29Lib 分館

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アメフト問題その後の学内の様子

2018-06-29 09:58:43 | チラシの裏
  5月6日に起こった日大アメフト部のタックル事件のその後。最近は沈静化しているものの、世間に流布した「日大=気持ち悪い大学」というイメージは払拭されないままである。先日訪問した教育実習生受入校の巡回先では、僕からアメフト部ネタを中学校の先生にふってみたのだが、向こうからの返答はうなずきだけで言及を避けているようではあった。腫れ物扱いだった。実習生が授業を行う教室に入ったところ、元気な中学生たちから「日大の先生?テレビに映った?」と好奇の目で尋ねられたけれども。

  電話を通じて実家の母は、息子が上司の目に怯えて仕事をしているのではないかと心配していた。「報復人事」の話が広まったせいだろう、教職員は日大本部(学内では経営部門をそう表現する)が怖くて大人しくしている、と。あのねえ、そんなことはないから。あまり話題になってはいないが、文理学部では理事長宛に「事態の早期打開と根本的解決に向けて」という要望書を出してかつネット上で公開している1)。この件に関しては、すでに教職員組合が表に出てアピールしているけれども、教授会での議論も活発だし、個人名義で本部に向けて提案書を出している教員もいるようだ。だいいち、教員の所属の異動など簡単なことではないし、仕事を干すといっても学務や講義が減らされたら研究時間ができてラッキーという話でしかない。

  日大に異動してきて3か月の僕が見聞きしたかぎりでは「日大が暴力や恐怖によって経営されており、このために学内の動きが鈍い」というのは当たらない。教員としては学務が少なくて楽であり、待遇もとてもよい。労働組合への加入率が5%以下と低いのもそのせいだろう。事務職員のほうはわからないけれども。徒党を組んで声をあげるという動機が乏しくなる程、これまでの学校経営は上手くいってきた(ように見えてきた)のだ。だからこそ、教員たちがスポイルされてしまった、とみるのが正確だろう。いつの間にか彼らは本部のやっていることを気にしなくなった。いざ危機が起こってみると、効果的な組織の動かし方や世間へのアピールの仕方がわからない、という状況に陥っているのである。

  今回の件は、報道などで「日大は学生を犠牲にして組織を守ろうとしている」と説明されることがある。日大の教員としてはこの表現はまったく的外れと言わざるをえない。教職員らは「日大本部は、これまで築き上げてきた日大の信用を破壊してまで、特定の個人を守ろうとしている」とみなしている。組織の利益とは無関係な、私的利益のために日大のリソースが使われたのだ。犠牲にされたのは件の学生だけでなく、日大そのものである。本部は大学経営を忘れた。もはや経営上の合理的な判断ができなくなっている本部から、どうやって大学を守るか、これが日本大学の教職員の現在の課題となっている。


1) 日本大学文理学部担当会からのお知らせ
  https://www.chs.nihon-u.ac.jp/other/2018-06-20/8552/
 ちなみにこの要望書の名義「担当会」とは学部長・次長など文理学部の管理職教員のこと。教授会名義とすべきという議論もあったのだが、教授会にこのような内容の文書を議題にする権限がないということで担当会名義になった。内容がヌルいのではないかと教授会で激論になったが、まずは受け容れやすい形で理事長に伝えようということで現状の文言となっている。



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