河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

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1385- パルジファル千秋楽、二期会、飯守泰次郎 読売日響、クラウス・グート・プロダクション2012.9.17

2012-09-17 23:23:53 | コンサート・オペラ

パルジファル初日の感想はここ
パルジファル二日目の感想はここ
パルジファル三日目の感想はここ


2012年9月17日(月)2:00-7:15pm
東京文化会館
クラウス・グート プロダクション

ワーグナー パルジファル

ティトゥレル 大塚 博章
アムフォルタス 大沼 徹
クリングゾル 友清 崇
グルネマンツ 山下 浩司
クンドリ 田崎 尚美
パルジファル 片寄 純也
以上in order of appearance

2人の聖杯守護の騎士 (略)
4人の小姓 (略)
6人の花の乙女たち(略)

二期会合唱団
飯守泰次郎 指揮 読売日本交響楽団


実測値
第1幕:1時間53分
第2幕:1時間12分
第3幕:1時間18分

4日目千秋楽です。オーケストラはこの日が一番粗かった。また、飯守の指揮は大胆になっている。音の彫りが濃くなって味わい深い。トランペット一本でブリッジして終わるところも前日あたりから濃厚な味付け。
彫りの深さと粗さが同時に出てくるようなところが長丁場のオペラの痛し痒しの部分ではある。

昔のレヴァインみたいに1週間に7本中5本振って日曜はリサイタルで歌い手のピアノ伴奏、そんな環境が日本でもあれば才能ある指揮者はあっという間に頭角を現すと思う。
新国立が出来ても、あっちの団体でオペラ、こっちの団体でもオペラ、アマ、半プロ、年一回の学芸的催し、レアオペラならどれが正式な国内初演なのかわからないようなものも、新国立もこの前はあのオーケストラ、今度はこのオーケストラ、猫の目で、専属オケが無いから落ち着かない。ましてレパートリー形式なんて無理。(目指しているのかどうかは知りませんけど)
やっていることが悪いなんて言ってません、でも、
誰かが、現場で、オペラの鉄火場修羅場を潜り抜けさせ引っ張っていく才覚指揮者が必要ですよ。
総花的なのも悪くはありませんが、なにかこうもう一つ一貫したものが欲しいような気もします。今のままだと日本のオペラの歴史ってあとからみてもたぶん散文的。

それでもこのパルジファル、5日間で4公演、集中的に楽しめました。総合芸術のだいご味を十分に味わい尽くすことが出来ました。飯守さんが当公演の芸術監督風に全てをコントロールしていたかどうかはわかりませんけれど、みんなそれぞれの役割をしっかりと果たし結果、それらの積み重ねで素晴らしい果実が出来上がったのだと思います。バックステージ・ストーリーは好きでないので憶測ですけれど、昔に比べ舞台の運びなど、システマティックで機能的で効率的になっていて、コントロールタワーがそれなりにできあがりつつあるのかな、とも思えました。オペラの内容は別にしても運営、現場でのリーダシップ、このようなことはひとつの流れが確立してきているのではと。
ただこの総合芸術は、手順書なんか作ってもそんなにうまくいくものではなく、やっぱり現場での経験の量と質、これが勝負であることは言を俟たない。飯守はその点、みんなの精神的な支えでもあったような気がします。


暗い中、幕のタイミングを実測してみました。第1幕に関してはこの日が一番長かったですね。もとが長いから長くなるのは相応ではないかという話もありますが、それは伸び縮みを考慮した物言いではないので一理でしかない。
舞台に集中しているとよくわかりませんけど、アゴーギクが結構出てきていて、それが、物語の展開と滑らかに一致してきているのはやっぱり4日目だからです。これ、たとえばレヴァインが4日間別のオペラA,B,C,Dを振った場合、4日目のDオペラもA,B,Cのなんというか経験的蓄積物を効果的に発揮できるんですね。それぞれ別のオペラなのに。
音楽と演出の展開の一致が滑らかに出せるんですよ。説明しにくいですが、それが経験なんですね。
この4日目に初めてそのようなことを遠い昔の記憶の中なら思い出すことが出来ました。
.
この日はあまり考えず身を任せる感じで、それになぜかセンター右左誰もおらず、連れと二人で一ライン占領。わけあるようですけどよくわからないので、ここでは触れずティトゥレルの棺桶に入れておきます。
かなりリラックスして楽しめました。内容については前三日で書いてますし、特に書くことはありません。


今回4日間集中して観たのですが、個人的にこのような追っかけスタイルをたまにとります。極端だったのが、
2002年にバレンボイムとベルリン国立歌劇場が約一ケ月日本に居座り、日本史上初のリング・サイクル3回転(笑)というのを敢行しましたが、あれ全部観ました。4×3=12ですね。
オーケストラの公演も二つあり(ブラレク、第九)、それも全部追っかけましたので、財布が重力あるなしにかかわらず、吹く前に飛んでいきましたけど。体にも良くはない。
バレンボイムはあるテーマの公演を集中的にする、聴く方もその癖がついてしまってます。彼の演奏はずっと昔から聴いてますが、バイロイトや他オペラハウスでの鉄火場修羅場を潜り抜けてきた人間にとって、例えば、シカゴ時代のブルックナーの8番なんて、余興です。聴きに行ってホテルまで追っかけ、サインもらいましたけど。

あと、どちらかというと音楽の形式なんかがあったほうが追い易くて好き(楽)、だけどオペラに一度はまっちまうと、こうなる。
イタオペ、ドイオペ、ロシオペ、みんな好きです。
ロシオペのオールジャパニーズキャストというのは観たことがありませんけど、そのうち観てみたいですね。ボリス、ホヴァンシチーナ、オネーギン。
おわり


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2 コメント

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おはようございます。河童さま、ブログの内容も素... (naniwanonagori)
2012-09-21 08:17:54
おはようございます。河童さま、ブログの内容も素晴らしいんですが、それ以上にこれ4日間付き合われたそのスタミナに敬服いたします。

ヴァーグナーは腰にこたえるから敬して遠ざけている私なんかからすると、驚異の一言(笑)

とても同年輩の方とは思えませぬ。今宵も銀座でよいお時間を。
返信する
naniwanonagoriさま (河童メソッド)
2012-09-22 12:07:27
naniwanonagoriさま

コメントいつもありがとうございます。
オペラの時は、水抜き、食べ物抜き、体を軽くして、気持ちはリラックスですね、それにコンサートとか電車の中とか居眠りしないたちですので。
これから芸術の秋に向かいますのでさらに楽しみたいと思います。
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