河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

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1684- ツィンマーマン、フォトプトシス、ユビュ王、メッツマッハー、新日本フィル2014.9.29

2014-09-30 01:17:25 | インポート

2014-2015シーズン聴いたコンサート観たオペラはこちらから
2014-2015シーズン
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2014年9月29日(月)7:15pm サントリー
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ツィンマーマン フォトプトシス 14′
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ツィンマーマン ユビュ王の晩餐のための音楽 23′
   語り、長谷川孝治
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ベートーヴェン 交響曲第7番 13′8′10′9′
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インゴ・メッツマッハー 指揮
新日本フィルハーモニー交響楽団
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素晴らしく充実した内容のプログラムでメッツマッハーでなくては作れない一夜。
定期の席が指揮台に近いのでよくわかるのですけれど、ツィンマーマンの曲で口ずさみながら指揮をするというのはメッツならではのことだろう。前回来日のときから継続しているテーマ、ツィンマーマンの知られざる真価を今こうやって伝えるに相応しい人物であると確信できました。
フォトプトシスは是非生で聴いてみたいと思っておりました。このオーケストラ特有の分離の悪さはとても問題なのですが、このような個々の音の積み重ねで巨大なサウンドを形成するような音楽においては、割と致命傷に近いものがあります。ボテボテしたハリボテ系のクラウド状態の響きはまさにカオスでありまして、曲の真価以上であるといってもよいかもしれません。そういった残念な表現力というのはありますが、とりあえず生で聴けたということでイーヴンとしたいと思います。遊園地のジャングルジムのような、あちらが透けて見えるけどしっかりした骨組、そのような響きが本来であれば必要です。この曲も引用がある曲、でもボテボテしてよくわかりません。
2曲目のユビュ王はサウンド見通しがよく、引用含め少しずつガラス張り系のサウンドに変化してきました。曲順を入れ替えればよかったかもしれません。
ユビュ王のほうは引用の音楽、特にワルキューレの引用時間が長い。こうやって馴染みのある引用を持ち込むことによって面白さ、惹きつけ度、倍化します。興味本位とはならず、むしろその背景を思いたくなるから不思議なものです。テクストの中身もゆっくり読んでみたい気になってくる。(語りが説得力ありました)
ツィンマーマンの曲は聴く前も後も結局シリアス、そのシリアスさが自らの中にとどまるのではなく発信され、聴衆に伝播し共鳴させ、一体感もしくは共同体となり理解が深まるのを覚えざるをえなくなる。説得力のある音楽ですね。
スキルベースで言うと問題のある演奏でしたが、体験としては貴重な演奏となりました。
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後半のベートーヴェンは練習を積んだ跡がみられました。ズレもアンサンブル単位、みたいなところがあり、メッツの意思がかなり入り込んでいる。つまり整えるのが最終目的といった技術面での練習指向ではなく、どのような音楽のフォルムを作ることによってベートーヴェンの形とするかといったあたりのことを集中的に理解注入させたのではないでしょうか。
それから、メッツのジャンピング指揮は時として結構な説得力をもつことがありますね。自意識過剰型でないところが好ましい。
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あとこの日のプログラム解説に前回のメッツ公演のことを熱く書いて今回と連関させているこの内容、きわめて好ましいものだと思いました。
いい演奏会でした。ありがとうございました。
おわり
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注:この日のプログラムにはフォトプトシスを日本初演と書いてありますが、これは誤りです。日本初演は以下で、同じくベト7がはいっているあたり興味深い。
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1976年2月18日
ハンス・ドレヴァンツ指揮NHK交響楽団
ツィンマーマン フォトプトシス
モーツァルト サンフォニー・コンチェルタンテ
ドビュッシー ジュー
ベートーヴェン 交響曲第7番
以上


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