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書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

『ベトナム独立宣言』(1945年9月2日)を読んで

2011年10月03日 | 地域研究
「『ベトナム社会主義共和国憲法』(1992年4月15日)から (その4)」より続き。

 「ウィキペディア」日本語版の日本語訳。〈部分)
 
 全ての人間は平等に作られている。人類はその創造者によって奪う事の出来ない権利が授けられている。それらは生命、自由、そして幸福の追求である。 この不滅の宣言は1776年のアメリカ独立宣言の中に盛り込まれた。より幅の広い感覚で言えば、これは次の意味である。地上の全ての人類は生まれた時から平等であり、そして全ての人々は生きる権利、幸せになる権利、そして自由の権利を持っている。 1791年に行われたフランス革命に於ける人間と市民の権利の宣言も同様に宣言している。 全ての人間は自由として、平等な権利を持って生まれている。 それらは否定出来ない真実である。 であるにも拘わらず、80年以上に渡ってフランスの帝国主義者たちは自由、平等、友愛の精神を踏みにじって我々の祖国を侵害し我々の市民を圧迫して来た。彼らは人間愛や正義の理想と相反する行動を取って来た。
 (「ベトナム独立宣言」

 「ウィキペディア」の英語版の英訳をも参照する。(部分)

  The compatriots of the entire country,

  All men are created equal; they are endowed by their Creator with certain inalienable Rights; among these are Life, Liberty, and the pursuit of Happiness.
  This immortal statement was made in the Declaration of Independence of the United States of America in 1776. In a broader sense, this means: All the peoples on the earth are equal from birth, all the peoples have a right to live, to be happy and free.
  The Declaration of the Rights of Man and Citizen of the French Revolution made in 1791 also states: All men are born free and with equal rights, and must always remain free and have equal rights.
  Those are undeniable truths.
  Nevertheless, for more than eighty years, the French imperialists, abusing the standard of Liberty, Equality, and Fraternity, have violated our Fatherland and oppressed our fellow citizens. They have acted contrary to the ideals of humanity and justice. 
"Proclamation of Independence of the Democratic Republic of Vietnam"

 こうしてみると、ベトナム革命はそれまでの人類(西洋)の思想や文化的遺産を、とくに人権や自由や民主主義に関して、普遍的な価値として受け入れ、さらに受け継ぐ立場を取っていたことがわかる。だから、1992年憲法がもしその中にリンカーンの「ゲティスバーグ演説」の一句を取り入れていたとしても不思議ではなく、むしろそれは当然のことであろう。この点、ベトナムの革命精神は、旧ソ連のマルクス・レーニン主義(スターリン以後のと限定をつけるべきかもしれないが)および中国の毛沢東思想とは、完全に異質である。はっきりいえば最初から袂を分かつものであったと言えるのではないか。

「中国版ノーベル賞『孔子平和賞』、文化省が授賞式を中止」 から

2011年10月03日 | 抜き書き
▲「AFPBB News」2011年10月02日 18:28 発信地:上海/中国。
 〈http://www.afpbb.com/article/politics/2832124/7862582

 一方、孔子平和賞の劉浩峰(Liu Haofeng)実行委員長は、複数の団体が同賞のスポンサーに名乗りを挙げていると述べ、「これまでの主催者が排除されただけ」で、式典は予定通り12月に開催されると語っている。

 いつぞやの吉利自動車の李理事長の発言と同じ性質と目的のものかどうか。ただし今回面子を守るためのデマと簡単に言い切ってしまえないのは、またその一方で、中国政府はこんなこともしているからだ。利用価値があるとなれば、この賞はいつでも復活するだろう。しかし中国の保守派は本当に時代錯誤である。全世界を紀元前の状態に戻そうというのだから。私に云わせれば、いまの時代に孔子と当時の原始儒教を担ぎ上げるのは安藤昌益の自然真栄道をこんにち本気で実現しようとするのと同じくらい愚昧な行いである。

「安重根記念館、国民の募金1億円が宙に!?」 を読んで

2011年10月03日 | 地域研究
▲「Chosun Online 朝鮮日報日本語版」2011/10/02 08:11、キム・チュンリョン記者。
 〈http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2011/10/02/2011100200055.html
 〈http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2011/10/02/2011100200055_2.html

