Black Box | |
伊藤詩織 著 | |
文藝春秋 |
信頼していた人からの、思いもよらない行為。
しかし、その事実を証明するにはー密室、社会の受け入れ態勢、差し止めされた逮捕状。あらゆるところに“ブラックボックス”があった・・
しかし、その事実を証明するにはー密室、社会の受け入れ態勢、差し止めされた逮捕状。あらゆるところに“ブラックボックス”があった・・
自らの性暴力被害を包み隠さず語った『Black Box ブラックボックス』(文芸春秋)。
著者は伊藤詩織さん、ジャーナリスト=写真。
著者は伊藤詩織さん、ジャーナリスト=写真。
私が最初に驚いたのは、加害男性が、当時TBSワシントン支局長だったこと。ポポロの広場では2016年9月10日新刊書『総理』の著者として紹介しました。
ここでは、例えば安倍首相がシリア空爆をめぐっては、さすがに「この状態では支持できぬ、とアメリカの求めになかなか首を縦に振らなかった。そこは独立国の矜持を守った首相の意地ではないか」との一節があります。現総理の擁護にはなっている解説ですが、それなりの見識と評価してきました。さらに彼は韓国軍のベトナム人慰安所の過去を週刊誌にスクープした記者としても存在感を示していた。
なんとその人物が・・
残念です。
残念です。
さらに問題なったのは、準強姦罪で令状が出たにもかかわらず、寸でのところで警視庁トップ、刑事部長の指示で逮捕が中止になってしまった。さらにこれを追って行くと内閣関係者にも結び付く。まさに「もりかけ疑惑」にも似た政権上層部発令・関与が感じ取れます。
伊藤詩織さんの勇気には敬意を表します。日本の性暴力に対しての救済するシステムの整備(直後の精液の採取、DNA検査、避妊、ケア等々)はかなり遅れています。被害者への聴取もセカンドレイプ並みの無神経さで、それを体験した詩織さんでなければ語れないことが本書に収められています。
きょうの曲はレディ・ガガの『Swine』(卑劣なブタ野郎の意味)。ガガも19歳の時にレイプされ7年間だれにも打ち明け有れなかった。その時の曲がこれ、ちょっとアブノーマルな感じですが・・。
Lady Gaga 『 Swine 』