河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

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OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。

メシアン 主イエス・キリストの変容 日本初演

2006-08-20 00:01:00 | 音楽

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フランスの威信をかけ総勢300人規模におよぶ陣容で、70才になったメシアンともども日本に殴り込みをかけてきたのは、1978年のことであった。

この日、マゼールは作曲者自身を前にして、日本初演となる「主イエス・キリストの変容」を指揮した。最強のメンバーとともに。

ソリストはメシアン夫人のイヴォンヌ以外は、パトリック・ガロワはじめ全てこのオケのメンバーである。コンマスのパトリス・フォンタナローザ、レジ・パスキエ、という布陣をヘッドに有無を言わせぬ史上最強のプログラム。

1978715()19NHKホール

君が代

ラ・マルセイエーズ

オリヴィエ・メシアン作曲

合唱と7独奏楽器とオーケストラのための

「主イエス・キリストの変容」(日本初演)

イヴォンヌ・ロリオ、ピアノ

パトリック・ガロワ、フルート

ルシアン・ルメール、マリンバ

J.クロード・タヴェルニエ、ヴィブラフォン

ロジェ・アルバン、チェロ

ギー・ダンゲン、クラリネット

ベルナーレ・バレ、シロリンバ

ロリン・マゼール指揮

フランス国立管弦楽団

フランス国立放送合唱団

(ロジェ・ワーグナー指揮)

「やった」という雰囲気である。

レコードもなければ前提知識もない。そんななかで何故か曲の輪郭は理解しやすく、音も自分にはなじみのあるものだ。演奏も日本初演というメルクマールにとどまらず、ふところの大きなものであった。現代音楽ではなく偉大なる時代音楽。現代という時代に作られた音楽を、身をもって体験。

そしてマゼールの力。それに応えるオーケストラと合唱団。前に一度聴いたことでもあるかのように明晰にわかりやすくメロディー重視の指揮。マゼールのビートはレコードで聴いてもよくわかるし、実際、指揮を見るともっと素晴らしく聴こえる。今回感心したのは粘着質でない歌わせ方である。セクション毎に、また、メロディー・ラインの束毎に、それぞれ自己主張させることにより、あまり粘り気の無いそれでいてよく歌う感覚。異様に現代的である。スポーティーな感覚とはちょっと違う。

曲は原題に気をとらわれなくても分かり易いし、やりがい、聴きがいのある曲だと思った。無調メインの、ときの現代音楽とは同一線上にはない。

すぐ近くに座っていたメシアン自身といえば、畳半畳サイズの総譜をひたすらめくりまくっていた。そして演奏後のあの喜びようは、きっと、作曲どおりの指揮であったのであろう。

1セプテネール:3113

休憩

2セプテネール:6002

プログラムには何故か秒単位でタイミングが書いてあった。この時代、参考になるレコードなどがあったのであろうか。この日このタイミングに近いものだったかどうかは定かではない。

ところで、この日は来日2日目。昨晩は別の曲これまた一曲のみ。そして昨晩も今晩も演奏に先立ち国歌演奏があった。国歌演奏への正しい接し方とは?

クラシックの演奏会と言うのは、司会者もいないし水先案内人もいない。時刻になるとオーケストラ、聴衆ともどもちゃんとそろいあとは指揮者の登場を待つばかり。そしてコツコツという靴の音とともに指揮者があらわれ、ポーディアムにあがって棒とともに曲が始まる。そして曲が終わり拍手も終わると自然に散会となる。定められた儀式。

昔は海外の演奏団体来日時はよく国歌が演奏されたものだ。定められた儀式の最初に国歌演奏があるかどうかは始まってみなければわからないのである。最初の音がプログラムの最初の曲の第一音ではなく、君が代だとわかった瞬間、聴衆は自席で起立しなければならない。両国国歌が演奏し終わるまで粛々と立ち続けなければならない。また、一緒に歌ってはならない。例えばメイン・イヴェントがサッカーである場合の国歌演奏の伴奏とは基本的に異なり、それを奏している演奏団体の演奏を聴くのが今夜のメイン・イヴェントなのであるから、君が代もラ・マルセイエーズもメイン・イヴェントである。従って、「主イエス・キリストの変容」と同じスタンスで聴くべきである。そのようなスタンスで聴くということは自然と愛国者意識、国威の高揚などとは少し距離をおいたかたちにならざるを得ないのも事実だ。君が代における中低音の充実度、ラ・マルセイエーズにおける高音部の巧みなアンサンブル。みごとな演奏であり、オーケストラの実力を感じさせる。君が代は昨晩とは若干表現が異なっていた。とくに終結部のニュアンスが指揮者指示と思われる明らかな違いがあった。2日間で二通りの演奏を聴けてラッキー。

プログラムによると当夜のブロードキャストがあったようだ。それについては全く記憶にない。このとおり行われたとすると、音も画像も残っているはず。

8/27()NHK-FM 15:00-18:00

9/3()NHK教育TV 14:00-15:45

現在はCDで割りと聴けるようであるが、ライナーノートのことも考慮すると是非国内盤をゲットするべき。下記の国内盤があるかどうかはわからないがとりあえず参考まで。

ミュン・フン・チュン指揮フランス・ラジオpo.cho.(DG)

Reinbert de Leeuw指揮koor van de brt bruxelles(NAIVE)

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