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第三者委員会が本当に第三者だった件、および調査の焦点は隠蔽工作

2018-06-30 10:18:14 | チラシの裏
  昨日、日大の悪質タックル事件を調査していた第三者委員会が中間報告書を提出し、記者会見を行った。委員会は、内田前監督が反則指示をした、とはっきり認定した。関東学連の結論と同じではあるが、日大の中の人の一人としてこれはかなりの驚きだった。

  教員の間では第三者委員会はあまり期待されておらず、関東学連と異なる結論を出すために雇われた人たちであり、これまで日大本部が採用してきた立場「監督と選手の間のコミュニケーションの齟齬・言葉の解釈の違い」を繰り返すだけだろうと疑われてきたからだ。関学や被害者への疑義のある対応がすでに報道されていたこともある。委員会の報告は「再炎上案件」になる、というのが教員の間の予想だった。

  その予想は覆された。アメフト部の指示があったかどうかの事実認定だけでなく、隠蔽工作の存在まで明らかにし、現在行われている監督選考にまで意見する仕事ぶりで、聞いていて頼もしいものだった。お見それいたしました。おそらく調査に協力したアメフト部学生たちの正直な意見も影響したのだと思う。

  会見で明らかにされた事実のうち、隠蔽工作の存在はアメフト部の問題ではなく、ガバナンスの問題ということになる。経営陣のどのレベルで隠蔽工作の指示が行われ、どのレベルの人たちがそれを知っていたか、というの今後のガバナンスの正常化を考える上で重大な論点となる。第三者委員会でもこの点を中心に調査がなされることだろう。

  文理学部では、第三者委員会の記者会見の前日に、加藤直之・文理学部学部長兼アメフト部部長が臨時教授会を開いて、学部所属の専任教員に対して事件について説明を行っている。関学からの抗議を受けて日大でも5月中旬にアメフト部を調査していた。学部長の説明によれば「その調査は弁護士に依頼しており、内田前監督からも当該選手からも中立的なもの」ということだった。弁護士が何者だったかは明らかにされていないけれども、おそらく日大の顧問弁護士だろう。

  その調査で出された結論が、日大本部の見解となり、関学への回答書でも日大広報の対応でも学長の記者会見でも繰り返されたと思われる。先日の臨時教授会の段階では、学部長もその学内調査を根拠として内田前監督の言い分にいまだ理解を示していた。しかし、昨日の会見によって、調査対象となる部員に圧力がかけられていたということが明らかになった。5月に行われた学内調査は信憑性のないものだったのだ。経営判断に使われた肝心の情報が歪められていたわけで、この隠蔽工作こそが日大に大ダメージをもたらした原因だといえる。

  というわけで、いったい誰が隠蔽工作を指示したのか、というのが次の論点となる。実際に圧力をかけた人物の名は会見では明らかにされなかったが、別の報道ではある理事の名が挙がっている。他に誰が知っていたのだろうか。「上層部が示し合わせて」という可能性もなくはない。それとも学長や学部長は5月の学内調査に騙されていただけ、ということになるのだろうか。いずれにせよ、上層部の責任が問題となる話だ。そうなったとき、第三者委員会の提言に本部はきちんと対応できるのだろうか。どうなることやら。
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