ホームシアターの体験として、まず第一弾を設置した。SONY TA-DA3200ESというAVアンプである。前にもこのページで紹介したもので、まあ、入門用のアンプだから、価格もたいしたものではない(価格.COMの最安値)。
実はこのアンプは、すでに1年前の発売であり、最新の音声フォーマットには対応していないアンプだ。最新の音声フォーマットに対応しているAVアンプも、SONY、DENON、YAMAHA、ONKYOなど、各社から新型アンプとしていろいろ登場している。だから、いまこの時期に最新の音声フォーマットに対応していない古いままのアンプを購入する理由はほとんどない。ではなぜ、この古い型のアンプを購入したのか?
それを、あえて理由を付けて買ったのである。その屁理屈は次の通り。
1 いまのところ、新型音声フォーマットに対応したブルーレィディスクを買う予定はない。
2 だから、それの再生用プレーヤーも買う予定はない。
3 そのため、新型音声フォーマットに対応した新発売のAVアンプも必要ない。
4 新型音声フォーマットに対応したAVアンプの価格は普及型でも20万円前後する。
5 それに見合うスピーカーを揃えたら、更に20万円は覚悟する必要がある。
6 主にテレビの映画(WOWWOWやSTARチャネルなどの有料放送は見ていない)などを見ているので、5.1CHや新型音声フォーマットの放送もなく、恩恵を受けない。
7 今持っているスピーカーなどの機材を有効に使って、安い費用でまずは体験してみる。
8 新型で入門用のアンプはONKYOだけで、選択肢が全くない。
9 型落ちのアンプは安値で安定している(はず)。実はこれが最大の理由かな?
まあ、このあたりがその理由付けだが、結局は最低40万円ほどを見込まなければ、新型音声フォーマットに対応したAVシステムが構築出来ないことになる。この年になってから、年金を食いつぶしてまでオーディオに入れ込む理由には、特にない。
上の写真のスピーカーは、左の写真のコンポに付いていたもので、まあまあの音質である。今まではテレビの音声をこれに繋いで一応満足をしており、特に不満はなかった。前にも紹介したが、セットで17万円ほどしたヤツだ。このスピーカーをフロントにして、前からあったDIATONEの小型スピーカーをリアスピーカーとしてセットとした。更に、サブウーファーは、これも息子が使っていたSONYのコンポの付属品を利用して、4.1CHとして使うことにした。今回、センタースピーカーはないので、センタースピーカー用の音声は左右のスピーカーから出すことにして設定した。センターを加えることで5.1CHの音声になる。
17日にいよいよ設置である。事前に買い込んだスピーカーケーブルやHDMIケーブルを用意し、確かめて各機器に接続する。接続を再チェックした後にアンプの電源を入れて、説明書に従い、初期の設定をしようとした。
うんともすんとも言わない。接続をチェックするが、特に不具合はない。リモコンを使い、設定画面を呼び出しながら、市販のDVDを再生状態にして設定を確認する。
スピーカーの接続状態(インピーダンス測定)を確認する画面で、テスト信号が全部のスピーカら聞こえた。画像も入力設定を再確認してHDMI接続のままで見えるようになった。だが音が出ないのはなぜか。
初期状態でメインボリュームは0、徐々にボリュームを上げて3回転ほどさせてもまったく音は出ない。私が持っているコンポのボリュームは、最大の1/3程に上げると大音響になる。したがって、TA-DA3200ESのボリュームもあまり回転させることは出来ない。
テストトーンで音が出るのだから、スピーカーの接続ミスではない。映像が出ているので、HDMIケーブルの不良でもなさそうだ。他に原因がある。説明書を読み返し、接続を見直したり、当然ヘッドホンを繋いだり、設定を変えるなどして、2時間以上も奮闘したが、結局分からず昼食をとって頭を冷やすことにした。
再挑戦後に、スーパーウーファーからかすかに音がしているのが分かった。が、そのボリュームを上げてもかすかな音しか聞こえない。この時はPIONEERのDVDプレーヤーを接続してCDを鳴らしていたが、どうも再生していたCDの音のようだ。が、フロントスピーカーに耳を当ててもまったく音は聞こえてこなかった。AVアンプのメインボリュームの示す値は-70dbぐらい。無音の最低が-95dbあたりだったから、小さくても、音が出ても良いレベルと考えていた。
