わいはまいね 能面三昧

写真付きで趣味の能面製作を紹介するブログ

大飛出 その2

2014年06月21日 | 能面

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順調に作業は進んでいる。と言ってもちょっと彫ったところだが、水性ペンを使って大まかな位置を書き込んでいる程度。

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上は19日の状態で、これも順調に進んでいるところ。このあたりまでは、これまで彫ってきた各種の能面の姿、形を思い出しながら、「まあこんなものだろう」という程度にしか考えていなかった。

ところが、コピーや他の写真をつくづく眺めていると、どうも形がおかしい。頬の部分がいやに低いのだ。最初に全体の立体を思い浮かべて一気に左右45度に切り取ったまでは良かったが、これが「切りすぎ」だった可能性が出てきたのだ。頬の部分が低い能面では、この手が有効でもある。いわゆる「女面」やそれに類する形の能面は、この手法でもOKである。

ただ、頬の部分が高い能面もいろいろあって、この場合は45度で切り取ってしjまえば頬の部分も切り取ることになる。従って作る面により、そのあたりも頭に入れながらノコを入れなければならない。

ということになって、やむを得ず「補修作業」をすることにしたという話。で、補修している部分の写真を下に紹介する。

切りすぎた頬の部分に、最初に切り取った部材を張り付けて、頬を高くしようと考えた。今までの補修作業では、いわゆる「補修材」を使って盛り上げていたが、今回は同じ木材を使って低い部分に張り付け、その部分だけ高くしようとする手法だ。この作業は20日に行った。

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さて、乾いた頬の部分を慎重に彫っていく。上は21日朝の状態で、これから半日を使い、うまく仕上げなければならない。その半日が過ぎたのが下の写真だ。

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21日の昼である。こうしてうまい具合に補修作業を終え、改めて眺めて見ると、やはりこの姿が正解のような気がする。いや、気がするのではなく、まさしく「正解」だろう。頬が膨らんでいることで、口を大きく開けた表情も自然に見える。

と言う具合に、たとえ能面彫り10年選手といえども、ちょっと油断をすればこのような失敗をしでかすという、良い見本でもある。また、新しく彫る能面の写真が正面からの一枚しかない場合、かつ初めて彫る面の場合は、よっぽど注意をして彫っていかなければ、また同じような失敗をするかも知れない。せめて正面、左右、上下の写真があれば充分であるが、そんなうまい話はなかなかないので、想像を膨らませて作業をしなければ・・・・うーん、大変だ。。。

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大飛出 その1

2014年06月17日 | 能面

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さて、すでにお知らせしたとおり「大飛出」の作業に入った。上の写真はカラーコピーで、これに図面が付いている。16日には丸鋸を使って左右45度に切っていたので、今日17日からは顔の輪郭をノコで切り取り、更には立体に切り取る作業用の線を引いたところ。

この線に沿って切り取ることにより、顔の表面が立体的になっていく・・・と言う具合。

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ところで、しばらく放置していた初代「地蔵」に色を付けてみた。地蔵と言うぐらいだから石で出来ている。そのイメージで灰色にしたのだが、これが正解かどうかは分からない。一般的には木で彫った仏像のたぐいは木肌がそのままのものが多い。ただ、今回は石仏なので、石の色でも良いだろう。

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で、鬼が完成したのでちょっと見てみよう。前回からは眼球を金色に塗り、目の周囲にススを使って陰影を付けた。また、赤色を使ってアクセントも付けたり、歯の部分にもススを乗せた。

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と言うところで「完成」したことにして、ひもを付けて壁に掛けている。同時に作っていた孫次郎と喝食も完成したと考えているが、孫次郎は明日にある能面教室に持って行き、先生の意見を聞きながら、もしかしたら「古色」を加えることになるかも知れない。

