2014年11月20日(木)7:00pm サントリー
コープランド アパラチアの春
13楽器のためのバレエ (原典版) 35′
Int
シュトラウス 13管楽器のためのセレナード Op.7 9′
メンデルスゾーン 交響曲第5番 宗教改革
(ホグウッド校訂版第2稿) 10′5′4′8′
ポール・マクリーシュ 指揮 東京都交響楽団
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ホグウッドが振る予定だったが亡くなってしまい、プログラムを変えずマクリーシュという指揮者が振ることに。
マクリーシュは知る人ぞ知るということなのでしょうが、ボクは名前も初めて聞く状態。全くのお初です。
結果、本当にしっとりとしたいい演奏会、ホグウッドも天国で満足していたことでしょう。
コープランドとシュトラウスは13楽器のスモール編成、同じ編成の曲の間に休憩を入れるあたり、それなりに考えたものでしょうね。休憩という変化で、一呼吸置く感じ。
マクリーシュは長身、この2曲は椅子に座りながらの指揮。これがなかなかいい。特にアパラチアの原典版という貴重演奏はロングであり、また双方の目位置的にもちょうどいいのではないかと感じられました。
13楽器という音色変化としては限度がありそうなアパラチアの春、と思うことなかれ、いやはやなんともしっとり感の漂う本当に素晴らしい佳作と演奏!
バレエ曲と言いつつ、アメリカ開拓当時の、煙突から煙たなびく、うねる平原、煙の匂いまで脳裏をかすめてやまない、なんだか懐かしい昔が自分にもあったデジャビュ。
昔の英国風味と言われればそれもありかなと、いろいろ思いたくなるが、やっぱり、コープランドならではの少しドライな音色の中に、しみじみとしたウエット感は聴くほうが積極的に感じてくれ、といった割と割り切った世界も垣間見せながら、やっぱり独特。
気持ちが落ち着きました。
これに比してシュトラウスは策が過ぎるのが耳に聞こえるこれもまたシュトラウスならではのもの、響きの綾のめまぐるしさをよく感じ取ることが出来ます。
リフォメーション第3楽章の下降音型そしてすぐ上りつめる、亡きホグウッドへの涙雨、メンデルスゾーンの泣き節が人の心をうつ。
コープランド、シュトラウスと流れてきたプログラムはジャストフィットなメンデルスゾーンとなりました。前2曲よりはるかにウエットな音楽が心にしみてきます。なんという美しさか。
チューバのパートは本来用いられるべきセルパン、初めて見ました。グネグネとパソコンのパイプスクリーンセーバーのような雰囲気。音自体は特に目立つこともなくとうとうと流れる音の束に溶け込んでいく。このオーケストラ特有の硬質でクリアなサウンドに何かが付け足された感じ。セルパンの出番は終楽章導入部からと思われますが、音楽と演奏、素晴らしいものになりました。
ホグウッドの思いも伝わってくるいいプログラム、演奏。ありがとうございました。
おわり