まだ続いている陶芸。今回の作品は左側である。高さは30cm弱あって私が作ったものとしては大きい部類・・と言うよりも一番大きな作品である。これについてちょっとした説明をしてみよう。
作り方は、最初に板状の粘土(たたら)を作って必要なサイズに切り取る。今回は厚さを5mmにし、100mm×250mmの板状を4枚作った。更に上の部分、底の部分を作り、計6枚の粘土板を作る。上の部分には口を付けているが、これもあらかじめ作っておき、「どべ」と呼ばれる粘土をどろどろにした「ノリ」を使って口の部分を粘土板に取り付けておく。
その後数日放置して適当に乾燥したときに、その粘土板を「どべ」を使って組み立てるのだ。その時には「のりしろ」部分に水分を与えて「どべ」がくっつきやすい状態にし、しかも解体しないように紐で縛って固定する。言ってみれば、板きれと木工用ボンドを使って木工製品を組み立てる要領である。
その後は完全に乾燥するまで放置するのだが、今の時期、暖房が入っており乾燥が早い。この乾燥が早いとくっつけた部分が取れてしまうのだ。どべと板状の粘土では乾燥の早さが違うので、しっかりなじみながら接着できればいいのに、板状の粘土が先に乾燥してしまう。すると接合部分がはがれて、隙間が出来たまま乾燥する。そうなると、すでに花瓶の用途としては水漏れがでて役に立たないのだ。
今回もそれが発生した。接着部分に隙間が生じているのだ。だから水を入れることは出来ない不完全の作品になった。これを防ぐには、粘土板の乾燥具合を毎日点検し、最良の時期に「どべ」で接着しつつ水分を補給しながらゆっくり乾燥させる必要があるらしい。それが出来ない制作環境で作ったのもだから、隙間が出来て当たり前・・・だそうだ。なんと言っても週一回の作業日程では無理らしい。自宅で毎日観察をして作業が出来る環境にない今の私では、とうてい無理なことだと人は言う。
で、色つけもちょっとおかしかった。写真にある2個の花瓶は同じ釉薬で色づけしていた。それが写真の通り別な仕上がりになっている。両方とも下地に「鉄赤」そこに「石灰白萩」を二重がけしたので、本来は同じ色具合を見込んでいた。それが、だいぶ出来具合が違うのも、粘土の配合や窯に入れた時の場所、同時に温度の上がり具合など、様々な条件でその都度出来具合が違ってくる。それが面白いという人と、予想していた出来具合と違っているから失敗作でダメだと言う人もいる。
右の丸い花瓶は一昨年の作品。四角い花瓶は24日に出来上がったもの。全く時期が違う。
まあ、このような状態は趣味の陶芸ではよくあることで、一般的に売られている「同じもの」などはほとんど出来ないのだ。だから、もし同じようなものを作りたいのなら、同じ時に作って同じ釉薬を使い、窯の中でも同じ棚板に載せて本焼きをするしかない。それでも若干出来具合は違ってくる。
過去の作品を見てもう一度それを作りたいと思っても、単品で、粘土も時期も窯の位置も違った場合は、再現できないと思った方が良いようだ。うーんなかなか奥が深い。