2013-2014シーズン聴いたコンサート観たオペラはこちらから
2013-2014シーズン
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2014年2月15日(土)3:30pm みなとみらいホール
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クリストファー・ラウス 狂喜 12′
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ガーシュウィン ラプソディー・イン・ブルー 23′
ピアノ、小曽根真
(encore)
ブルース・イン・F(即興) 6′
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チャイコフスキー 交響曲第5番 15′12′7′12′
(encore)
グリンカ ルスランとリュドミラ、序曲 5′
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アラン・ギルバート 指揮
ニューヨーク・フィルハーモニック
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悪天候のため、30分遅れの開始
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ニューヨーク・フィル来日最終公演。この週の雪のせいで30分遅れのスタート。東京から川崎、横浜と雪の量は少なくなっている。ただ始発からの間引き運転や東横線の事故の影響で電車の本数が少なくなっている線もあり、30分遅れになったのだが、始まる前は30分でも1時間でも客入りは難しいのではないかと思った。
結果的には週末の休みということもありほぼ埋まりました。良かったと思います、と他人事になりきれないで心配が先に立つあたり、昔のマイ・オーケストラだったなということか。
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この日のプログラムは、2014.2.12の演奏会とプログラムは似ていて、リンドベルイがガーシュウィンにかわっただけ。内容はこの前と大違いで会心の出来でした。素晴らしい演奏に酔いました。3日前のルーチンワーク的な演奏は指揮者もオーケストラも、もしかして絶不調だったのではないか、怪しまれてもしかたがないぐらいこの日の演奏は良かった。
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1曲目のラウスの狂喜。完全に水曜日越えのパフォーマンス、滑らかでシームレスでダイナミックにうねる。角が無く大きく小さく波打つ、ごわーん、ごわーん。
ドビュッシーの海、メシアンの鳥、ニールセンのティンパニ、いろんなものが惑星ソラリスの大きな波のように揺れ動きながら前進する。ものすごい演奏だ!!
エンディングの透明弦の強奏も驚くべきもので圧倒されました。さすがにニューヨーク・フィル、これでホームに帰れるからかどうかとにかく圧倒的な演奏でした。凄かった。
もうこれで虚脱状態(自分)。
(このエンディングの弦のフル鳴り、国内オケが束になって逆立ちしても、同じ威力と透明度は無理だろうな。やはりいいものを聴くとダンチが良くわかるというものだ。)
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次のラプソディー・イン・ブルー。
ニューヨークフィル、最高。
小曾根、最高。
全部最高。
と言いつつ、このピアニストは初めて聴きましたが、切れ味が鋭いというよりも、小気味好いという感じ。線は細い。粒立ちが良くピアノの音が次々に連鎖していく。停滞することなく面白いようにつながっていく。最後のところのカデンツァはやけに長く感じ、もしかしてアドリブ追加しているのかもしれない。
とにかく、音が面白いようにつながっていって聴いていて飽きがこない。もうちょっと線を濃くするといった振幅の大きさを聴かせてくれればさらに楽しめるような気もしましたが。
あと、演奏後、両方の親指を突き出すのが気にかかる。本人は良かれと思ってやっていると思う。(ダメダメポーズの逆のむきにすれば、いいということだ、という感覚だと思う。)
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アンコールが出ました。即興のカルテット。ブルース・イン・F
小曾根のピアノ、ニューヨーク・フィルメンバーによるベース、トロンボーン、サックス、
このようなもの聴けるとは思ってもみませんでした。
最高の最高でしたが、NYPメンバーのほうは自由奔放に演奏するのではなく、あくまでもフィルハーモニックの一員としてのアンサンブルであったということ。トロンボーンなんか終わったところで自席に戻っていっちゃいましたからね。自分の住処はこっちだよ、みたいな感じで。
前半、ここまでで既に満腹状態。
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後半、チャイコフスキーの5番。この前のときも書きましたが、この曲、聴きすぎで、もういいという感じ。
でもフィリップ・マイヤーズのソロが聴けますからおとなしくしてます。第2楽章のソロ、ほとんどビブラートをかけず、比較的細めのサウンドで際どい。際どさの極みで、もうこの音のピッチがちょこっとでも狂ったらこの世の崩壊よ、この際どさ、絶対滑らないこの際どさの極み。たまりません。極限のバランス表現ですね。最高!
全般に渡りオーケストラのノリが良く快活な運動となっていてリズミック。水曜の演奏とは全然違う。ダイナミックさ加減もアンサンブル単位からソロ単位になっていて、アムトラックから新幹線へ変貌。よかったと思います。
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アンコールがものすごかった。唖然とする地響き立てて狂いなく進む弦。響きの快感。この曲での威力は、日経新聞の論者が語る世界3大オケはベルリン・フィル、ウィーン・フィル、コンセルトヘボウ、などと血迷いごとを言うのがいかに間違っているかあらためて認識できる、あの醜い記事を一掃させてくれた見事な演奏であった。
おわり