書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

小林標 『ラテン語の世界』

2016年08月18日 | 西洋史
 このなかで、ラテン語に対するギリシア語の関係を指して、「傍層語」=すぐ近くにあって長時間影響を横から与える言語との位置付けがなされている(「Ⅳ 拡大するラテン語」99頁)。例えば日本語では以前は中国語で今は英語がそれに当たると。
 かつて橋本萬太郎氏は、傍層語という語は使わぬまでも、殷の言語と周の言語とをギリシア語―ラテン語の、いま述べた両者間の関係に擬えられた(諏訪哲郎編 『現代中国の構図』古今書院1987/5所収「民族と言語」65頁)。どうなのだろう。

(中央公論新社 2006年2月)