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2010年の11月24日(水)に6,552円で購入したマゼールのブルックナー全集を聴き終えました。箱もの11枚です。
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ブルックナー交響曲 10曲。
ロリン・マゼール指揮バイエルン放送交響楽団
BRKLASSIK 900711 (11CDs)
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第1番:1865-1868リンツ稿1877改訂ノヴァーク版54′17″
第0番:1869ノヴァーク版48′48″
第2番:1877稿ノヴァーク版69′34
第3番:1889第3稿ノヴァーク版58′34″
第4番:1878-1880第2稿ノヴァーク版73′34″
第5番:1875-1878ノヴァーク版79′56″
第6番:1879-1881ノヴァーク版61′28″
第7番:1881-1883ノヴァーク版66′39″
第8番:1887-1890第2稿ノヴァーク版86′05″
第9番:1887-1896未完成ノヴァーク版70′40″
収録:1999年1月23日~3月20日の間に一気にライブ収録。
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最初の3曲で勝負あり。ユニークすぎてスケールでかすぎてマゼール節全開でのけぞります。特に第2番の圧倒的な立体感と、初期の確固とした構造物の大きさに吹き飛ばされます。生半可じゃない解釈だなぁ。
第2番
Ⅰ:21′59″
Ⅱ:17′32″
Ⅲ:7′31″
Ⅳ:22′31″
まず、異常な速度。特にⅠとⅣはこれより遅い演奏はないだろう。Ⅱでこれよりおそいのは河童蔵の音源ではシャイーとミスターS!
とにかく異常にスローなのだが、全く弛緩しない。オーケストラの能力の高さも圧倒的。
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第1番。マゼールの解釈は相変わらずユニーク。最後のトランペットなんて、ほかの指揮者なら3回ぐらい終わっている感じ。
第0番。第1番のあとは第0番です。このボックスでもその並びです。なんともダイナミックな演奏で飽きさせません。
第2番。これぞ圧巻で圧倒的な70分、第1楽章第2主題あたりで既にマゼールの刻印。2番が最高かもしれない。第2楽章のスローさと息をのむ美しさ。でかい曲、フィナーレのコーダは第1楽章第1主題の再起のあと、第1番とは逆に早めのテンポで決める。全く曲の理解が深いとしか言いようがない。第1、0、2番の演奏の充実度、それから面白さは第3番を凌ぐ。もうこうなると自信に裏打ちされた孤高の芸術。
第3番。第2楽章の盛り上がりをロマンティックで古色蒼然というのは簡単だろうが、マゼールの場合、表現の多様性のうちの一つのように聴こえる。山のもっていきかた。起伏のつくり方、大見栄はどこではるか、全部わかりきっている。すごい。
第4番。ひねる、ひねる、彼にとっては普通に。
第5番。第3楽章は結構スロー。ティンパニがことごとく決まっている。最後に待っていた爆な仕掛け。コーダのもたれかたは尋常ではない。
第6番。やっぱり遊んでいる。響きの饗宴。
第7番。冒頭から精神の安定を感じる。第1主題と第2主題の明確な違いが、極端すぎる。高性能オケはユニゾンが下品にならない。第2楽章も第2主題が速い。ドライなサウンドが実力を露わにさせる。独特の音価でまことに勇壮におわる。
第8番。音楽が静止している第1楽章。わりとまとも、横幅があり巨大な演奏であることは言を待たない。
第9番。Ⅰ:31:17、Ⅱ:10:59、Ⅲ:28:23。うって変わって第2主題のスローさが耳をひく。際どい演奏だぞ。
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とにかく、全部マゼール節全開。面白すぎて一気にあっというまに聴いてしまったが、買ってから聴き始めるまでに1年2か月かかってしまった。2010年にCDを買いすぎたのでその影響だな。
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録音について。ボックスには書いてありませんが、中の一枚ずつに
BR-KLASSIK ARCHIVE
と、あります。つまりバイエルン放送のアーカイブということだと思います。
サウンドはきれいで横幅のあるものですが、いわゆる放送録音的であり、分解されて出てくる音ではなくまとまりを感じさせる。ボリュームを少し上げ気味にすれば解像度が増すような気がする。
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あっというまの10曲でしたが、すぐにもう一度聴くとしたらどれか、という質問を受けたら間違いなく第2番ですね。
おわり
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コメントありがとうございます。
最近箱モノが多数出てて買うにはお得ですが、箱全部聴いたという感想をあまりみかけません。買ってしまえばいつでも聴けるからでしょうか。マゼール箱は面白くて一気に聴いてしまいました。ブルックナーをどう料理しようかという感じですね(笑)。とにかく解釈の幅が大きくいろいろと新発見できました。[E:full]