くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「滅びゆく動物」藤原英司

2015-07-09 20:41:02 | 自然科学
 最近似たようなタイトルばかり読んでいるような気がしますが、仕事なので仕方ないです。(好きで読んでいるんですけどね)
 「絶滅の意味」という論説文の補助資料です。内容をまとめて、そのあと調べ学習をするので、地道に入手しているのですが、先日、仙台駅前の大型書店でこの本を発見しました。
 藤原英司「滅びゆく動物」(保育社)。「カラー自然ガイド」の一冊です。やたらと懐かしい感じの写真なので、奥付で確認したところ……。
 初版は、昭和五十年発行……。改定して平成六年の発売でした。定価七百円です。(本体680円と書いてあるんですが……)
 
 のっけから、「ビクーナ」という動物登場! 「ビクニア」ともいうそうです。
 今まで十冊は絶滅に関わる本を読んできたけど、記憶にないよ! しかも、当時アルパカとの交配が試みられて、「パカビクーナ」という交雑種が誕生しているだそうです。えっ、この三十数年の間に、この動物はどうなったのでしょうか? それとも、現在では違う名称で呼ばれているとか?
 というのも、しばらく読んでいくと「ノトルニス」という飛べない鳥が紹介されていて、こちらは現在「タカへ」と呼ばれることが多いのです。
 交雑種は、遺伝子的に固有の生物と変わってしまうので、現在ならそういう種の保存はしないはず。
 さらに、ラッコの減少とセットで語られることの多い、ジャイアントケルプの海底林の破壊には触れられていません。ということは、キーストーン種という考えもまだなかったのかも。

 さて、後半には「なぜ減っていく動物を救わなければならないのか」という項があります。
 衝撃でした。7つの例が紹介されています。
「人類の滅亡を防ぐため」「子孫にありのままの自然を残すため」「人間のリクレーションに必要だから」「動物研究のため」「生態系保全のため」「可哀そうだからー生命をもつもの同士の連帯意識」「神が造った生命を守るため」
 何冊か続けて読んでいるので、同じテーマの文章にも出会ってきたのですが、例えば教科書の文章とは異なる部分がある。こちらは、生態系の中でキーストーンになる生物が予め分かるわけではないこと、将来役に立つかもしれない資源の可能性を失うこと、絶滅してから取り戻すことはできないこと(不可逆性)をあげていました。時期によって考えも変わるのだなと思います。
 
 ところで、ビクーナについて調べたところ、織り物に使う体毛のみを効率よく刈り取る方法が確立したため、濫獲が減ったそうです!
 そうやって種を救うことができるって、いいなあと思いました。