「乙」である。これは今年の課題であり、4月の開講日から作業を始めた能面である。もう8月の終わりだから4ヶ月がかかってしまった。ただ、教室の生徒が全員完成したわけではない。20日の進み具合からして、まだ仕上げ塗りあたりであろうし、最後まで出来上がってはいないはず。
これは、仕上げの後にも古色をかけて「完成品」にしたものだから、以降はいじる事はない。と言うよりいじられないのだ。このほかに、これまで作っていた2個の「乙」の彩色をしたから、今回は「おと」を3個作った事になる。
このように、今まで作ってきた彩色前の能面に、彩色を習った事で同時に色を付けていくため、同じ面がある場合は一度に複数の面が出来る事になる。やはり能面は色がついて「完成」だから、彩色前の能面は「素彫り」であり「未完成品」でもある。
これは前に作っていたもので、口を閉じているもの。よく見ると口の中から舌をペロッと出している形だ。これが本来の形のようだが、見本の型紙をよく見ると口が開いているのだ。ところが、作例を見ると口を閉じていた。
どちらが正しいのかはよく分からないので、ためしに「口開け」を作ってみたという事も出来る。が、他の生徒は全員、口を閉じたものを作っていた。私が一人だけ逆らってみたのだが、先生も別に文句は言わなかったがね。
さて、今回のもう一つの彩色したものに「般若」がある。これは2ヶ月ほど前からブログに紹介していたものだから、見ている人は分かる。
これがそうだ。これも古色や目玉の周りにすすなどをかけて「完成品」にしたものだ。26日にも書いているが、きのうで全部の能面に古色をかけ、すすを使って目の回りや鼻の穴などに仕上げの細工をして、5個の能面が完成したのだ。
4月から始まった一連の能面作成作業は、昨日で一段落した。ただ、教室の生徒が全員「乙」を完成させるのは、恐らく9月になる。したがって今のところ教室の動きや、次は何を作るのかなどはまだ未定であり、いくらかは暇になるはずだ。が、なんと私は次の作業を進めている。「獅子口」の彩色だ。
「獅子口」は前に作っていた大物である。しかも2個ある。これに彩色をするために、足りない色(金色)や材料を事前に準備していた。実は、裏面の塗りはすでに終わっている。上記の5個の面の裏塗りをしていたときに、まとめて色を塗っていたのだ。
その「獅子口」の彩色に今日から挑戦している。うーん。また充実した毎日が始まるのか・・