安全問題研究会~鉄道を中心とした公共交通を通じて社会を考える~

公共交通と原発を中心に社会を幅広く考える。連帯を求めて孤立を恐れず、理想に近づくため毎日をより良く生きる。

2023.1.18 東電刑事裁判・判決直前 東京高裁前スピーチ

2023-01-18 23:15:17 | 原発問題/福島原発事故刑事訴訟
 みなさん、新しい年、2023年を迎えました。本年もよろしくお願いします。

 私は、昨年末まで、人類は2023年を果たして本当に迎えられるのか、2022年のうちに人類は滅亡してしまうのではないかという不安にさいなまれていました。世界で最も多い、6000発を超える核兵器を持つ国が戦争を始め、何度も核兵器の使用がほのめかされる状況にあったからです。それでも、ともかくも2023年を迎えることができた。まずそのことを、この場にいるみなさんと喜び合いたいと思います。

 核の時代の平和とは、はかなく、脆いものです。もはや原発、原子力と人類はこれ以上1日たりとも共存することはできません。新しい年を核廃絶への一歩にする、その決意をみなさんと共有したいと思います。

 2023年は卯年です。2011年も卯年でした。ちょうど暦が一回りしたことになります。この12年間、原発事故に起因する問題で1つでも解決したものがあるでしょうか。まだ何も解決していないじゃないですか。それなのに、日本政府は、暦が一回りしたのだから、もう福島のことなんてどうでもいいのだと言わんばかりに、原発再稼働・新増設、運転期間延長とやりたい放題です。しかし、暦が一回りしたということは、見方を変えれば、ぐるりと回って元に戻る、原点に立ち返るとも解釈できます。苦しかった12年前の卯年、悔しくて仕方なかったあの卯年の気持ちに立ち返り、再びそこを原点に、足下を固め直し、原子力の時代を1日も早く終わらせる。2023年をそのような年にしなければなりません。

 奇しくも、昨日1月17日は阪神大震災から28年目でした。阪神大震災の日ということで、私は昨日、久しぶりに地震本部(推本)のホームページを見てみました。「阪神・淡路大震災の経験を活かし、地震に関する調査研究の成果を社会に伝え、政府として一元的に推進するために設置された特別の機関」が地震本部だと、そこには書かれています。

 地震本部もまた、28年の歴史を持つ組織です。生まれたばかりの赤ん坊が、大人になるよりも長い期間、日本で一流といわれる地震学者が、日々議論し、積み重ねた知見、長期評価、それらすべてを司法が否定し、信頼性のないものだとするならば、私たちはこれからいったい何を信頼し、何によりどころを求めればいいのでしょうか。全世界的にみればわずかな陸地面積なのに、世界の地震の1割は日本で起きています。30年近く積み上げられてきた知見を否定するということは、そのような地震大国で、実質的に地震対策は何もするなと言っているに等しく、これはまさに暴挙です。そのような1審判決は、今日、この高裁で、全面的に書き改められるものと、私は確信しています。

 今日は、首都圏からも多くの人が応援に駆けつけてくれています。首都圏の人たちにぜひお知らせしたいことがあります。1923年の関東大震災から、今年は100年の節目の年だということです。今、この瞬間も、東京の地下では、太平洋プレート、フィリピン海プレート、北米プレート、ユーラシアプレートという4枚のプレートがぶつかり合い、押し合っています。4枚のプレートがぶつかり合うという、世界有数の危険な場所で、100年もの間、多くの被害者を出す地震らしい地震が起きなかったことはまさに奇跡というほかありません。日本の首都・東京の繁栄も、みなさんの豊かで平和な暮らしも、明日崩壊してもおかしくない薄氷の上にあります。そのような薄氷の上に原発などとんでもないことです。私は、今日ここに、核と原子力の時代に直ちに終止符を打つべきことを、改めて訴えるとともに、みなさんとともに手を携えて頑張りたいと思います。

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