くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「レディ・ガンナー外伝」茅田砂胡

2011-04-25 23:24:01 | YA・児童書
ああっ、しまったっ、前任校に全部置いてきてしまったー。
茅田砂胡「レディ・ガンナー外伝 そして四人は東へ向かう」(角川スニーカー文庫)。シリーズを読み返したくとも、おいそれとは手に入りません……。
で、「ヘンリー」がどういう人なんだか全く覚えてないのです。ミュリエルはわかるのですが。ダムーじゃなくてもいいの、とすら思ってしまいました。
それ以外に登場するアナザーレイズは、これまでのおなじみキャラだったかしら。チェリーザやモームは以前出てきたんでしたっけ?
でも、今回はわりとストレートなラブコメが多くておもしろかった。
いちばん印象的だったのは、書き下ろしの「モームと真珠のブローチの話」。
水牛のモームは、あるデザイナーと知り合い、彼から自分をモデルにしたブローチをプレゼントされます。自分は冴えない男だと感じていたモームは、変身した姿が人から絶賛されることに驚き、そしてデザイナーが窮地に立たされていることを知り、駆け付けるのです。
男気あふれるモームが恰好いい。このブローチの前にも、祭での力比べで歓声があがる場面があるのですが、トランスフォームする自分の姿を見たことがない彼は、過小評価していたのですね。
アナザーレイズの人々から知恵を拝借したモームの、堂々とした駆け引きがすばらしい。わたしが茅田作品に求めていたのは、これだったのだわ、と感じました。やっぱりすかっとしないとねー。その前の窮地の出し方も理不尽で(笑)、その分痛快です。
今回は、姿が変化する様子を人目にさらすかどうかというのが、随所に出ていたと思うのです。
狼や獅子といった種族はためらいなく変化するのに、鳥は見られるのを嫌う。部分的に姿を変えることも(ハーフトランス)できるのに。そう考えるとダムーの変身は、どちらかといえば恥じらいがある方なのかも。
見かけははかなげな乙女でありながら、実は槍の達人であり、村を束ねる長でもあるチェリーザが、とっても魅力的です。でも、本当は四十くらいなのに十代にしか見えないってー設定は、ジンジャーを連想してちょっとがっかりしてしまうのですが。
茅田さんの魅力は、女の子が「強い」ことだと思うのです。力とか技とか、単純に言えるものではなく、気持ちがしっかりしている。芯があるのですね。
あー、どうやって読み返せばいいでしょう。前任校に忍び込む?