goo blog サービス終了のお知らせ 

河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

PC版に一覧等リンクあり。
OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。

576- ワルターのマタイ受難曲第1部 ニューヨーク・フィルハーモニック-2-

2008-03-09 15:22:56 | NYP

ちょっと日があいてしまいました。
この前の続きです。

ワルターはここ数シーズン、マタイ受難曲を振っている。
1944-45シーズンも振った。

ニューヨーク・フィルハーモニック
1944-1945シーズン
第103シーズン

1945年
3月29日(木)6:30-10:30pm(第4232回)
3月30日(金)1:30-5:15pm(第4233回)
3月31日(土)6:30-10:30pm(第4234回)
4月1日(日)3:00-7:00pm(第4235回)

カーネギーホール

バッハ/マタイ受難曲 (英語)
Bach   Passion according to St.Matthew

ソプラノ、ナディーン・コンナー
コントラルト、ジーン・ワトソン
テノール、ウィリアム・ヘイン
バリトン、フランシスコ・ヴァレンティーノ
バリトン、マック・ハールレル
バス、ローレンツ・オルヴァリ
.
ハープシコード、ラルフ・カークパトリック
オルガン、エドアルド・ニース‐バーガー
ヴァイオリン、ジョン・コリリアーノ
ヴァイオリン、マイケル・ローゼンカー
フルート、ジョン・ウンマー
オーボエ、ハロルド・ゴンバーグ

ウエストミンスター合唱団
マーガレット教会青少年合唱団
ブルーノ・ワルター指揮
ニューヨーク・フィルハーモニック
このシーズンのものが音源に残っている。
第1部だけですが。
河童の蔵を探したら出てきました。
CDです。
Minerva MN-A20
P-1996 イタリア製
板おこしのようです。

第1部タイミング:78分32秒
インデックス:29個
演奏日:1945年4月1日(日)
ニューヨーク・フィルハーモニックは当時、既に週4回公演。
木金土日。
月休み。火水が練習だと思う。
その後、週4回は変わらないまま、木金土火の公演となった。
日休み。月水が練習。か、それとも、
日月休み。水が練習かもしれない。
サブスクリプションのある日も日中は練習があるだろうが、まずは初日に間に合わせなければ話にならない。

その後、今はなんだかわけのわからない曜日の公演が多くなってしまったが、それでも木金土火のコンセプトはあるような気がする。

それで、この日の録音は、木金土日の公演のうち最終日です。
このMinervaのCDには何も書いていないが、テキスト、歌唱は英語です。
第11曲の響きは遠くワーグナーを喚起させる。なぜだかわからないがこのバッハの積み重ね、織りなす響きがうねりをおび、いつか偉大な脇道ワーグナーを生む少しぐらいのきっかけにはなったかもしれない。
このCDで聴くニューヨーク・フィルハーモニックというのは、完全に日常の定期公演の音であり、良いところもあれば悪いところもある。
ふくよかな低弦の安定感、ときとして不安定で不揃いな中声部楽器群、ハロルド・ゴンベルグの悲しくもせつなくそして雄弁なオーボエ。コリリアーノ、ウンマーとの息もぴったりだ。これが彼らの日常。
指揮ワルターの域を越えた彼らの音楽がこの録音から伝わってくる。
逆に合唱はワルターが完全に掌握しているようだ。歌のアウフタクトの呼吸までワルターの魔術のような棒に彼らの神経は支配されている。
ワルターの練習風景はバルビローリと正反対である。バルビローリがワン・フレーズが終わるか終らないぐらいの短さで止めるのに対し、ワルターは決して音楽を止めない。止めないまま、注意して、音楽を先へ先へと進める。合唱はそのような棒のワルターの術中にはまっている。
合唱が良くなるに従い、何故がソリスト、オーケストラの響きもしまってくる。このような現象はオペラなどではよくあることだ。結局は全部ワルターのなせる技なのだろう。
第1部しり上がりに良くなる歌とオーケストラ、第2部の録音が残っていたら、と悔やまれる。
この時代、日本は戦争に負ける寸前の大変な頃だが、むろん繁栄の国アメリカにそのような悲壮感はない。なにやら東海岸から遠くの国と戦っているようだ、そこまで言うと極端だが市井の生活感のなかにどれだけはいりこんでいたことか。
この演奏に‘泣き’があるとすれば、時代の泣き、ではなく曲そのものの深刻さに対するものであり、変な話だが時代を越えたものだ。富の国アメリカは富裕の時代に芸術の本質を表現し聴いていたのだろうかと思うと、はたと立ち止まりふと思ってしまう。
長い曲であり、河童の世界にはイエスもなにもないが、たまには身を浸して真の音楽を聴かなければならないときがある。
おわり

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。