わいはまいね 能面三昧

写真付きで趣味の能面製作を紹介するブログ

小町老女 その1

2019年05月29日 | 能面

能面を彫って20年近くだが、高齢者の女性を対象としたお面は初めてだ。これまで男性の高齢者の場合はすでに何種類かのお面を彫っている。その主たるモノは「翁(おきな)」だが、最近では「小尉」もその部類に入ると思う。

もともと、女性は若い方がよろしいから、自分もその方向で彫っていた事も事実。「小面」「若女」更には中年女性のお面のたぐいはたくさん彫っているので、作業場の壁に飾ってあるお面にも若い女性のお面は多い。

で、今回は「能面教室の課題」という条件のため、やむを得ず老女を彫ることになった。まあ、課題でもあるから、苦情を言っても、ある面ではしょうがない・・というあたりかな。

下は教室の先生が彫った小町老女だ。これを見本に彫ることになったので、一応はこれを参考に型紙を作り、作業を開始する。

下は作業開始の様子。単に材料に型紙を載せてみたところ。15日だ。

下は16日で、周囲の形や表面を彫ったところだ。今回は最初に丸く顔の形を切り取った、その後に表面の凹凸部分を切り取ったところ。この、最初の手順は、他にも「表面を切り取る。その後に丸く顔の形を切り取る」という手順もあるが、今回は後者を採用したところ。ほかには、最初に鼻の高さ、頬の傾斜などを考えて、顔の表面の角度に合わせて斜め45度に、一気に切り取る方法(般若に有効)もあるが、今回はやめた。

下は20日だ。上の段階から4日が経っており、かなり進んでいる。もちろん裏側も適時彫っているから、その作業時間も入れるとまずまずだろう。完成度は50%程度と言ってもよいかな。

下は29日。上の状態から一週間以上も経っており、全体のできばえは80%と思う。また、裏彫りはほぼ出来上がっているし、今後の作業予定は額のしわ、目の整形が残っただけなので、急ぐ必要もない。また、作業開始から2週間であり、このまま工程を進めると、あと数日で素彫りが終わってしまう。これはまずいぞ。

さて、まずい理由は、今年度の能面教室の生徒が、まだ全員参加をしていない。そのため、今回の課題を彫り始めているのは私だけなのだ。従って、私だけが作業を進めていても、他の生徒は欠席したままなので、まだ写真も図面も材料も手にしていない段階なのだ。

実は、この課題は9月頃までには完成させる予定のお面であり、6月に出来上がっては具合が悪いのも事実。従って、若干手を休める必要もあるだろう。

 

ということから、上の写真まで作業が進んだ私としては、他の手段を使って作業を遅らせる必要がある。その手段の一つが「2個目の小町老女を彫る」こと。

たまたま似たような材料の予備が手元にあったので、これを使ってすでに2個目に挑戦しているのだ。その様子は「小町老女2」として、6月に入ったら紹介する。

 

 

 

 

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小尉 その4

2019年05月13日 | 能面

新しい元号になってからは、彩色を始めた。今年に入ってから彫り始めていた複数のお面を、一気に彩色する事態だ。これは単に、面倒だったこともあり、結局は5個のお面が素彫りのまま放置されていたために、これでは具合が悪い。結局は意を決して「彩色」に入ったという具合。

で、小尉が3個、十六が1個、別当が1個の、計5個だ。今回は小尉の彩色を中心に紹介しよう。

上は素彫りの完成。3月6日なので、結構時間が経っている。上は3個目の小尉だが、実はこの後に「敦盛」や「別当」を彫っていたので、今回の彩色までは、放置状態だった。

いよいよ彩色を進めているところ。上は5月3日の状態だが、すでに裏側にも色が付いている。これは「工芸漆」の黒と茶を混ぜた色を塗っており、私の場合はその配合の色を使っているところ。それは2日に実施していたので、乾燥を待ったその翌日には「下塗り」と称して、お面の表面に一回目の色を塗ったところだ。ただ、通常は胡粉の真っ白をそのまま塗っても良いのだが、別当の「深みどり」を含めて、以前に使った色が残っていた。それを活用することにしたので、下塗りの段階からすでに仕上げの色が使われている状態。

これは「ひげ」だ。小尉には、頭髪部分を含めて41本の「ひげ」が使われている。この材料は「馬の毛」である。別途用意した馬の毛を、10数本束ねて一本の毛を作る。それを41本以上も作るのは、これまた大変な作業である。

約2mm程度の太さに束ねた馬の毛を、根っこ部分をミシン糸で結わえて、そこにボンドを染み込ませる。そこを細いまま固める必要があり、ビニールタイを利用してくるくる巻きにしながら、細く固めるのだ。それが上の写真。これが完成したのは10日だから、手間がかかっていることが分かる。

で、彩色が終わったお面に毛髪と髭を植え込んだのが上の写真。これで完成した姿。もちろん、一応の古色を施した後だから、おじいさんの顔色らしくは見えるものの、写真ではもっと茶色っぽい色でもある。もちろん、残りの2個も同じ彩色をしているが、髭は付けないまま。

さて、他のお面はどんな状態だったのか。

下は「別当」だ。本当はこの後に、髭のたぐいを植え付ける必要がある。ただ、書いたように髭の作成が大変めんどうくさいので、今回の「別当3」も「髭なし」で済ませることにした。

最後は「十六」だ。今回は「敦盛」という名称で彫ったのだが、まあ、同じモノなのでそれはそれでOKにしよう。

上が「敦盛」。見た目はそれなりに完成しているから、これはこれで良いだろう。これも3個目の作品なので、今後は彫らないかも・・・

ということから、今年に入ってから彫り上げた5個のお面は、年号が変わってやっと完成した。この後はしばらく休憩して、のんびり行こうかな。

 

と思いきや、実は次の課題が決まっており、早々にその作業が始まるのだ。

新年度の能面教室のその課題は「小町老女」だ。もともと老女よりは若い女性が好みであったために、老女関係のお面は避けていたのだが、今回は能面教室の課題ということなので、これはやむを得ないのかな・・・

 

ではまた。

 

 

 

 

 

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