一応(1個のスピーカーではあるが)音が出るのが分かったところで、次にすることは何か。もっとボリュームを上げてみることでそれを実行する。どんどん回したところ、スピーカーからも音が聞こえるようになった。最終的には-10db程度に表示されるまで回すと、大きな音で再生音が出るようになった。この時はボリュームのつまみを10回以上も回したかな。
音と映像が当たり前に出たのは、設置作業を始めてから、昼食を挟んで3時間以上も経ってから。で、音が出なかった原因はなんと、ボリュームを下げた状態だったからというオチが付いてしまった。一時は製品の初期不良も考えていた。
ボリュームが低かったまま確認作業をした原因は、「ボリュームはむやみに回すものではなく、最低の位置からく徐々に上げていく」という何十年も前からの鉄則を、かたくなに守っていたからだ。昔のアナログ時代しか知らない爺が、最近のデジタル表示のボリュームに直面して、苦戦した結果であった。しかも音が出るまで10回以上も回すボリュームなんて聞いたこともなかった。
今までのボリュームは、1回転360度で言えば約300度も回せば最低の位置から最大になる。くるくる回すタイプは音の部分ではあまり聞いたことがない。だから、少し回して音の出具合を確認し続けた結果、十分に聞こえる値ではなかったと言うことだろう。もしかして(もしかしなくても)最近のAV器機の音量はくるくる回すタイプのものかも知れない。
映画DVDや、テレビ音声もTA- DA3200ESを通して正常に見られるようになったところで、感想を少し。
1 映画DVDでは、4.1CH(5.1CHではない)で聞こえるようになった(当たり前か)。
2 音質は、スピーカーが以前と同じものの関係から、それほど変わってはいない。
3 テレビの音声は、ステレオ放送はそのまま2CHステレオで聞こえ、音質も前と同じ程度。
4 前のコンポからスピーカーを取ったので、いまのところCDは聞けない。
5 CDを聞くためには、前のコンポのCDプレーヤーをはずしてTA- DA3200ESに繋ぐか、PIONEERのDVDプレーヤーを繋ぐ必要がある。あるいは、DVDレコーダー(SONY RDZ-D800)で再生できるのかも知れないが、まだ実験していない。
など。総合して判断すると、前から考えていたとおりの結果であった。それだけ十分に事前に検証していたことから、予想通りであり、ある意味予想が正しかったと言える。
今後の課題は、このまま少し使ってみて、不満が出てきた部分を改善する程度になろうが、しばらくはいじることはないはずである。
(陰の声):いや、すぐに不満が出てまずスピーカーをいじると思う。
9月末に、「芸術鑑賞の秋」とか理由を付けてホームシアターの構想を書き上げた。それから約2ヶ月間、気持ちの奥でもやもやしたものが渦巻いており、毎日のように各AVアンプやスピーカーなどの動向や、ユーザー意見などを調べてきた。
先週になってやっと、気持ちの整理が出来て、新型機ではなく、従来機でも自分の求める環境が安い価格で達成できると判断し、納得することで、購入に踏み切った。
「上を見ればきりがない」はAVの世界でも当てはまるし、AVだけが趣味であれば100万円を出しても惜しくはない。が、今から数十万円を出してまで環境を整えたいとは思わなくなったこと(年齢や意欲など)であれば、話の種に数万円の出費は許せる範囲かも知れない。
最初にデジ一眼を買ったときは、ものすごく意欲があって各種レンズや用品を次々と買ったものだ。当時、カメラで使う金はまったく惜しくはなかった。それを持ってあちこちと撮影に出かけたし、その時間も楽しかった。当時は本当に充実していたと思う。いま、その高揚感は少ないが、いつも何かに挑戦する気持ちは大切にしたいと思うし、それが元気の元かも知れない。
(これも陰の声):金がかかるのでほどほどに → 何、ある程度かかるのはしょうがない。
というところで、一応は「もやもや」も消えたものの、また、新たな「もやもや」が出てくる事も大いにあり得るので、十分気を付けなければならない。