 副題「予想を上回る募金額 建設委『奨学財団を設立する』 行政安全部『待った』」。

 建立委員会は、残った募金14億ウォンで、記念館とは別に奨学財団を設立する計画を打ち出した。すでにほかの目的で発足した「虞犯奨学財団」の財源にこの14億ウォンを組み入れ「義士安重根将軍奨学会」を新たに設立するというのだ。これについて建立委員会の関係者は「安重根義士の精神を受け継ぐ人物を養成することは、記念館設立の趣旨と同じ」と語った。〔略〕
 だが、寄付金や募金の使用について監督する行政安全部(省に相当)は、建立委員会の財団設立計画に「待った」を掛けた。募金した国民は記念館建設のためにお金を出したのであって、別の奨学財団を支援するために募金したわけではない、というのがその理由だ。行政安全部のヤン・スンジュ主務官は「募金を集める際には、どのような目的で使用するのかを明確にし、1‐2年以内の使用計画を行政安全部に提出しなければならない。だが、ほかの奨学財団の基本財源に組み入れて運営することになれば、募金をいつ、どのような目的で使用するのかという用途を把握することができなくなる」と説明した。


 基本的に彼等は頭がおかしいのだから、殺人犯を顕彰したり将軍呼ばわりするのはもう何も言わないが(我が国にも葦原将軍の例がある)、それにしても何でこんなにルーズなのかね。「ほかの奨学財団の基本財源に組み入れて運営することになれば、募金をいつ、どのような目的で使用するのかという用途を把握することができなくなる」と言う行政安全部のほうが正論だ。

 だが、建立委員会側は、奨学財団の設立に向け作業を進めている。建立委の関係者は「募金を集めて国の建物を建設したのだから、その建物の維持・管理・保守は国家がすべき」と反発している。今年4月に行政安全部から財団設立を承認しないと通告された建立委員会は、直ちに国民権益委員会に申し立てを行った。だが今年7月、国民権益委員会も同様に建立委員会の主張を受け入れることはできないとの判断を示した。このため建立委員会は同月のうちに、首相室傘下の行政審判委員会に行政審判を要求し、現在審議が行われている。記念館がオープンしてから1年が過ぎようとしているにもかかわらず、国民から寄せられた募金の14億ウォンは、使い道が決まらずにいる。

 「募金を集めて国の建物を建設したのだから、その建物の維持・管理・保守は国家がすべき」というのも甘えもはなはだしいが、それより、事業完遂してなお寄付金が余ったら寄付者に返還すべしと考えるのがまっとうな筋というものではないのか。それをまず思いつかないところが、頭がおかしいと言っているのだ。

「中国のイノベーションが米国を超える時=本当の脅威とはなにか―米紙」 を読んで

2011年10月03日 | 地域研究
▲「レコードチャイナ」2011-10-03 07:39:49、翻訳・編集/KT。(全)
 〈http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=54808

 2011年9月27日、米紙ワシントンポストは記事「中国について本当に恐れなければいけないポイント」を掲載した。10月1日、環球時報が伝えた。
 現在、中国の学術論文発表数、特許登録数が激増し、イノベーションの分野でも中国は米国を上回るのではないかとの不安が広がっている。だがそれは心配するべき点ではない。中国の学術論文の多くは重要ではないか、盗作でしかない。政府の資金援助を受けた科学研究機関もほとんど何も生み出していない。中国の特許にいたっては何一つ新しいものはなく、中国に進出した外資系企業から金をむしるツールでしかないのだ。
 中国について、本当に恐れるべきは優秀な次世代が育ちつつある点だ。トップクラスの大学を卒業し、起業しようとしている大学生たちこそが、真の意味での脅威だ。彼らは欧米の同世代と同じく、聡明で進取の気性に富み、野心に燃えている。
 以前はリスクが高い起業は社会的に敬遠される存在であったが、初期のIT企業の成功により、そうした見方には変化が生じている。むしろ起業は優秀な若者が目指す新たなトレンドとなった。
 残された障壁は2つ。第一に大企業が成功者の技術を盗むこと。第二に成功後に官僚がその利益を奪おうと介入してくることだ。もし中国が法治を強化し、この2つの障害を取り除いたとするならば、その時こそわれわれは本当に恐れなければならないだろう。


 まさにそのとおり。以前、林思雲氏や私が、将来の見通しについて修辞的に肯定的か否定的かといった点や全体的な議論での重心の置きどころは異なるものの、趣旨においてはほとんどこれと同じようなことを言っても何の反応もなかったが、今回、あの「ワシントンポスト」が言ったとなれば、事情はおおいに変わってくるだろう。いや変わってもらわなければ困る。