ここ数ヶ月はいろいろと手を出していたが、ここで一段落という場面だろう。今後は取りあえず大飛出だけに集中して、毎日が進む事になる。

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鬼 その4

2014年06月14日 | 能面

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鬼もほぼ完成した。3個目の鬼だったが、色は3個とも違い、今回は若干明るくなった。これも見本や写真とは違った色になったが、まあこんな色もあるだろう・・・という、ある面ではいい加減な私の性格が出たところ。


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これも完成ではない。孫次郎と同様に「くすみ」や「古色」を付けなければ具合が悪い。特に眼球はまだ白いままだが、ここには金色を塗るつもりだ。その後にすすを使った陰影を付ければ完成となる。その作業は孫次郎や喝食と同時に行うので、もちょっと時間がかかると言う具合だ。

ついでに「喝食」についても進み具合を紹介する。

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これで完成ではない。孫次郎と同様に古色を付けたりすすでの陰影を付ける作業は当然行うつもりだ。

このように、今の時期は3個の能面を同時に彩色を行っている。これについては特に大変でもない作業で、「ついでに」という気持ちで作業を進めているのだ。いずれにしても一個一個彩色をしても良いのだが、何個か同時に彩色をすれば、手間が省けることも事実なので、今回はそのようにした。

さて、3個の能面が完成すれば次もある。ただ、能面教室の課題(孫次郎)は、他の生徒がまだ進んでいないから、私の面が完成したとしても、次の課題はしばらくない。恐らく手持ちぶたさの日々が続くだろうが、それはやむを得ないこと。ただ、能面塾なら自由に課題を選んで、自分の進み具合で次々と制作が出来る。

で、その課題が「大飛出(おおとびで)」だ。これについては次回に紹介するが、この面には現物の見本がない。ただ、写真(カラーコピー)と図面があるので、これを頼りに、これも慎重に彫っていくことになろう。



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孫次郎 その3

2014年06月14日 | 能面

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さて、いよいよ最終段階の「彩色」だ。毎回難しいのは「色合わせ」なのだが、これが曲者でなかなか気に入った色が出ない。また、先生の見本や写真などと比べても、同じ色が出ることはない。

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そんな中で、「こんなものかな」という妥協をしながら色を付けていく。今回は「肌色」が弱い気もしているが、「肌色=ピンク」ではないから黄土色を加えながら写真に近づけるべく、努力をしているところだ。

この写真は13日に概ね完成したところを撮った。ほぼ完成している状態だが、実はこのあとに「くすみ」を付けたり、幾らか古さを出す手段が残っている。いわゆる「古色」を付けたり「すす」を使って陰影を付ける作業だ。こうすることによって幾らかでも古さを出せば、また、趣が出るという具合。

というところで、取りあえずは孫次郎の完成ということにしよう。


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孫次郎 その2

2014年06月05日 | 能面

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5月23日の段階。すでに8割ほど出来上がっていると思う。あと一歩で素彫りも終わると思うので、じっくりと彫り進めることになる。

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上は6月2日の写真だから、一枚目から一週間以上も経っている。慌てる必要もないためか、一日の作業量は少しだけになり、肩の痛みもなにか薄れてきた感じがして、身体にはなかなか具合が良い。

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今日5日で素彫りは完成したと言っても良いだろう。すぐにも彩色に入るつもりなので、ちょっとだけ細かい部分を見て、修正があればそれをしたい。午後にも裏の部分に「砥の粉」を塗って、裏塗りの準備をするつもりだ。ただ、今の段階では「喝食」「鬼」そして「孫次郎」と、3個の能面が素彫り完成の段階で手元にあり、これらを一気に彩色する。また、裏面は同じ色にするつもりだから、色の調合も一回で良いから楽だろう。

5月14日に材料を入手してからおおむね3週間での素彫り完成だ。が、過去には彩色まで1ヶ月という記録もあるので、今回が特別早いわけでもない。また、今の季節は寒い冬場と違い、彩色にも向いているので順調に進むだろう。

というところかな。

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