ポポロ通信舎

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アマゾン一強変わるのか?宅配危機

2017年11月29日 | 経済

今年は、例年になく当方ではアマゾンを利用することが明らかに減った年になっています。
スーパー、ホームセンターなどのリアル店の価格が、アマゾンを意識してか価格競争の舞台に互角に乗ってきた感じがしています。これまでのアマゾンの配送無料が無条件にならなくなっていることも一因。同じ価格ならアマゾンは利用しません。多少の割高程度でも実際のお店に決めます。万一の不良・返品、修理の事を考えると顔の見える身近な店の方が、手続きのわずらわしさがなく安心できるからです。

さて、『宅配クライシス』(日本経済新聞出版)を読みました。
従業員に過重労働と低賃金を強いるビジネスモデルは続けられない」と宅配3位、日本郵便・横山社長のゆうパック値上げ発表会見での言葉。
宅配便の迅速で便利な低価格サービスは、額に汗して荷物を運ぶ宅配従業員の労働によって成り立っています。今年、ヤマトの労使が知恵を出し合い過酷を極めている流通業界の改革に努力したことは評価できます。過剰なサービス残業、人手不足で現場は悲鳴を上げている。通販の低価格は、こうした悲鳴の上に成り立っていたともいえるのですね。

シェア別でみるとヤマト運輸47%、佐川急便31%、日本郵便16%。
1位のヤマトの値上げの決断は結果、業界の脱デフレの先陣の役目を果たした。佐川も日本郵便もそれに続くことに。

独走のインテル、アマゾン

宅配業界の危機(クライシス)をパソコン業界に照らしてみた本書の解説がわかりやすかった。
HDD(ハードディスク)に力を入れた富士通、NECなど。HDDは規格を標準化して参入企業を増やした。しかし価格低下を急速に招き苦しむことになる。他方インテルは高速CPUを次々に出し巨額の利益を獲得し続ける。対照的に富士通やNECは「利益なき繁忙」に追い込まれた。「ネット通販のインテル」的存在がアマゾンに置き換えられる。ここアマゾンでの客が増えれば増えるほど、かつての富士通、NECと同じようにヤマトなど宅配業は買い叩かれ利益なき繁忙と化す。

ついに「パソコン業界の轍を踏むな」とばかりに労使が一体となって危機打開を策したのがヤマト。グッドジョップ!いい仕事をしたと思う。まだまだ危機は去っていないようですがこの際、宅配労働者へ犠牲なき職場環境を保障し、健全な「社会のインフラ」としての宅配業界の位置をしっかり築き直して欲しいと願います。


【木工さんの写真】矢嶋秀一作 フォト 田口大輔

宅配クライシス

日本経済新聞社編

日本経済新聞出版社

The Marvelettes - Please Mr. Postman (1961)

コメント
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