人生チャレンジ20000km~鉄道を中心とした公共交通を通じて社会を考える~

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次世代へつなぐ地域の鉄道——国交省検討会提言を批判する(緑風出版)
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原発を止める55の方法(宝島社)

●管理人の寄稿
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ローカル鉄道に国・自治体・住民はどう向き合うべきか(月刊『住民と自治』 2022年8月号掲載)
核のない未来を願って 松井英介遺稿・追悼集(緑風出版)

●安全問題研究会が、JRグループ再国有化をめざし日本鉄道公団法案を決定!

●安全問題研究会政策ビラ・パンフレット
こんなにおかしい!ニッポンの鉄道政策
私たちは根室線をなくしてはならないと考えます
国は今こそ貨物列車迂回対策を!

安全問題研究会が国土交通省へ要請行動を実施(その1;JRローカル線問題/鉄道局)

2023-02-24 22:50:34 | 鉄道・公共交通/交通政策
安全問題研究会は、2月24日、国土交通行政の重要課題をめぐって、国土交通省に要請行動を行った。とはいえ、要請行動のアポ取りを拒否されてしまったので、以下、要請内容のみ掲載する。コロナ禍も収まりつつあるというのに、市民の意見すら聞く場を設けないとは、改めて鉄道局の「三流」ぶりがわかるというものだ。

なお、印刷に適したPDF版を安全問題研究会ホームページに掲載している。

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                       2023年2月24日

国土交通大臣 斉藤 鉄夫 様

           平和と民主主義をめざす全国交歓会(ZENKO)
           安全問題研究会

  JRローカル線問題に関する請願書

 当会は、各公共交通機関の安全確保や維持・発展のための活動を行う団体です。これまで、国内各地の公共交通をめぐる安全問題、事故原因調査、ローカル線廃止問題などに関する活動を行ってきました。その結果を受け、本日、下記のとおり請願を行うこととしました。

 貴職におかれましては、本請願の趣旨をご理解の上、文書により回答を行われるよう要望いたします。



《請願内容》

1.国鉄分割民営化以降、最大の危機的状況にあるJRローカル線については、旧国鉄の全国鉄道ネットワークを引き継いだJRグループの公益性を踏まえ、国としてほとんど関与してこなかったこれまでの政策を根本的に転換するとともに、これを全面的に維持し発展させるための政策の方向性を示すこと。

2.昨年7月に公表されたモビリティ検討会の提言が示したような「地域」に対する費用負担の押しつけではなく、国が地方鉄道を全面的にバックアップする体制を整えること。特に、鉄道線路の保有・維持管理、災害復旧については費用を国の全面負担とすること。

3.政府として、JR旅客6社間に巨大な格差を生んだ国鉄分割民営化の誤りを全面的に認め、鉄道をはじめとする公共交通の役割を社会的共通資本として位置づけること。

【説明】
 昨年7月に公表された「鉄道事業者と地域の協働による地域モビリティの刷新に関する検討会」による「地域の将来と利用者の視点に立ったローカル鉄道の在り方に関する提言」は、もともと利用の長期低落傾向が続いていたところにコロナ禍が加わり、危機的状況に陥っているJRローカル線のうち、輸送密度が1000人未満のものについて地元地域とJRとの協議会を設け、その存廃について3年以内に結論を出すよう求めるものとなっています。この協議会とその決定に法的強制力を与えるための地域公共交通活性化再生法の「改正」案が今国会に提出されることを、国土交通大臣みずから記者会見で明らかにしています(1/23大臣会見)。

 しかし、ローカル線の利用が長期的に低落した原因は、極端な東京一極集中政策を進めてきた政府にあります。国鉄分割民営化によって、全国で83線ものローカル線が旧国鉄~JRグループの経営から「地方」に移管され、または輸送力の小さいバス転換とされたことも地方衰退の原因として見逃すことができません。

 国鉄改革関連8法案の1つとして制定された鉄道事業法では、鉄道事業の開設に当たって事業収支見積書の提出を求め、採算が取れる見通しがなければ事業認可を行わないことを定めています。道路や医療・福祉・教育などと同様の公共サービスであり、社会的共通資本である鉄道をここまで極端な形で市場原理に委ねたまま、政府が何らの関与もせず放置している国は世界でも日本だけです。鉄道を社会的共通資本として位置づけ、政府が全面的に関与する政策への転換を求めます。

 国鉄改革関連8法案が可決・成立した際の附帯決議(1986年11月28日、第107国会 参議院日本国有鉄道改革に関する特別委員会)では「各旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社の輸送の安全の確保及び災害の防止のための施設の整備・維持、水害・雪害等による災害復旧に必要な資金の確保について特別の配慮を行うこと」「各旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社は、地方公共団体に対し、地方財政再建促進特別措置法第二十四条第二項の趣旨を超えるような負担を求めないこと」を政府に対し求めました。政府はこの附帯決議の趣旨を尊重し努力する旨、答弁しています。

 現在、JR各社が、財政力の弱い沿線自治体にローカル線維持や災害復旧のための巨額の負担を求め、応じない場合に廃線を迫っていることは、これら決議に明確に反しています。政府は、JRによる沿線自治体へのこうした姿勢を直ちに改めさせなければなりません。

 現在、少子高齢化の中で、トラック運転手の高齢化が進んでいます。2019年の労働基準法改正による「年間残業時間960時間制限」の適用が、トラック業界には5年間猶予されていますが、この猶予期間が終わる2024年にはトラック輸送がさらに危機的状況に陥ることが懸念されています。こうした情勢の中で、定時性に優れ、大量輸送に適した鉄道貨物輸送の価値を正当に評価しないまま、目先の旅客輸送密度だけを基準に鉄道を次々と廃止することは、市民生活の安定と日本経済の発展の可能性をも閉ざしてしまいます。

 JR6社のうち4社までが、現在、国との間に一切の資本関係を持たない完全民営化企業となっています。利益の出ない鉄道線路の維持を、これ以上民間企業に委ね続ける政策は限界に達しています。道路・港湾・空港と同様、鉄道を社会的共通資本に位置づけ、国が全面的に関与して、維持する政策への転換が必要です。さしあたり、緊急的課題として、全国の鉄道線路を国または公的法人(鉄道・運輸機構など)が保有し、日常の管理や災害復旧を行うための制度の確立を求めます。

 現在のローカル線の危機は、国鉄分割民営化、とりわけ旅客事業を地域6社に分割したことに端を発しています。北海道から九州まで、各路線・線区にはそれに応じた役割があります。前述した貨物輸送のほか、観光輸送、環境対策など、鉄道以外の交通モードでは代替不可能なものです。麻生副総理兼財務相や、森昌文首相補佐官(元国土交通事務次官)などからも、国鉄改革の誤りを認める見解が示されるようになっています。政府として、その誤りを公式に認めるよう求めます。

(以  上)

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