書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

トーレイフ・ボーマン著 植田重雄訳 『ヘブライ人とギリシャ人の思惟』

2018年08月24日 | 西洋史
 (古典)ヘブライ語では「やぐら」という詞は「征服しがたい者」「近づきがたいもの」「誇り」「純潔」「処女性」という意味もあるという(第二部第二章「人間の印象」本書120-121頁)。これらは隠喩・提喩そして換喩である。それぞれ結びつけかたが言語またその背後にある思惟もしくは文化伝統によって異なるということがよくわかる。理屈立てて説明されれば――実際ここでされているわけであるが――、一見してやぐらがどうして純潔になるのか、処女性を意味するのかはわかりにくい。

(新教出版社 1957年9月)