わいはまいね 能面三昧

写真付きで趣味の能面製作を紹介するブログ

痩せ男 その1

2019年08月23日 | 能面

8月に入り、これまでは彫る気もなかった分野のお面を彫り始めている。これは、能面の主流でもあったこれまで彫ってきた多くのお面とは、若干の位置づけの違いがありそうなことと、そもそもお面として好きではない分野のお面だから。

これまで彫ってきたお面は、いかにも能面らしかったのだが、今回は老人の顔の模写みたいな感じであり、好きではないお面の種類でもある。もっとも、前回には老人のお面として「小町老女」を彫った。ただ、この場合は「能面教室」の課題でもあり、やむをえず彫ったといういきさつがあった。課題だから断れない・・という理由だ。

で、今回、これに決めた理由は「彫るお面がなくなった」「まだ彫っていないお面を」という程度の理由である。従って好きで彫っているわけではない・・と、へりくつをこねているところでもある。

さて、参考になる「痩せ男」の画像を検索した。ネットでは多くの痩せ男が登場しており、そのなかでも鑑賞に堪えられる程度の、ほどほどの画像を選んだ。それが下の写真だが、結局は2枚目の写真を参考にする事とした。この2枚は当然、作者は別の方であるが、私は下の写真を参考にすることにした。

下が今回参考にした痩せ男の画像だ。、もちろん、作者の承諾を取った訳ではなく、全くの個人的に利用するためのものなので、このあたりを了承して欲しいところ。

よく見ると「頼政(よりまさ)」に似ているかな・・・

 

ここから私が彫っている「痩せ男」を紹介しよう。下は8月10日の段階であり、自作した図面を元に材料を切り取ったところ。作業開始日だ。

下は11日。顔の表面を写し取り、様子を見ているところかな。

下は12日。目のあたりや鼻の形の大まかな位置、更には頬の部分をいくらか彫って、大体の形を整えていく。

下は14日。このお面の特徴は、深く窪んだ目や深く掘り下げた頬骨の表現だ。それを表すために2日をかけて慎重に彫っていったところ。ただ、横顔の画像や図面がない環境のため、正面を向いた画像や、過去に彫った、似たようなお面(頼政など)を参考に横顔を想像し、頬の深さや目のくぼみを決めているので、実物とはずいぶんと違っているかも知れない。これは今の段階ではやむを得ないであろう。

下は17日。ここまで来れば、かなりの完成度であろう。上の写真から3日も経ってはいるが、この間には裏彫りも2度ほど行っているから、それなりの時間はかかる。

下は18日だ。このあたりになれば、全体的な形を決めながら細かい部分の修正がメインになる。従って表情に大きな変化はないものの、かなりの進み具合だろう。8割方出来上がっていると言っても良いぐらいだぞ。

で、今回の最後は下の写真だ。23日の姿だが、上の写真と比べてもそれほどの変化は見られない。8割方出来上がったお面に紙やすりを掛けて、いくらか滑らかにし、彫り残しや形の細部修正を行っているところ。もちろん裏彫りも最終段階まで進んでおり、裏に関しては9割方の出来具合だ。

 

ここから次は、口の中を裏まで貫通させる作業と眼球を彫る作業が残っている。それらを含めてまだ数日は必要だが、一応の素彫り完成は今月いっぱいと見込んでいる。ただ、今回も黒目部分には「真鍮製の目玉」を入れるつもりなので、それも含めた場合は、9月4日に予定されているの能面教室まで完成予定を延長するつもりだ。

今回は、作業途中にお盆の連休を挟んでいたものの、遊びに来ていた孫たちもすぐに帰って行ったから、作業日程には支障はなかった。

 

あーあ、疲れたぞ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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悪尉べし見3 その3

2019年08月06日 | 能面

悪尉べし見の素彫り完成予定が明日だ。従って、それについての追加記事を紹介すると、次の通り。

上は素彫りが完成したところ。これは7月30日の状態だ。当初はこの状態で作業を終了しようと考えていたのだが、せっかく完成予定が8月月7日にしていたから、日程にも余裕があった。従って、もう少し手を加えようと考えた時に、「そうだ、真鍮製の眼球をはめ込もう」と。

これまで彫った2個は、その真鍮製の眼球は装着していない。理由は、参考にした写真では「金色の塗装だけの眼球に見えていた」ため。更には「実は大変めんどくさい作業」だったからかな。で、今回は、その参考写真の眼球部分をしつこく見たり、ネットを検索して他の人が彫った「悪尉べし見」を見比べたところ、どうも真鍮製の眼球をはめ込むのが正解らしいと判明した・・というあたりか。で、今回は、それの作業を開始したのが次の写真。8月1日だ。

上は眼球の形を立体的に採寸する手順だ。彫り上がった眼球部分に合わせて「アルミホイール」を押し込み、形を作る。この場合、眼球部分にアルミホイールをきちんと埋め込んで、サイズを決めるところが重要だ。これが眼球の立体的な形の元になる。

その眼球の形を採寸したアルミホイールを元に、材料である真鍮板をカットする。それが上の写真だ。25mm×55mmの大きさに切り取り、角を切ったところだ。

上は、切り取った真鍮板を、眼球の形に彫ったくぼみのある台(前の写真を参考)の上に乗せ、先端が丸い金槌で慎重に叩いて、立体的に打ち込んでいった状態。こうすることで平板が立体的な形の出来上がっていく。更に、だいたいの眼球の大きさや形に切り取って、形を整えていく。これの作業がまた、大変なのだ。

上は、眼球の大きさ、形に合わせて真鍮板を切り取っていったところ。この場合、球体でもある眼球に合わせて、金属板を整形していく作業は実に大変で、多くの時間がかかるところだ。ましてや、眼球はまぶたの奥に彫られており、しかもまぶたが垂れ下がっている形になっていることから、単に眼球の形に合わせて真鍮板を整形すると、奥まった眼球には、まぶたが邪魔をして収まらないのだ。いわゆる「正面から見た場合、眼球の方大きい」ために、まぶたに引っかかって、中に入っていかない。

それを解決する手段は、眼球のサイズに合わせて曲面の形、大きさを0.1mm単位で切り取るのだが、金属板を0.1mm単位で切り取るのは大変。また、金属の眼球に合わせて、木の部分を細かく合わせて彫ったりする必要もある。これらの手段を両方使いながら形を整え、うまい具合に眼球に合わせて、真鍮製の眼球を埋め込むのだ。

実は、この作業には数日がかかった。一気に出来る作業ではない。その結果、真鍮製眼球がなんとかうまく収まるまでに整形が終わったのは2日だが、その後もスムースに収まるまで慎重に整形を行い、納得できるまでに仕上がったのは4日だったかな。

その後、黒目の部分に穴を開け、ぴかぴかに磨いて瞬間接着剤で接着したのが6日である。これで本来の「素彫りの完成」となる。髭はない。

 

今後は、このままの状態でしばらく放置して、次の作品、あるいは素彫りが3個溜まるまで彩色はやらないつもり。また、来週からはお盆が始まるし、気分的にも製作意欲が出てこない時期でもある。更には「次の作品」の構想も未定なので、少しの間、休息時期になりそう。当然、ブログの更新も一時中止だ。

それではお盆休暇に入ろうかな。

 

 

 

 

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