河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

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OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。

583- 未完成 ケルテスとムラヴィンスキー

2008-03-23 17:22:15 | 音楽

Scan10013

イッシュトヴァン・ケルテス指揮ウィーン・フィルのシューベルト全集はいいですね。

未完成はLPで持ってて聴いたことがあったのですが、こうして1番から全部聴いてみると、ウィーン・フィルの魅惑的な音とともに、滑らかでそれでいて引き締まった素晴らしい演奏にあらためて感動をおぼえます。

それに当時のゾッフェン・ザールの音響の良さにも耳をみはります。昔、このホールで夏のコンサートを聴いたことがありますが、粗雑におかれた折りたたみ椅子に座って聴いた演奏もさることながらサウンドの素晴らしさに気持ちがわくわくしてきたことを思い出しました。

その後2001年に火事で使えなくなったようですが、焼け落ちたわけではないようですね。

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1番から順番に日をおいて聴いてみたのですが、どれもこれもほれぼれするような演奏、サウンドですが、その中でやはり一番は未完成でしょうか。曲自体がものすごいということもあるのでしょうが、彫の深い演奏ですがそれがどぎつさがなく、いつの間にか自然に美の深淵に引きずり込まれるような、非常に滑らかでそれでいてふところの深い見事な演奏と言えます。

人によっては未完成よりほかの第45番あたりがより魅惑的と感じるかもしれません。早い話どれもこれも再聴したくなるような演奏ばかりです。序曲も3曲はいってます。

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シューベルト/交響曲第1,2,3,4,5,6,8,9

シューベルト/「悪魔の別荘」序曲

フィエラブラス序曲

イタリア風序曲

イッシュトヴァン・ケルテス指揮

ウィーン・フィルハーモニカー

録音/ゾッフェンザール、1963-1971

DECCA UCCD-3547/50

2006.5.24発売

それで、未完成といえばやはりこの人の演奏を聴き逃すわけにはいきません。

ムラヴィンスキーですね。

2楽章中間部の誰でもがする強奏フォルテッシモをメゾピアノあたりからはじめるところで毛が立ちます。

ムラヴィンスキーの未完成は河童の蔵にもありそうであまりない状態です。

シューベルト/交響曲第8番未完成

エフゲニー・ムラヴィンスキー指揮

レニングラード・フィルハーモニー

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1977.10.12東京文化会館CD KING ALT053

1978.4.30レニングラードCD BMG BVCX-4002

1978. CD AUDIOPHILE APL101.508

1978. レニングラードCD  ARTISTS FED043

1978.11.19ミンクス VHS リハーサル

1978.11.20ミンクス VHS

1983.11.20ミンクス 1992.9.6放送DAT

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1978年のAUDIOPHILE ARTISTSCDは詳細記載のない海賊盤に似ていますが、1120日演奏のVHSより前に発売されてますので、おそらく430日の演奏ではないでしょうか。ここらあたり細かく検証するまでの熱はありませんので、その筋の人たちにお任せです。

1983年の演奏は、1992.9.6のブロードキャストをエアチェックしたものですが、当日は日曜ですので、NHK-FMではなく、FM東京の朝の放送を取った可能性が大です。

などと他人事のように書いてますが、自分で取ったものは責任もって書いたら。といいたくなります。

が、

あいにくと今は亡きDATに収録。河童の蔵の奥深いところで眠っております。

1,500本のDATがこの悪夢から目覚めることがあるのでしょうか。

全部で三百万円ぐらいなら手放してもいいかな、悪魔の考えも思い浮かんだりします。

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話がいつもどおり脱線しました。

ムラヴィンスキーの未完成の録音で一番特徴をとらえているのは1977年上野での演奏ではないでしょうか。

どつくティンパニー、肺腑をえぐるティンパニー、これでもかこれでもか。

ムラヴィンスキーの意識は未完成に対しても常人の考えをはるかに逸脱した美意識なのでしょう。

そして、今では考えられないようなレニングラード・フィルの卓抜した腕と弦の美しさ。すべては透明であり一本でなければならない。冷たい美しさが聴衆の肌を切ります。

2楽章中間部のハッとする弱音から始まる破滅的な未完成の美しさ。

それぞれの美しさは何物にも代え難いが、美しさにも二種類あるといった感じで、両極端な演奏解釈、表現の違いの幅、指揮者というものの存在。いろいろと考えさせられます。

また、両者ともに、妖艶、という言葉には少し遠い。

まだまだ別の美しい演奏の未完成があるのだろうと思う。

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