くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「その時の教室」谷原秋桜子

2015-11-27 22:11:59 | ミステリ・サスペンス・ホラー
 学校ミステリと聞いて買ってしまいました。わたしは学校ものに弱い。
 連作短編四本の主人公は、いずれも教師です。「ウェディングセレモニー」という断章でつながれていますが、もともとは独立した短編だったようです。
 ストーカー被害に悩む美紀は、知り合いのいない埼玉の高校に勤めることにします。部活は演劇部を担当しますが、部長の瑞希にはなにやら秘密があるようで……。(「裏は違う顔」)
 読み始める前に、作者から「本を放り出したり、破り捨てたくなったり」するかもしれないというメッセージがあったので、どきどきしたのですが、わたしは別にそういうことはなく……。
 どの辺りですか? 周のこと? (「その時」)
 エクセルのオートフィルって、そんなこともできるんだなーと驚いた「桃里記」。嫌われていた同僚が実は人情のある一面を持っていたことに気づくストーリーなんですが、このパターンは「その時」にも「三十九枚の告発状」にもありますよね。
 わたしとしては、この「三十九枚」がもっとも印象的でした。
 帯によれば、「試験問題を配ったというのに、なぜ生徒は誰も解き始めようとしないのか」。
 ちょうどうちの学校でも試験が終わったところなので、この印刷方法わかりますよ。わたしは問題が見渡せるように順序を変えたり表紙をつけたりしますが、同僚がこの土肥原先生方式を取り入れていました。
 見方が違うと人物像も異なって見えるのですね。
 舞台は宮城県南の海岸線の街だそうです。この街もまた、「その時」を迎えたのでしょう。
 震災をモチーフにしたこの物語、いろいろと考えました。
 ところで、福島の入試制度は三期なんですか。考えてみると、他の県がどういう方法を取っているか、よくわからないですよね。
 谷原さんは初読みですが、現場の描写はよく知っているなーと感じました。