今年の歩き初め・初探訪は須磨の旧室谷邸からです。
実は年末に、神戸市須磨区離宮前町にあるヴォーリズの名建築・旧室谷邸の解体が発表され、近代建築ファンの間に大きなショックが広がりました。
********************************************************
~神戸新聞の記事より(抜粋転記)~
旧室谷邸は、木材商の故室谷藤七氏が自宅として一九三四年に建てた。居間や食堂のある主屋は木造とレンガの地上三階、地下一階建てで、延べ床面積約六百四十平方メートル。英国伝統の様式を踏襲しており、離宮道の松並木と一体となった景観を構成している。
邸宅を室谷家が手放したのは昨年八月。姫路市の不動産会社が購入し、美術品を邸内に置く構想のもと、調査したところ、主屋の傾斜が進み、湿気による内装の腐食が激しいことが分かった。
ヴォーリズ建築に詳しい大阪芸術大の山形政昭教授(建築史)は「室谷邸は、日本近代の洋風邸宅建築でも指折りの作品。須磨の歴史的、景観的な資産が失われることは、地域にとって大きな損失」と指摘し、業者側にあらためて慎重な判断を求めている。
********************************************************
地元住民の方からも「保存を」の声が上がっているようですが、補修や移築には10億円といった費用がかかるそうで、神戸市も買い取るだけの余裕がなく、今のままでは非常にまずい状況です。昔であれば、大パトロンが救いの手をさしのべたりしたのですが、最近はサラリーマン社長が多いし、そういう人が少なくなりましたしね。この建物は過去に何度か見ているのですが、今回初めて写真を撮りました。ハーフ・チンバー&煉瓦という完全に私好みの建物です。内部(内装)については知らないのですが、傷みはあるとしても凄いレベルなんでしょうね。
それにしても、この地域のランドマーク的な建物だけに何とかならないものか・・・。
旧室谷邸を見た後は、旧・西尾邸、U田邸、O野邸を巡りました。いずれも規模の大小はあれ、素晴らしい建物です。旧・西尾邸は春に高級レストラン・スペース(だったかな?)として新たなスタートを切るようでした。
この後、塩屋に移動。以下、別記事で。
◎参考ブログ:のりみさんの”のりみ通信” (1/21追加)
”MINUTES/旧室谷邸の解体を考える” (1/21追加)
”余は如何にして道楽達人になりしか” (1/22追加)
正月から精力的に歩かれてますね。しかもゴージャス。
旧室谷邸の補修に10億円かかるので直せないというお話は、その貴重さゆえにということでしたら、非常に残念なことだと思います。木材商なら、いい木を使っているのでしょうね。
誰かが買い取って(土地代ですよねたぶん)、神戸市に寄贈すれば、神戸市は直さざるをえないという某煉瓦建築保存の方式か・・・相当に迷惑な話ですが。
確かにゴージャス、ハイソでリッチな探訪でした。
これで旧室谷邸が何らかの記念館や美術館、あるいはレストランetc.としてオープンし、内部が一般に公開されるというのであれば万々歳なのですが、逆方向に進みそうなので気が重いです。
私は”10億円”という数字を使ったのですが、神戸新聞の記事では
*****************************************
市教委が専門機関に依頼した試算では、修理費用約七億円、移築費用約十八億円。市教委は「財源を考えると、買い取りは無理」としており、移築可能な部材の保存を条件に、業者側の解体届を受け取ったという。
*****************************************
と書かれていました。
ナショナルトラスト等は寄贈による委託管理がメインで、買い取りはやはり資金面で厳しいのかな?募金による買い取り例もあるみたいですが、金額が金額だけに募金のみでは賄えないのでしょうね。
PCを用いた株式売買で短期間に億単位のお金も稼ぐ人もおるのになあ・・・。
そんな人は文化や芸術には全く関心がないのかなあ。
連休中忙しくてほとんどブログ巡回してなかったのですが、
今日見たら、すごいですね!こんなにたくさん近代建築を
巡られてたんですね~いつもながらフットワークの軽さに
恐れ入ります。
この記事、私も見ました。
こんな素敵な建物が解体なんてもったいなすぎます。
腐食が激しいということですが・・・・う~ん、なんとかならない
ものでしょうか。。
アラブの大富豪さんがぽーんと10億くらい寄付してくれないかなぁ~
こんにちは。
大阪市内などのミニ探訪以外のときは、1回で結構歩き回ります。
大きな移動にはもちろん電車も利用しますが、基本的には徒歩ですね。早朝から夕方まで動き回って、大休止は昼食時の1回のみなんていうことも多いですよ。
ランニングも建築探訪のために足腰を鍛えているという面があるかもです。
旧・室谷邸は素敵だし凄い建物です。今後については予断を許しませんが、もし興味を持たれましたら早めに見に行くことをオススメ致します(山陽電鉄・月見山駅下車、北西へ徒歩約5分)。
宝くじに当たるくらいでは救済できないとすると・・・
出でよ、大パトロン!
