書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

 『荘子』「齊物論」のいわゆる“胡蝶の夢”の部分についての私見

2017年01月21日 | 哲学
 昔者莊周夢為胡蝶,栩栩然胡蝶也,自喻適志與!不知周也。俄然覺,則蘧蘧然周也。不知周之夢為胡蝶與,胡蝶之夢為周與?周與胡蝶,則必有分矣。此之謂物化。 (テキストは中國哲學書電子化計劃から) 

 この“胡蝶の夢”のくだりを、ウィキペディア同項は、「万物は絶えざる変化を遂げるが、その実、本質においては何ら変わりのないことを述べているのである」と、解しているけれども、どうだろう。
 「人間の精神と認識と知恵は有限だから、最初からわかるはずがないものを一所懸命ことわけて考えてみてもしかたがない」という意味なのではないかと、私は一読以来、思っている。どちらも自分であること、それだけは確かだ、ならばそれでよいではないかと。
 さらに個人的な印象を述べると、おそらく分析的に考え言挙げしようと思えばおそろしいほどにできるはずの男がそう言うところに、却っての重みと凄みがあると感じる。