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JR尼崎事故控訴審始まる 3社長、改めて無罪主張 次回で結審の報道も

2014-10-13 17:51:19 | 鉄道・公共交通/安全問題
尼崎JR脱線 3社長控訴審初公判、被告人質問を採用(神戸)

尼崎JR脱線控訴審 「情報収集で予見可能」指定弁護士、新たな主張(産経)

尼崎JR脱線控訴審初公判 一審から1年、遺族「やっと」(神戸)

2005年、乗客・運転士107名が死亡したJR尼崎事故を巡り、井手正敬元会長、南谷昌二郎元会長、垣内剛元社長に対する1審の無罪判決を不服として、検察官役の指定弁護士が控訴していた強制起訴裁判で、10月10日、3社長らに対する控訴審の第1回公判が大阪高裁で行われた。

出廷した3社長は、1審・神戸地裁に引き続き、事故は「予見不可能」として再び無罪判決を求めた。報道によれば「組織のトップは重要な経営事項に関し、高所的立場から的確な指示をすべきだ。(積極的な情報収集を課せられれば)経営事項の決定が遅れる上、専門的見地から離れた誤った判断に陥りかねない」と主張したが、これは「積極的に情報収集などしない方が的確な指示ができる」、別の言い方をすれば「経営トップは何もしない方がいい」というものだ。経営陣みずから己の無能をさらけ出すに等しいばかげた主張であり、当ブログとしては全く考慮に値しないと考える。

10日の公判では、次回、第2回公判を12月12日(金)に指定。ここで被告人質問を行うことが決まった。被告人を出廷させ、関係者(裁判官、検察官(今回の裁判では、検察官役の指定弁護士)、弁護側弁護士)が被告人に質問できるものだ。被害者参加制度が適用される場合は被害者も被告に質問できるが、今回は予定されていないという。

遺族など被害者19人が控訴審に参加するが、1審の41人から参加者が大幅に減った背景に、司法へのあきらめを指摘する声もある。神戸新聞の報道によれば、次回の第2回公判で早くも結審との報道もある。大阪高裁が1審の無罪判決を見直す気があるのかきわめて疑問だと言わざるを得ない。

この訴訟を担当する横田信之裁判官は、厚労省郵便不正事件の刑事訴訟を担当、村木厚子・厚生労働事務次官に無罪判決を言い渡した裁判長として知られる。量刑実務大系(大阪刑事実務研究会 編)という専門書の「被害者と量刑」という章の執筆も手がけている。えん罪を厳しく恐れ、検察側の立証に少しでも疑問があれば、無罪判決を書ける裁判官のようだ。「疑わしきは被告人の利益に」(最高裁白鳥決定)の原則からすれば、原則に忠実な仕事ができる良心的裁判官との評価も可能だが、企業など社会的強者の不作為による過失犯罪で、市民の多くが強い処罰感情を持つ事件にもこの原則を適用した場合にはかえって市民的利益を損なう可能性が高い。「疑わしきは被告人の利益に」の大原則は堅持しつつも、企業犯罪に対してはその適用の是非を再検討する時期にきている。

尼崎事故の遺族たちは、すでに今年2月、組織罰法制に関する勉強会を立ち上げ、賛成・反対様々な有識者の意見を聞きながら学習を進めている。日本に巣くう癌・経団連にとって不利になることは大手メディアが一切書かない中で、アジアプレス・ネットワークが伝える次の2本のニュースが、法人処罰を巡る動向を追った報道としては光っている。

●JR福知山線脱線事故判決、歴代3社長に無罪判決~法人処罰導入へ議論を

●JR脱線事故9年~「組織罰」導入を求める遺族たち

法人を処罰する法制度が不備であることは、福島原発事故でも改めて浮き彫りにされている。「『事故を予測できなかった』という理屈が通るなら、過去に例がない事故では誰の責任も問えない」(遺族・上田弘志さん)、「ATS整備について『他がやっていないから、うちはしなくもいいんだ』という考え方でいいのか。危険個所はないのか注意を払い、あれば対策を考えるのが経営者ではないのか。この判決だと、怠惰な経営者ほど責任追及ができない結果とならないか」(強制起訴第1号事件となった「明石歩道橋事故」で指定弁護士を務めた安原浩さん)との指摘は重い。

やはり、こうした事態を改善していくには法人処罰立法が必要だと思う。まだ具体化していないが、セウォル号沈没事故を契機に、韓国でも企業を処罰する法律を作る動きがあり、日本国内の法人処罰立法の検討状況に関する情報を提供してほしいとの依頼も当研究会にあった。法人処罰に関しては、2012年4月21日、「ノーモア尼崎! 生命と安全を守る4.21集会」で安全問題研究会が行った報告「尼崎と福島―今、私たちに問われているもの」をご覧いただきたい。

控訴審に参加する遺族が41人から19人へと半分以下に減ったとしても、当ブログと安全問題研究会に「諦め」の文字はない。当ブログは控訴審でも、引き続きこの裁判を追っていく。

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