書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

大野晋 『日本語をさかのぼる』

2018年08月24日 | 人文科学
 出版社による紹介

 なかで、“いくさ”という言葉の意味の変遷が説かれる(「第三の型―語の変身」同書35-37頁)。『万葉集』の時代にはもともとは朝鮮語で「鋭い矢」を意味したこの詞が、→「それを使う動作」→「それを使う人」→「その人の集まり」という“変身”を経て平安・鎌倉時代の「その力の激突」へと“転化”してゆく。大野先生はそうは言っておられないが、この変身や転化を換喩の変遷もしくは発展と見てもよくはないか。

(岩波書店 1974年11月)