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「すぐに使えそう」と思わせてくれるが、アルゴリズムの論理はよくわからない

2013-09-23 09:06:07 | 読書ノート
坂井豊貴『マーケットデザイン:最先端の実用的な経済学』ちくま新書, 筑摩書房, 2013.

  最適な組合せやオークションの仕組みについての書籍。トピックは三つだけで、最初は腎臓移植における複数の患者とドナーのマッチングが事例。血液型による適合性があるので「誰でもいい」というわけにはいかない。そこで一人一財の配分をする「TTCアルゴリズム」なる方法を使うと、安定的な組合せができるということである。説明の詳細は省くが、このアルゴリズムは単純である。けれどもなぜ適切な結果になるのかはよくわからない。

  次はカップリングパーティのケースで、そこでは「受入保留方式アルゴリズム」が薦められる。このケースでは、男女相互に好みの優先順位があるのだが、それを正直に申告し「ない」ことによって参加者が有利な結果を引き出すこのできる余地がある。受入保留方式アルゴリズムには、これを封じる「耐戦略性」があるという。結果の安定性については言われてみるとそうなんだけど、直観どおりにはいかない結果になるところが面白い。学校選択などにも適用可能とのこと。

  最後はオークションで、財のタイプによって最適なオークションは変わるとのことである。よくイメージされる競り上げ方式だけでなく、競り下げ型、第二価格オークション、それらを変形したものなどが紹介されている。で、政府は貴重な資産である電波の周波数を、オークションで売るべきだ、と。

  以上。さっそく大学のゼミの決定に使ってみようかと思ったところ、最後のページで「生兵法は怪我のもと」という戒めの言葉に出くわす。著者のアドバイスによれば、実際に使う場合はちゃんとした専門書を読んでおいたほうがよい、だって。
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