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【速報】日本原子力研究開発機構大洗研究開発センター事故「国内最悪の内部被曝」健康被害の可能性認める

2017-06-07 15:30:14 | 原発問題/一般
作業員1人肺から2万2千ベクレル 国内最悪の内部被曝(朝日)

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 茨城県大洗町の日本原子力研究開発機構大洗研究開発センターで、ウランとプルトニウムが入った保管容器から放射性物質が漏れて作業員5人が被曝(ひばく)した事故で、原子力機構は7日、このうちの1人で50代の男性職員の肺から、2万2千ベクレルのプルトニウムが検出されたと発表した。暫定で1年間に1・2シーベルト、50年で12シーベルトの内部被曝をする値で、過去にこれほどの内部被曝をした例は、国内ではないという。原子力機構は「急性の放射線障害が出るほどではない」としている。

 原子力機構によると、残る4人からはプルトニウムは検出されなかったが、この男性を含む3人から最大220ベクレルのアメリシウムも検出された。5人は体内に入った放射性物質の排出を促す薬剤を注射する処置を受け、7日午前に千葉県の放射線医学総合研究所に搬送された。
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3作業員内部被曝、健康被害の恐れ…原子力機構(読売)

 この職員は放射性物質入りの容器を開けた際、鼻からプルトニウムなどの粉末を吸い込んだとみられる。同機構によると、これらが体内にとどまった場合、最初の1年間で1・2シーベルト(1200ミリ・シーベルト)、今後50年の合計で12シーベルト(1万2000ミリ・シーベルト)の内部被曝が懸念されるという。

 現時点では5人の中に体調不良を訴えた人はいないが、5人は体内からの放射性物質の排せつを促進する薬剤の投与を受け、7日午前、放射線医学総合研究所(千葉市)に搬送された。原子力機構は「健康への影響が出る可能性がある」としている
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茨城県大洗町の日本原子力研究開発機構大洗研究開発センターで起きた作業員被曝事故は、当初報道されていたよりもはるかに深刻なものとなった。日本国内で、原子力推進側の組織が「健康への影響が出る可能性」を認めたのは、広島・長崎への原爆投下、JCO東海事業所で起きた臨界事故の過去2例しかない。何しろ、チェルノブイリに並ぶ史上最悪の「レベル7」が認定された福島第1原発事故でさえ、政府も原子力ムラも未だに健康被害を認めていないのだ。朝日新聞の報道(太字部分の強調は当ブログ)も、「急性の放射線障害」を否定しているだけで、「慢性の放射線障害」が起きる可能性を否定していない。

(それにしても、放射性物質による健康被害に関しては、朝日新聞の報道は本当にひどい。福島第1原発事故でも、子どもたちの甲状腺がんなどに関する記事は間違いだらけの上、今回の事故でも「急性の放射線障害が出るほどではない」という原子力推進側の主張を垂れ流しているだけ。読売新聞は、メディアでありながら社主の正力松太郎みずから日本への原発導入を推進した許しがたい過去があるものの、「健康への影響が出る可能性がある」との原子力機構のコメントを率直に報じている分だけ、今回の事故に関しては朝日よりはマシだと思う。)

当ブログは、インターネット上に多く書き込まれている「福島第1原発事故で奇形児が生まれた」など、出所不明で根拠のない健康被害の情報とは一線を画し、拡散しない姿勢を続けてきた。だが、今回の事故で22000ベクレルの被曝をした作業員は、おそらくそう遠くない将来、肺がんなどで死亡する可能性がある。原子力機構に対し、今後も必要な情報公開を強く求めていくべきだろう。そうでなくとも、原子力機構の前身に当たる組織、動燃(動力炉・核燃料開発事業団)は高速増殖炉「もんじゅ」のナトリウム漏れ事故(1995年)の際、「事故映像ビデオ隠し」を行い、原子力機構になってからも、原子力規制委員会に指摘されるまで「もんじゅ」での1万件の整備不良を隠した事実があるからだ。

日本政府・原子力ムラは、昨年秋の「もんじゅ」廃炉と引き替えに、今年で設置後40年を迎える老朽高速炉「常陽」の再稼働を企ててきた。「常陽」を管轄する原子力機構は、「もんじゅ」での1万件の整備不良放置に続く今回の事故で、核物質の取扱事業者として不適格であることをまたも露呈させた。これによって「常陽」再稼働計画は完全に命脈を絶たれ、今度こそ本当に核燃料サイクルは終わることになろう。

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