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【鉄ちゃんのつぶや記 第5号】ゆいレールとえちぜん鉄道

2003-08-11 22:26:28 | 鉄道・公共交通/趣味の話題
 今日は、嬉しい出来事が2つあった。沖縄県で戦後初の「電車」となる沖縄モノレール(通称「ゆいレール」)が開業、また福井県では、2年前の正面衝突事故以来運休となっていた京福電鉄の三国芦原線が「えちぜん鉄道」に装いを改め全面復活したのである。えちぜん鉄道の方は、ゆいレールの陰に隠れる形で全国レベルのマスコミの扱いもほとんどなく気の毒な感じもする。

 ゆいレールは首里から那覇空港までの12.9kmを27分、運賃290円で結ぶ。沖縄県営鉄道が大戦末期の沖縄地上戦で破壊されて以来、沖縄には「電車」がなかった。だから約60年ぶりのことになる。沖縄の交通渋滞は本土の人間の予想する以上に激しいらしく、バスはなかなか定時運転ができないというから地元の人たちにとっては喜びもひとしおではないだろうか。

 ところで、このゆいレール開通により、…一般の人たちにとっては気にすることではないかもしれないけれど…当然のことながら「日本最南端駅」に変更が生じた。これまで「日本最南端」だったJR九州・指宿枕崎線の西大山駅に代わり、今日からはゆいレールの赤嶺駅が日本最南端になったのである。西大山駅の地元の役場では、駅前に建っている「日本最南端の駅」の看板を、わざわざ「本土最南端の駅」に建て替えたそうである。

 こんなことを話題にすると、マニアではない一般の人たちにとって、日本の東西南北の最果てはどこの駅なのだろう? という疑問が湧くかもしれない。最北端の駅は稚内、最東端は根室…と思いきやその隣の東根室のほうが東にあるのでここが最東端となる。この2つはどんな基準で測っても決してトップの座を譲ることがない、完全な最果て駅である。

 しかし、最西端となると話は少し違ってくる。松浦鉄道(旧国鉄松浦線)の「たびら平戸口」駅が日本で最西端の駅だが、「JR線の駅に限る」という条件を付ければ、第三セクター鉄道である松浦鉄道の駅は外れ、代わって最西端になるのは同じ長崎県の佐世保駅である。

 そして、冒頭にも少しご紹介した最南端。沖縄県だから赤嶺駅の地位は揺るぎないように見える。だが、ゆいレールは「軌道法」の適用を受ける軌道線扱いだから、「鉄道線の駅に限る」と言う条件を付けるなら、最南端は依然として西大山でよいことになる。看板を建て替える前に私に相談してくれたら、「本土最南端」よりも通りが良さそうな「日本最南端の“鉄道”駅」にするようアドバイスもできたのに、残念である(笑)。

 ちなみに、鉄道と軌道とはどう違うのかについても触れておく。旧国鉄時代、国鉄の路線は「国有鉄道法」を、また私鉄は「地方鉄道法」を根拠としていた。国鉄分割民営化時に、これらの法律が廃止され、JRを含む全ての鉄道を「鉄道事業法」に一本化したわけである。そして、軌道法は国鉄時代から、主に路面電車を規律する法律として存在しており、モノレールや地下鉄には軌道法の適用を受けるものが多い。つまり路面電車の仲間である。だがそれも全てがそう言うわけではなく、たとえば東京モノレール(浜松町~羽田空港)は鉄道事業法の適用を受けている。鉄道の仲間だ。地下鉄やモノレールのうちどんなものが鉄道事業法(鉄道)でどんなものが軌道法(軌道)なのかについては明確な規定がないが、道路に付随して建設されるものは路面電車に準じて軌道とし、そうでないものを鉄道とするのがこれまでの慣例だった。道路の付随施設である軌道が建設省の所管で、そうでない鉄道は運輸省の所管だったのもそうしたことを踏まえた結果である(それも今は両方とも国土交通省になってしまったけれど)。東京モノレールが鉄道になっているのも、ほとんど道路と並行せずに走っているからだろう。逆に言えば、それが鉄道扱いか軌道扱いかを調べることで、道路に沿って走っているのかそうでないのかの見当がつけられると言うことであり、ゆいレールの場合は道路に沿って走っているのだろうということが、現地に行かなくても想像できてしまうので面白い、いや面白くない。

 そして、えちぜん鉄道に話題を移す。2000年冬と2001年6月に相次いで衝突事故を起こし、運輸局から運行停止命令を受けていた京福電鉄が第三セクターに装いを改めての復活である。地方私鉄の第三セクター化なんて前例ないよなぁ…と一瞬思ったが、宮城県の栗原電鉄が第三セクター「くりはら田園鉄道」になった実例があるから2例目と言うことになる。ここは私、京福時代に一度乗りに行ったことがあり、愛着も持っている。ATS過信はもちろん戒めなければならないが、ATSを装備したことにより安全性は格段に向上しているはずである。とはいえ2年間のブランクはあまりに長すぎ、地元では「客が戻るのか」と心配する声もあるとのことだが、福井市内も道路事情が悪く、バスは定時運行ができない状態だと言うから、じきにいくらかは戻ってくると信じている。

 この「ゆいレール」と「えちぜん鉄道」、経営的にはどちらも苦しむのは目に見えてい
るから、この文章を読んだ皆さんも折に触れて利用していただけるとファンとしてはとても嬉しい。沖縄はともかくえちぜん鉄道は近いから、私は多分年内くらいには行くことになるかもしれない。

(2003/8/11・特急たから)

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