くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「東山魁夷展図録」

2012-11-06 20:54:39 | 芸術・芸能・スポーツ
 宮城県美術館にて東山魁夷展開催中です。もう残り一週間ですけどね。見に行ってきました。生徒引率だったので駆け足で回るしかなかったのが残念無念。図録を買ったので、折りに触れて開いております。
 最も心に迫ったのは、「春雪」という作品。京都の北山杉を描いたもののようです。絵の前に立つと、自分もこの山の斜面でしんしんと降る雪を見つめているような、不思議な感覚に。春らしい大粒で雨混じりの雪が、画面のいたるところを埋め尽くしていきます。視点は遠隔であるのに、いつの間にか雪を見上げているような。そんな浮遊した意識を感じました。解説によれば青を基調にした色合いは魁夷の典型的タッチといえるのだそうです。でも、一緒に買ったポストカードセットには入っていない。画集を見直そうと思っています。
 「たにま」のラフスケッチもおもしろかった。こういう下書きを見ると、魁夷は非常に細かい線で丹念に描く人だとわかる。しかし、出来上がった絵は、大胆に省略されています。抽象でありながらそこに具体が見える、その技巧。
 「道」のラフスケッチでも、道端の草をじっと見るとシャープな線がしっかり描かれていることに驚嘆したものですが、今回は試作版も展示されていて感激。本作とは少し違う部分もありますよね。ショップで額絵を買いましたよ。
 何よりも嬉しいのは、図録には展示されていない作品も紹介されていること。「道」のラフも網羅されているし。
 素晴らしい作品に触れることができて幸せです。ランチで食べた季節のフルーツタルトもおいしかった。