河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

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1454- タンホイザー、オペラパレス、新国立、初台2013.2.2

2013-02-04 23:35:00 | オペラ

2013年2月2日(土) 2:00pm  オペラパレス、新国立劇場、初台

ハンス=ペーター・レーマン プロダクション
プレゼンツ

ワーグナー タンホイザー

キャスト(in order of appeaance)
ヴィーナス、エレナ・ツィトコーワ
タンホイザー、スティー・アナセン
ウォルフラム、ヨッヘン・クプファー
ワルター、望月哲也
ビテロルフ、小森輝彦
ハインリヒ、鈴木 准
ラインマル、斉木健詞
イェリザベス、ミーガン・ミラー


新国立劇場合唱団
コンスタンティン・トリンクス、指揮
東京交響楽団


ストレートなストーリーなので舞台にはメリハリ、コントラストの妙があれば楽しめる。
いきなり舞台が底から上に移動したりして期待感を持たせたが、結局この第1幕から最後の3幕までかわり映えのしないものでした。引っ越し公演用の舞台と言われてもしかたがないでしょう。このようなクリスタルっぽいのは使い古されてしまっていて、今ではかえって逆に、山があり谷があり草木が生え水が流れて神様がいる。ワーグナーにこんなイメージを持っている人たちもいますね、そもそもオペラも観劇の一つであってそうゆう人たちにとってはそれなりのイメージがある(実際にそのようなイメージを抱いている人たちもおります)、それでよかったのではないか。
演劇要素、アクション、よみかえ、いろいろありますが、それらは素材であり一度使えば、次に自分がやらなくても誰がやっても陳腐化してきます。初めて観る人、たまにしか観ない人たちにとって自分たちの立ち位置というかストリーム、音楽シーンを捕まえ切れていないわけで、そんななかで妙なプロダクションとかだと放り出された感じになる。この日の演出は、妙ということはありませんでしたけれど、あれだけ動かないのなら、山谷川海でいいのではないか。
全体に動きが無いので演劇的なリスクがあまりなくて、思いっきり歌に集中できるという側面、本来部分を側面というのも変ですが、この日の演奏は、歌も側面止まりでした。
硬い声から柔らかい声まで、いろとりどりでしたけれど、ウォルフラムのヨッヘン・クプファー(ハーリ・クプファーと何か関係がありますか?)の非常に柔らかい声、舞台を轟かすようなものではなく、本人の静かさが聴衆の静かさを誘導する具合で、聴き耳を立てさせるレベルはたいしたもんだと思いました。欲を言いますと山と谷が欲しいですね。
イェリザベスのミーガン・ミラーは舞台映えのする人で魅力的でした。第2幕の最初の方は今ひとつでしたが、だんだんとエンジンがかかってきたのか、やはりメトのような大舞台に容姿、声ともに向いていると思いました。割とファンになりました。
ヴィーナスとタイトルロールは新たな歌い手に期待しましょう。
ニュー・プロダクションが必要ですね。
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棒のトリンクスは、第2幕の歌合戦と、ローマへ、あたりがやたらと高速運転。このほうが音楽が生き生きとして、また歌い手たちもノリよく歌えると思います。知り尽くしている聴衆だったらいいですが、この劇に初めて接する人にとっては少し違和感があったかもしれず。それと第1幕の序曲からバレエの終わるところまで30分。いかにも長い。ここでストーリーを作れないので、残り第1幕40分ほどで展開させるのは演出的にも結構厳しいのではないか。
それから今回の舞台では、第1幕第2幕ともに音が出るや否やすぐに幕が開いたので開放空間での鳴りでほっとした。第3幕はワーグナーらしくなかなか開かない。
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オーケストラは荒く、大雑把とは言いません、荒い。特にブラス・セクションはオペラの呼吸になっていない、オペラの呼吸を感じて吹奏しているのかどうか、ここら辺は指揮者のせいかもしれません。オーケストラから歌は聴こえてきませんでした。
合唱の方がオーケストラより精度が高かったと思います。動かない演出ということもプラスの要素で、かなり圧力あり。オーケストラより合唱の方が練習量が多いのは明らか。
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舞台、演出全体的には、ワーグナーのカタルシスのようなものが感じられず、あの最後の音の後すぐにもう一度全曲やれば。
おわり
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