安全問題研究会~鉄道を中心とした公共交通を通じて社会を考える~

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こんなにおかしい!ニッポンの鉄道政策
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経産省前座り込み「幻の演説原稿」

2011-11-09 23:47:59 | 原発問題/一般
さて、11月6日付の記事でご紹介していたとおり、当ブログ管理人は「女たちの経産省前100人座り込み」にあわせて、A4で3枚にも及ぶ「演説原稿」まで用意していたが、女性パワーの前に日の目を見ないまま終わってしまった。

とはいえ、経産省が過去に何をしてきたかを読者の皆さんに知っていただくいい機会でもあるし、せっかくの演説原稿をこのままお蔵入りさせるのももったいないので、ここにご紹介しておく。返す返すもあいさつの機会がなかったのが残念だ。

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 座り込み中の皆さん、お疲れ様です。皆さんの頑張りに心から感謝と敬意を表したいと思います。

 「連帯を求めて孤立を恐れず」という言葉があります。しかし今、皆さんは孤立などしていません。ひとりではありません。ウォール街は今この瞬間も若者たちに占拠され続けています。スペインでは50万人もの人々が格差是正を訴え直接行動を起こしました。ギリシャではゼネストによる闘いが続いています。

 10月26日、3日前の米国ウォール・ストリート・ジャーナルによると、1977年から2007年までの30年間で、米国の全世帯平均では62%、所得が上がりました。しかし、その大部分は最上位1%の富裕層が取ってしまい、下位20%では18%しか所得が伸びていないそうです。一方、最上位の1%では275%も所得が伸びている。つまり30年間で4倍近くになったわけです。富めるものはますます富み、貧しいものは貧しいまま…格差の拡大を裏付ける数字がはっきりと出ています。

 今年の8月頃から、米国でバフェットさんという、世界3位の富豪がいて、「私には増税を引き受ける用意がある。米国政府は貧困層でなく富裕層にもっと課税せよ」と訴えて話題になっています。米国では源泉徴収、つまり税金の天引きという制度がないので、サラリーマンもみんな確定申告をするわけですが、このバフェットさんという方が確定申告をしてみると、自分より自分の秘書のほうが税率が高かった。大富豪の自分よりはるかに給料の少ない秘書のほうが税率が高かったそうです。それでバフェットさんは、「あまりに金持ち優遇過ぎて、おかしいじゃないか」と訴えているのです。世の中には変わった人もいるものだと思いますが、ともかくも、富裕層が自分でおかしいと思うほど、今、世界中で金持ち優遇の度が過ぎて社会が維持できないところまで来ているのです。

 こういう経済格差を生んだのは誰か。日本では経団連、自民党、そして経産省。経産省は原発推進以外にも数えるのも面倒くさいほどの悪事を重ねています。原発のことは、もうこの2日間で皆さんがたくさんお話ししたと思うので、私はそれ以外のことを話します。まず農業の自由化。これは農水省の責任ですが、農水省は本当はやりたくなかった。それを、日米貿易摩擦が激しくなって、何とかしろと言われた自民党と経産省が、自動車などの製造業を守るために農業を差し出した。これが第1です。

 次に大店法の廃止。大規模小売店舗法という法律が昔ありました。これは、大型店が出店してきて地元商店街の個人経営の小さなお店がつぶれないように守る法律です。大型店の出店をやめさせることはできない建前になっていましたが、実際には大型店を出すときは地元の商工会議所の意見を聞かなければならないということになっていました。意見は商工会議所が出すのではなく、地元の商店街のオヤジさんたちが、商業活動調整協議会(商調協)というものを作って、そこで意見をまとめる。だから、商店街のオヤジさんたちがその商調協をボイコットして、いつまでも意見を出さないと、商工会議所がいつまでも意見を出せないので、大型店が出店できないわけです。実際に、この引き延ばし戦術で大型店が出店をあきらめてしまい、商店街が守られた、こういう実例もあるわけです。

 ところが、1980年代後半に日米構造協議というものがありまして、米国がこれにいちゃもんをつけてきた。米国の大手、ウォルマートのような大型店が自由に出店できないじゃないか、といってきたわけです。米国のポチである経産省は、ワンワン(わかりました)と言って大店法を廃止した。このせいで、日本中どこに行ってもイオンやダイエーやイトーヨーカ堂ばっかりになってしまい、オヤジさんたちの店はみんなつぶれ、地方の駅前はシャッター通りになってしまいました。これが悪事の2つめです。経産省というのは本当に厚かましい組織でして、過去に自分たちがやってきたこういう悪事を反省もしないで、今度は買い物弱者の問題に関する研究会なるものを勝手に立ち上げて、地方で買い物難民が増えたから宅配サービスを経産省が中心になって育成しましょうなどとふざけたことを言っている。それより自分の過去を反省する方が先だと思います。反省もしないで原発を再稼働しようとしているのと全く同じです。反省だけなら猿でもできるというCMがありました。経産省は反省もできないのだから猿以下です。

