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福島県の「放射能隠ぺい」政策、最終破たんへ

2011-11-16 22:14:38 | 原発問題/一般
<放射性セシウム>福島市のコメから規制値超630ベクレル(毎日)

今日は、本来なら原発以外の話題を取り上げようと思っていた。労働問題に関し重要な事実をつかんだのでそれを皆さんにお知らせするつもりでいたが、表題のようなニュースを受け話題を切り替える。

原発事故以降、食品の流通に関する福島県の不誠実、というより犯罪的な政策についてはもはや当ブログごときが繰り返すまでもないだろう。正しい情報が公開されないこともあいまって、原発事故以降、真偽不明の様々な噂が浮かんでは消えた。

子どもに対する被曝限度を1年間20ミリシーベルトまで引き上げるよう要請したのが佐藤雄平・福島県知事だとか、「福島県には放射能被害はない。あるのは風評被害だけだから、県では風評被害という言葉以外使ってはいけない」と知事が県職員に指示したとかいう噂が飛び交った。それを聞いた大多数の福島県民が「あの知事ならやりかねない」と思ってしまうほど、佐藤知事の日頃の行いが悪かったことは事実だし、昨年、福島第1原発3号機でのプルサーマル受け入れを表明して知事選に勝ったときから、それは運命づけられていたのかもしれない(原発を受け入れるということは、事故が起きたときの結果もすべて受け入れる、そういう覚悟を持つということに他ならないが、そんな覚悟がこの男にあったとはみじんも思えない)。

それはともかく、今回、暫定規制値越えのセシウムが発見されたのは福島市大波地区産の米である。大波といえば、もともと線量が高い福島市内でも渡利地区と並んで突出して放射線量が高いホットスポットで、現在も「特定避難勧奨地点」への指定をめぐって揺れている場所である。そもそも、ここより放射線量が低い二本松市で500ベクレルギリギリの放射性セシウムが検出されているのに、それより線量の高いこの地域で検出されないほうがおかしいし、8月に行われた茨城県産の早場米検査でも1キロあたり52ベクレルもの放射性セシウムが検出されている。それにもかかわらず、福島県が行った早場米検査はほとんどの地域が「不検出」ばかりというあまりに見え透いた結果だった。福島県がまともな検査をしていないこと、福島県知事も県の行政も県民ではなく東電の方しか向いていないということはこの段階ではっきりと理解できたから、我が家では直接買い付けルートを持っている秋田県の農家の米しか食べないと早々に決めていたところだった。

福島県知事と県の行政が「放射能は目に見えないし、ネット普及率5割にも満たない福島では地元メディアさえ懐柔すれば汚染米でも何とか売り抜けられる」と考えているとしたら重大な結果を招くと当ブログは常々考えてきた。何事も、最悪を想定し最善を尽くすのが危機管理の基本だが、福島県は全くの逆で、楽観的な見通しの下に根拠なくその場しのぎの対応を続けてきた。その結果がこの有様だ。もはや福島県知事と県の行政が何を言おうと、誰からも二度と信用されないだろう。

今の福島県政、そして佐藤雄平知事のやり方は、はっきり言えば「自分の在任中さえ福島県が滅亡しなければよい。在任中何とか福島が元気に復興しているように取り繕うことができればそれでいい」としか考えていないように見える。しかし、そうしたやり方こそが本当に福島県を滅亡に導くことになりかねない。実際には、この県の消費者も生産者も、知事や県の行政が考えているほど愚かではない。当ブログは、子どもたちを放射能から守るため必死にお母さんたちが勉強し、国や県、そして原子力マフィアどものウソを次から次へと見抜いていく姿を目の当たりにしてきた。

生産者にしても、「500ベクレルさえ超えなければ安全だと国や県が言っているのだから、出荷したもの勝ちだ」としてどんどん出荷する心ない者も一部にいるが、それは全体から見るとわずかに過ぎない。実際には多くの心ある生産者が、自分たちが食べられないものを他人に食べさせるわけにいかないと考え、安全な食を提供するために正確な測定結果の公表を求めてきた。そのことは、福島米、販売は「不検出」分のみ 全農県本部が方針というニュースが示すとおりである。

愚かな消費者、「愚民」による「風評被害」が福島県の農産物全体に及ぶのを恐れた福島県政は、食品検査をまじめに行わないまま、すべてを白とも黒ともつかないグレーゾーンに置き、安全だと言いくるめて売り抜けようとする最悪のやり方を続けた。当ブログは今こそ問わなければならない――このやり方で一体誰が幸せになったのか、と。生産者は自分の生産物が安全なのかどうかも知らされず、後になってから放射能汚染を知らされるとともに、「騙しやがって!」とののしられる恐怖を抱えながら、それでも自分が生きていくために売ることを余儀なくされる。消費者は消費者で、何も見えない暗闇の中でどれが安全な食品なのかわからず、もがき苦しまなければならない。このやり方では生産者も消費者も不幸にしかならないのである。

正確な食品検査をやれば出荷停止が増え、福島県産品の名誉に傷がつく? 冗談じゃない。事実はそれとは全く逆だ。正確な食品検査が行われれば、グレーゾーンから黒になり、出荷停止に追い込まれるものも出るだろう。しかし一方、グレーゾーンから白になり、晴れて自信を持って出荷できるものも出てくる。福島産だから何でも危険ではないのだと証明されることのメリットのほうがはるかに大きい。食品の汚染をどこまで容認できるかは価値観の問題であり、人によって異なるだろう。しかし、少なくとも1キログラムあたり数ベクレル~50ベクレル程度の汚染にとどまるなら、「福島応援のために食べてもいい」という消費者も少なからずいるはずだ。生産者は食べてもらう喜びを味わえる。消費者も自分の中に持っている基準値以内なら喜んで食べられる。消費者も生産者もどちらもが幸せになる。だからこそ正確な検査と数値の公表が求められているのだ。

当ブログは、今のところ福島からできるだけ遠くの食品を選んで食べることで、内部被曝を限りなくゼロに近づける努力をしている。一方で、検査の結果安全が証明されようが福島産は何が何でもダメだ、というほど頑迷ではないつもりである。本当は私だって安全と証明されたら福島産を食べたいのだ。だが、安全が証明されないから避けざるを得ないのである。

頭の悪い佐藤雄平知事は、事ここに至ってもまだこんな単純なことが理解できないようだが、今回の1件で「すべてをグレーゾーンに置いたまま、安全だと言いくるめて売り抜ける」という「放射能隠ぺい」政策は最終的破たんへ追い込まれた。残念なことだが、私たちはもう3.11以前に戻ることなどできないのだ。いい加減で現実を認め、汚染と真摯に向き合いながら、正確な情報を提供する県政へ転換すべきだ。何度でも繰り返すが、多くの消費者は頑迷ではない。安全が確認されれば福島県産でもよいし、危険と確認されれば他県産でも拒否する。ただそれだけのことだ。この非常時、それすらも理解できないような知事に県政トップを委ねる気など私にはさらさらない。もし佐藤雄平知事がそれでも今のやり方を変えたくないというのであれば、残念ながら県知事の職から退いてもらうしかない。

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