書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

網谷祐一 『理性の起源 賢すぎる、愚かすぎる、それが人間だ』

2017年03月04日 | 哲学
 出版社による紹介

 「ヒューリスティクスを使っていることが人間が理性的であるということ」というギゲレンツァの議論が紹介されてそれがそのまま用いられているが(110頁)、思考を節約する(といえば聞こえはよいが「これまでそうだったから今度もそうだろう」と思考を停止して飛躍させる)ことが、「合理的」乃至「理性的」ということになるのだろうか。
 また、冒頭の「理性」の定義がreasonのことを言っているのか、あるいはrationalityのことを言っているのか、すくなくとも私にはよくわからない。一緒に論じているのだとして、それは妥当なのだろうか。

(河出書房新社 2017年2月)