ポポロ通信舎

(旧・ポポロの広場)姿勢は低く、理想は高く。真理は常に少数から・・

降りかかる不条理に抗す(2)

2020年09月14日 | 研究・書籍
コロナ禍が日に日に社会の不条理な面を浮きだたせています。
その不条理を嘆き悲しむことは自然な感情ではありますが、時にはこの状況を逆手に取って冷笑してやろうではありませんか。

カミュの『ペスト』、再読しています。
『ペスト』には以下のエピグラフ(巻頭に記す題辞)が書かれています。最初はさっと無感情に読み過ごしてしまいましたが、細心の注意を払っての熟読です。

「ある種の監禁状態を他のある種のそれによって表現することは、何であれ実際に存在するあるものを、存在しないあるものによって表現することと同じくらいに、理にかなったことである。」

抽象的で難解な文章ですね。実はパンデミックの文学としては、カミュ(1913-1960)よりも前の年代のダニエル・デフォー(1660-1731)の存在があることを知りました。カミュが影響を受けたと思われるデフォー。カミュもあえて意識をして巻頭辞に紹介したものと思われます。

さてダニエル・デフォーってどのような人なのだろう。
今月、NHKのEテレで「100分de名著」では「デフォー ペストの記憶」が放映中です。
今夜(月曜午後10:25~10:50)第二回の講義。

ダニエル・デフォーはイギリスの作家・ジャーナリスト。一人で新聞を発行し政治経済評論をしていた。小説『ロビンソン・クルーソー』『ペストの記憶』などを書く。

カミュの『ペスト』の舞台となった北アフリカ・アルジェリア、オランの町はペスト禍に襲われたわけでなく架空の話。しかしデフォーの『ペストの記憶』は17世紀のロンドンを襲ったペスト禍の実録版にちかいという。

カミュから、さらにデフォーも調べてみようと思います。
「見えざる恐怖に立ち向かう。先が見通せない不安を支えあうものは何か?」
(100分de名著 デフォーのペストの記憶 表紙文)

隔離生活、飛び交うデマ情報、第二波の流行・・。17世紀のロンドンのあり様から今わたしたちが学ぶものは多いようですね。(つづく)




 

シャルル・アズナブールの濃厚な恋唄『イザベル』ナイスですね♪♡

Isabelle
コメント
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