まさに時を得た書のタイトルです。
『原子炉を眠らせ、太陽を呼び覚ませ』
原発問題を整理し、代替エネルギー計画と原発の終焉のシナリオを示す画期的な「脱原発論」。著者、森永晴彦氏は、1922年生まれの原子核物理学者。東京大学理学部出身。東大にももちろん良心的な学者がいる。
今発売中の「サンデー毎日」2011.5.8/15号に、フクシマを眠らせ太陽を呼び覚ませ、と題した紹介記事がある。
今回の大惨事を「政、官、業、学」が“備えなければ憂いなし”で招いたもの。産官学の“原子村”の弊害。本書の中でも触れているが、日本の原発現場は、機械工学、システム工学を学んだものは多いが、不測の事態に役立つのは基礎物理、基礎化学の専門家。それはマニュアルでデザインするより原理原則が求められるから。日本物理学会の会員で電力会社に就職した人はほとんどいない、とも。
放射能に関する実験をしている工業高校はわずか。不必要に放射能を恐れることなく、学校における放射線・放射能教育の実施を主張している。高校化学でも学ぶことも推奨している。
「原子力技術はわれわれの限界を超え、われわれを全滅させうる可能性も持ってしまった。」(この学問的な謙虚さは、同じ東大出身でも大橋弘忠氏らとは大きく異なる)そこで森永氏は代替エネルギーとしての「太陽」に着目する。
三洋電機が提唱した「ジェネシス(GENESIS)計画」にも言及している。日本中の屋根の2分の1に太陽電池を設置すれば家庭の消費電力は大方まかなえると桑野幸徳氏(三洋)の言葉を引用。これからの時代は、三洋電機の蓄積されたソーラー技術力の登場が強く待ち望まれているように思えてならない。
先進的なこの書は1997年の初版。14年も前の警鐘だった。。
【写真】YOKOGAWA提供
原子炉を眠らせ、太陽を呼び覚ませ | |
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