花の四日市スワマエ商店街

表参道スワマエ商店街会長のひとり愚痴

江戸日本橋 百川楼探訪 前編

2024年01月06日 | レモン色の町

さて、元日の1月1日に旧四日市港散策コースを撮影に行ってまいりました。題して「四日市旧港を 案内します」の前編と後編を一挙公開です!初春の湊めぐりをお楽しみください

「2024新春・四日市旧港まちあるき/前編」 (youtube.com)

「2024新春・四日市旧港まちあるき/後編」 (youtube.com)

江戸の日本橋 浮世小路(うきよしょうじ)にある「百川楼(ももかわろう)」を三人の男が連れ立って訪れた。百川楼といえば幕末、黒船から降り立った使節団をもてなした有名料亭である。

図書館の本です 百川 の字で 興味津々となりました

入るとすぐ右にある広い階段から二階取っ掛かりの十八番座敷に通され、まずお茶と練羊羹でくつろぐよう言われる。やがて15~6歳の新造二人と三十過ぎの年増二人が給仕にやってきて「お風呂が沸いておりますが」と白地に竪筋と餅の模様を織り出した浴衣に着替えるよう勧められる。浴室は一間(1.8メートル)四方で、その半分が四角い木製の風呂桶が占める。付属の脱衣場は畳1枚ほどでこじんまりしている。せいぜい二人が入れるくらいだろうか。フタリデアル!

風呂から出てしばらくすると、膳の用意ができたと知らせがくる。かなり長い廊下を通り、橋掛かりなようなもの(そんな造りを映画“赤線地帯”で見た)を渡ると十畳ほどの奥座敷だ。ここらあたりは珍しそうな調度品がこれでもかというくらい並ぶ。著名人の印の入った床掛け・明笛(みんてき)・胡弓(こきゅう)・喇叭(らっぱ)・油絵の額・蛇皮線(じゃびせん)・月琴・琴・三味線。面白いのは床においてある時計の12時の文字が欠けて無いとあった。いかにも高級そうなものをが、これみよがしに飾られているようである。

座敷中央の黒塗りの卓台には、ギヤマンのコップに小皿が三組並べられていて、中央の瓶には薄荷酒(はっかしゅ)<ペパーミントの焼酎>と保命酒<もち米を基本とした薬用酒>それに砂糖の入った蓋つきの器が並んでいた。さて、どんな料理が出たのか? 残念ながら つづく


雨二モマケズ

2024年01月03日 | 映画の名言、映画の迷言

お恥ずかしいお話ですが、この年になると、正しいことを実行すべきだと常々考えるようになりました。“ただしいこと”とは何でしょう?

第158 回直木賞受賞作 門井慶喜著『銀河鉄道の父』を、監督 成島 出監督(孤高のメス・ソロモンの偽証・八日目の蝉)が、映画化(2023年5月)しています。宮沢賢治の父親(役所広司)の宮沢賢治(菅田将暉)へのなりふりかまわぬ親バカぶりが描かれていますが、結核に罹り床に就いている、賢治の妹トシ(森 七菜)へも付きっきりで看病をします。本を読み直してみたのですが、このシーンは原作にありませんでした。

 

兄、賢治もまた 同じ考えでした

雨ニモマケズ

風ニモマケズ

雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ

丈夫ナカラダヲモチ

慾ハナク

決シテ瞋(イカ)ラズ

イツモシズカニワラッテヰル

一日ニ玄米四合ト

味噌ト少シノ野菜ヲタベ

アラユルコトヲ

ジブンヲカンジョウニイ入レズニ

ヨクミキキシテワカリ

ソシテワスレズ

野原ノ松ノ林ノ蔭ノ

小サナ萱ブキノ小屋ニヰテ

東ニ病気ノコドモアレバ

行ッテ看病シテヤリ

西ニツカレタ母アレバ

行ッテソノ稲ノ束ヲ負ヒ

南ニ死ニサウナ人アレバ

行ッテコハガラナクテモイイトイヒ

北ニケンクヮヤソショウガアレバ

ツマラナイカラヤメロトイヒ

ヒデリノトキハナミダヲナガシ

サムサノナツハオロオロアルキ

ミンナニデクノボートヨバレ

ホメラレミオセズ

クニモサレズ

サウイフモノニ

ワタシハナリタイ

 


賀春

2024年01月01日 | レモン色の町

“賀春”  長田 弘 

 古い鉄橋の架かったおおきな川のそばの中

学校で、二人の少年が机をならべて、三年を

一緒に過ごした。二人の少年は、英語とバス

ケットボールをおぼえ、兎の飼育、百葉箱の

開けかたを知り、素脚の少女たちをまぶしく

眺め、川の光を額にうけて、全速力で自転車

を走らせ、藤棚の下で組み合って喧嘩して、

誰もいない体育館に、日の暮れまで立たされ

た。

 二人の少年は、それから二どと会ったこと

がない。やがて古い鉄橋の架かった川のある

街を、きみは南へ、かれは北へと離れて、両

手の指を折ってひらいてまた折っても足りな

い年々が去り、きみたちがたがいに手にした

のは、光陰の矢の数と、おなじ枚数の年賀状

だけだ。

 元旦の手紙の束に、今年もきみは、笑顔の

ほかはもうおぼえていない北の友人からの一

枚の端書を探す。いつもの乱暴な字で、いつ

もと同じ短い言葉。元気か。賀春。

大日本五道中屏風 四日市市立博物館蔵

本年もご愛顧のほど よろしくお願い申し上げます