なものではない。過去にも獅子口、般若、いかづち、不動などの牙を彫るときにも随分苦労しているし、今回もそうなるだろう。特にこの「生成」は、他の能面と比べても口が小さいから牙も小さいので難しい・・・とは、先に作っていた先輩の話。ま、それでもこつこつと慌てずに彫っていけば、いずれ完成するだろう。

ある程度、口の中が出来上がったら目の造作に入ることにするが、ここも細かい作業がありそうだから、まだまだ気が抜けないというところか。ここの部分の作業は、もしかして9月に入るかも知れない。


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生成 その3

2012年08月23日 | 日記・エッセイ・コラム

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21日までの作業。おおざっぱな形に仕上げているだけで、まださっぱりと分からない。孫連中もいなくなったから十分に安心して作業が出来る環境に戻ったものの、数多く撮った写真を見ながら進めているのだが、なかなかイメージがわかかない状態だ。大筋ではこれまで彫った各種の能面と同じ手順と思うから、そんなに難しく考えることはない・・・と思う。

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そう考えて進めていると、何となく形が見えてくるから不思議だ。ただ、角が生えている部分は少し考えなければならないと思う。これまで作った面で角が生えている能面は「般若」であり、すでに数個も彫っている。ただ、この般若の角は別途作っておいたものを後付けしており、形や取り付ける位置などは後でじっくり考えながら取り付けることが出来た。今回はそうではなく、額に角部分を一緒に彫り込むようになっている。そのため、位置や角度などをきちんと測って彫る必要があるのだ。

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で、今日23日の作業である。実は今回初めて先生から見本の面を借りてきた。これは最初にで紹介した彩色した面ではなく、この前の段階の素彫りの面である。ただ、ほとんど出来上がっているから、それを見ながら彫っていくと実に効率的に作業が進むことになる。いわば実物が手元にあって、それを参考に彫っているようなものだから、写真では判断が出来ない部分もよく分かるのだ。最近作った「不動」「いかづち」「鬼」なども先生のところには見本があり、借りることも出来たのだが、「自分だけで何とかなる」と意地を張って作った結果、失敗した実例も多い。今後は意地を張らずに素直に見本を借りてきて、作るようにしよう。

ということで、だいぶ形が見える状態になったと言うことである。この環境のまま行けば、早い段階で素彫りも完成するから、実に効率的だ。ただ、あと2週間ほど借りたら返納するつもりなので、それまでの期間はじっくりと、かつ速やかに作業を進めて行かなければならない。

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生成 その2

2012年08月17日 | 日記・エッセイ・コラム

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さて、いよいよ実際に作業を始めたのが12日。材料は9日に入手していたが、孫が夏休みで遊びに来ており、その面倒を見ていたので、型紙を作ったり材料に型を写すなどの軽い作業しかできなかった。「早くお面を作ってよ」などと催促をするのだが、彫刻刀やノコギリなど刃物を使う作業は控えていたというあたりか。

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その孫連中も15日に帰ったので、やっと本格的に作業を開始する。16日の作業でおおざっぱな形にする。毎回同じような作業手順であり、特に難しいことはない。ただ、角も一緒に彫る事になるから、その部分を考えながら進めなければ・・・

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17日までの作業。まじめにやれば1日で終わる程度の作業内容だが、無理をせずのんびりと進めるつもりなのでこんなものだ。今回は2ヶ月ぐらいの作業日程を考えているから、まだまだ慌てることはない。このあたりではなんの面なのか分からないが、来週になれば少しは作業も進むから、だんだんとその表情も見られると思う。

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生成り その1

2012年08月12日 | 日記・エッセイ・コラム

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さて、いかずちや黒式尉が終わり、一段落したところで次の課題を考えていたが、また難しい能面を選んだのだ。これは「生成り(なまなり)」と言われる能面である。これは数ある女面でもちょっと異質のもので、怨念を抱いた女性を表現していると言われる「般若」になる途中の表情を表した面と言われている。従って顔の表情は恐ろしく、角がまだ延びきらない状態だが、これが進んで行き、角が延びきったところで般若になるらしい。もちろん般若の面相も恐ろしいが、それにも負けないぐらい恐ろしい・・・女が怨念を抱くと表情だけでなく、全部が恐ろしいのだ。

この生成りは、口の部分が難しいという。写真は先生の作品だが、口が小さい割に牙や巻き込んだ舌の部分、舌の奥が空洞になっているなど、彫刻刀が入りきらない場所もあるようで、特に細工が大変だったという、作った人の感想も聞いた。しかも不鮮明な図面しかなく、先生の作った見本をよく観察して、慌てず無理をせずに時間をかけて彫っていくつもりだ。

ま、講釈はこのぐらいにして、完成したいかずちを先生に見てもらったが、あまり宜しくない講評をもらった。もちろん、元の資料が不鮮明だったこともあって、彫る段階からうまくいかないことは予想していたものの、今回は先生のところで彩色をしたいかずちを見ることが出来て、それと比較したのだ。

これは先生の先生(いわゆる先生の師匠)が作ったものだが、とても比較にはならないほどの作品である。こういった「完成品」と比べることすらおこがましいのが、私の作ったいかずちだったので、「2個を比べてもしょうがないし、(私のいかずちも)単品で見たら何とか見られるかも」という言い訳をしつつ講評を終えたというところだ。

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黒式尉 その6

2012年08月02日 | 日記・エッセイ・コラム

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いよいよ最後の工程に入って、髭の類を作っていたところ。短いものは眉毛や鼻ひげで、長いものは口の下に生えている髭、そしてあごひげのものだ。もともと、右側の長い方が本来の長さ(約25cmほど)で、馬のしっぽの細い毛を10数本束ねて太さの直径約2.5mmほどにしたものが一本の髭になる。これをあらかじめあけておいた穴に差し込んで、髭とするのだ。短い方も同じ作りだが、長さを2~3cm程度で作っておく。これらを組み合わせて、眉毛や髭のたぐいを完成させていくという手順である。

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これで完成だ。切り離したあごの部分は、たこ糸で仮止めしているからきれいではない。もっと良い紐で結んできれいに仕上げるつもりだから、今のところはこんな状態でよいのだ。このまま来週の教室に持って行き、他の生徒の進み具合を見たり先生から指導を受けることになろう。これでも恐らくは早く完成した部類に入るはず。

面の出来具合は注意されても今更直しようがないが、頂点の冠(かんむり)部分を黒く色づけした方が良いとか、毛の部分の仕上げをきれいにした方が良いなどと言われるだろう。これはしょうがないと自分でも思っているから素直に聞くつもり。

ということで、今年度最初の課題である「黒式尉」が完成したという話。で、もう一つの黒式尉の髭のたぐいも一緒に作っていたから、ついでにそれも紹介すると・・・。

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これだ。三井記念美術館所蔵の黒式尉をまねて作ったもので、髭のたぐいを完成させないまま2月末から放置していた。これもやっと完成したことになり、随分と時間がかかった能面である。実はもう一つ「獅子口」も完成させないまま彩色途中で中断しているのがあって、これはまだ完成時期は分からない。別に慌てる必要もないから、時期が来たら彩色を進めることになる。

このように、これまでは一個が完成するまで別の作業はしなかったが、ここ最近は作業途中で別の能面と並行に作業を進めていたりしている。これ自体は別に悪くはないものの、未完成の面が増えてくれば何か中途半端な気もしないでもないが・・・

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