くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「笑う書店員の多忙な日々」石黒敦久

2018-06-01 22:54:47 | YA・児童書
 ラノベだなー、という感じ。
 石黒敦久「笑う書店員の多忙な日々」(メディアワークス文庫)。本関連の作品は買うようにしているのですが、おもしろいとは思うのですが、なんでしょうね。先日、額賀さんの本を読んだら「ラノベにはカタルシスが必要だ」というような記述があり、そのことが頭に残っていたので予定調和のように感じてしまったのかもしれません。
 だって、主要人物がゲラを読んでどうしても売りたいとフェアを仕掛けた本が、売れない展開にはならないでしょう?

 四谷書廓堂。個性的な駅前書店で働く奈津は、アルバイトの紗和の教育を任されます。
 お嬢さん大学の新入生だから、そうそう続くまいと思ったのに、紗和はいつの間にか店に馴染んでいくのです。
 万引き犯を抑える手法、サイン会で女子高生に殴られかけた作家、初版六千部の新人作家の本を五百冊買いきりで仕掛けるフェア展開。
 それと、ビブリオバトルです。
 営業の大王との出会いも含め、好きな女の子が転校するので告白の権利を懸けて本を紹介する。
 さらに、ビジュアルが自分の好きな作家に見えるという「神様」。(奈津には星新一、紗和にはドイルに見える)
 なんか、こういうの、若い子は好きなんでしょうか? わたしにはざらざらしたようなものが残りました。
 前述の殴られかけた作家のエピソードは、娘との行き違いと、亡くなった旦那さんとの思い出に縛られる話なんですが、えーと……アダルトチルドレン? と感じてしまうのですが。(でも、アダチル好きな読者って多い気がします)
 
 ところで、星新一を「シンイチ」と呼ぶのってありなんですかね?(奈津はそう呼ぶのです)
 わたしが文学者を名前で呼ぶ場合を考えると、啄木、光太郎、漱石、子規、鴎外、茂吉、 三重吉、安吾、鏡花……。
 苗字なら、芥川、太宰、谷崎、といったところ。星新一はフルネームで呼びます。(菊池寛もここ)
 全体的にはきらいなテイストではないと思うのですが、続編が出ても買わない気がします。