くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「よちよち文藝部」久世番子

2012-11-13 21:23:06 | コミック
 先日「暴れん坊本屋さん」の新版が出ていて、その帯に「よちよち文藝部」の広告が載っていたんです。その場で目を皿のようにして探したんだけど見つからなくて、今日まで探し続けてきました。近所の図書館に寄ったところ、返却棚にあるじゃないですか。
 借りるべきか。買うまで待つべきか。うーんと悩んだんですが、もう一冊借りる余裕があったので借りてきました。久世番子「よちよち文藝部」(文藝春秋)。東京のベストセラーリストに載っていましたよ。
 わたくし、国語教師の身の上ですから、一般的よりは多少文豪についての知識はあります。「名作文学ゲームで遊ぼう」の元ネタも、明かされる前にバッチリです。「山椒魚」にクスッと笑い、その後「恩讐の彼方に」にはやられました。ゲームしないんで、実際にプレイする人はもっとおもしろいんでしょうね。ついでにいえば、普段まんがで大笑いしたりもしないんですが、番子さんうまいところを突いてくるんだよなぁ。「散歩の達人」梶井基次郎、タイトルイラストがおかしいっ、可笑しすぎる。だって「ザ・テレビジョン」の表紙になってるんだよっ、レモン持ってるよ!
 わたくし、高校時代に梶井にはまりまして、つらつらと読みました。誰だっけ、梶井は写真が残っていなければもっと女性に人気があっただろうに、といったのは。(嵐山光三郎かな?)
 ついでに、川端も結構読みました。おすすめは「愛する人たち」と「掌の小説」です。正直「雪国」はつまんなかった。今回の「*」も、ちょっと中学校の図書室には置けないと思い知らされ、残念です。(図書費があと一万六千円あるようなので、選書中)
 啄木とか漱石とか、中也なんかその通りですが、番子さん、もしや「文人悪食」読みました? 「ありがとう、新○文庫」って言ってますよね。
 あと中島敦好きだったので、「悟浄男子」が作者のイメージだという説には頷けません。李徴は悟浄と同じタイプでしょうか。とはいえ、「悟浄歎異」読んでないけど。(高校の実力テストで部分的には読みました。忘れられないのは、「金輪際」を「きんりんぎわ」と読んだ男子がいたこと……)
 「李陵」も「文字禍」も硬派だと思うんですが。もんもんとした人に「名人」は書けないような気がします。 
 菊池寛、「真珠夫人」を読んでみようかしら。手紙ネタも楽しかった。芥川の「。……」の考察、深い。わたし、文芸部員でしたが、文化祭のときに通り一遍の調査活動しかしなかったな、と反省。(創作主体だったのです)
 今度本屋で見かけたら、買いますね。