 悪事の3つめは、とにかくあらゆることを引っかき回す引っかき回し屋だということ。2008年暮れにリーマンショックが原因で大量の非正規労働者が首を切られました。日比谷公園に年越し派遣村ができた。厚労省はこのとき、家も仕事も失った人のためにセーフティネットをなんとか作ろうと動き始めた。そこに横から経産省が割り込んできたんです。「企業は内部留保を吐き出せという人がいるが、企業の資産はほとんど固定資産なので吐き出しはできない。工場などの固定資産を現金化するために売ったら今度は工場閉鎖になってまた失業者が増える」などといいながら、「厚労省にはセーフティネットは作れても仕事作りができない。だから、産業振興とセットで雇用対策を我々にやらせてもらう」と割り込んできてさんざん引っかき回した。そのあげく、セーフティネットはできず、企業に有利な制度だけがそのまま残ってしまった。労働者派遣法も残ったままです。これが悪事の3つめです。ちなみに企業の資産はほとんど固定資産などというのは完全なウソです。今年3月の時点で、日本企業全体で200兆円の内部留保が現金である。これは日銀の統計で証明されています。企業は儲けすぎて笑いが止まらないくらいなのに、経産省は国民に平気でウソをついてまで企業と経団連を守る。これも原発と全く同じです。

 そして、今になってまた今度はTPPを推進しようとしている。TPPは単に農業問題ではありません。医療を自由化して外国の企業が病院を経営できるようにするなどの内容も入っています。みなさんは企業が経営する病院なんかで治療を受けたいですか? お金を出せる人には上、普通の人には並、貧困層でお金を払えない人はミニなんて診療メニューが並んでいる。そんな牛丼屋みたいな病院なんていやです。でもTPPを認めれば、企業が入ってきて、いずれはそういう風になります。

 TPPは医師会も農協も反対しています。皆さんのこの座り込みは27日から始まりましたが、その直前には全中、農協の中央団体が日比谷野音に3000人集めて集会をやりました。25日と26日は農協青年部が国会前で座り込みもしました。でも、マスコミはやっぱり推進派の半分くらいの不当に小さな扱いでしか取り上げない。皆さんが怒っていらっしゃる原発と同じです。NHKは日本放送協会じゃなくて日本偏向協会、民放は偉い偉い経団連と電気事業連合会の提供でお送りいたします。これが日本の現実です。

 「心の目で見なくちゃ物事は見えないんだよ」と星の王子さまは言いました。ジャーナリストの立花隆さんは、「何が伝えられているかよりも、何が伝えられていないかのほうが何倍も重要だ」と仰っております。ですので皆さん、心の目を見開いて、見えないものを見る訓練をしてみましょう。放射能が見えるかもしれない。子どもさんに迫り来る危険がきっと見えるはずです。それを見ることができる私たちが声を上げていきましょう。

 経産省のバカどもは私たちの正反対で、見えているものすら見ようとしません。猿でも反省できるのに反省もしません。こんな役所、もう潰した方がはっきり国民のためになります。だから私は今回、自分で経産省廃止法案を作りました。脱原発法案、原発の運転を年内いっぱいで禁止する法律、これも作りました。作って、各政党に提案して、国会に提出してくれとお願いしています。共産党からは、提案したその日に回答がありました。ただ、単に早いだけで「今後の政策立案の参考にさせていただきます」と素っ気ない回答でした。自民党で脱原発を訴えている異端中の異端の河野太郎さんは、事務所の方によると脱原発法案には興味を示していたそうです。でも国会に法案を提出するには、50人の議員が必要だそうで、太郎さんひとりではどうにもなりません。だから私たちがもっともっと声を上げて、議員を変えていきましょう。別に社民党や共産党でなくてもいい。子どもたちが安全に生きられない原発なんて今すぐいらないんだという考えを持つ人が増えるなら自民党でも民主党でもいいと思います。

 私は福島で今も暮らしています。ある福島のお母さんは、「私たちが使っている電気で人が傷ついたり死んだりするのなら、もう私は今日からろうそくでもいい」と言っていました。たかが電気ごときに殺されてたまるか、それが国民の声であり、今ここで座り込んでいる皆さんの総意であろうと思います。もう一度最初の話に戻ってしまいますが、私たちは少数派ではない。多数派なんです。1%が99%を支配する社会が間違っていると思うなら、明日から99%が支配する世界へと変えていきましょう。東京がすぐに変われないなら、一番苦しんでいる福島から立ち上がってみんなで変えていきたいと思います。頑張りましょう。ありがとうございました。

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