ひろさんはじめまして。お仲間の会話の中に割り入るようで失礼いたします。昨年末からの報道に皆様も驚きのことと思います。
私は現在は埼玉に住んでいますが、幼少のころ兵庫県に住んでいたこともあり、近隣の神戸市には買い物や遊びでよく行った街で、須磨には海水浴でよく行きました。
解体の報を聞き、先日6日に、急遽、旧室谷邸を確認に行ってきました。場所は須磨離宮公園の目の前、黒松のある坂道と大きな県道の角地に立地していました。旧室谷邸は意匠性のあるチューダー様式の建物ですが、角地ということもあり、これはヴォーリズがランドマークとなる建物にしたのだ、と付近を歩いてみてそう思いました。付近にはかつては邸宅が多かったようですが、開発の波が押し寄せ、マンション等が多く見られました。
今回の件を自分なりに考えてみました。
現所有者の、前所有者の意に反した行動やその対応などを報道で見る限り、現所有者にはもともと当初から意図があったのではないか、と。皆さんもお感じのこととは思いますが。”保有する美術品展示に使用予定だったが傾きや沈下が進んだ”(最も下調査に入念な業界にしては何故?あらかじめ調査すればわかるし、後調査の計測はずいぶん具体的)、”解体発表のタイミング”(絶妙ですな)、”部材の売却先・移築先未定””記録のための調査申入れを拒否”(移築を行うにしても、まずは調査がないとできない)など、皆様は何かお感じになりませんか?
専門機関が試算した、かかる費用が新聞に載っていましたが、現所有者が主張している沈下が仮にあるとして、工事が本当に必要だとしても、それほど費用はかからないのではと思っています。緊急性があるならば、沈下対策工事のみ行えばいいのですから。何億円というのはすべてを行った完全修復の場合での試算でしょう。こういう際に、行政側は見極めることが求められますが、どのようなことを行ったのでしょうか。
なお、この交差点の北西の対角にある近代建築である旧西尾邸は結婚披露宴場に改修工事中の模様で、今後も使用されていくものと思われます。旧室谷邸とは対照的な感でした。
旧室谷邸の保存について、神戸市、兵庫県、文化庁、NPOなどの関係されている方に、建物への思い、貴重さ、関係者への激励でも、何らかの形で伝えることが自分らにできることではないでしょうか?もちろん苦情という形だけではダメですね。地元の方のみならず、国民すべてにとっての貴重な文化財産と思います。
消えてしまったら、神戸の、いや、日本の中でのヴォーリズの様式美建築の最高峰を失ってしまいますよ。
皆さんの小さな声が積もれば、大きな力となると信じています。伝えるなら今。時間はありません。
●神戸市(教育委員会文化財課)
(HP)http://www.city.kobe.jp/cityoffice/57/032/
(メール)edu@office.city.kobe.jp
(TEL)078-322-5798(直通)
●兵庫県(教育委員会文化財室)
(HP)http://www.hyogo-c.ed.jp/~shabun-bo/gyouseisituhp/top/top.htm
(メール)bunkazaishitsu@pref.hyogo.jp
(TEL)078-362-3783
●文化庁(文化財部参事官(建造物担当))
(HP)http://www.bunka.go.jp/index.html
(メール:文化芸術振興目安箱)meyasu85@bunka.go.jp
(TEL)03-6734-2792(直通)
●NPO(特定非営利活動法人アメニティ2000協会)
(神戸市長あてに1/5付けで要望書を連名で出されたNPO法人)
(HP)http://homepage3.nifty.com/amenity2000/index.html
(要望書)http://homepage3.nifty.com/amenity2000/newpage124.html
(メール)soshisha@f6.dion.ne.jp
(TEL/FAX) 0797-35-2181
なお、マルチポストにつき失礼します。
建築関係のメーリングリストでは、もう少し詳細な情報が交換されており、私も現所有者(業者)は保存を前提として契約しながらも、”早急に解体してしまう”を念頭に置いていたとしか思えません。
2年前の兵庫県近代化遺産調査で内部に入った大阪芸大の山形教授によれば、特に著しい老朽化は認められなかったらしいですしね。
しかし、前の所有者の方も悪い業者につかまったというか・・・。
こんなはずじゃなかったという気持ちで一杯でしょうね。
メーリングリストでは、本音でいろいろなことが語られているのだろうと察します。
明日15日、明後日16日の行政関係や近隣住民の方などの対応に期待されます。
先ほど、関係者への応援の意味を込めて、関係担当者あてにメールしました。
こんんはずじゃなかったという気持ちで一杯でしょうね。
・・・そうですよね。そう思います。
弁護士をすでに選定していれば、相手方と
交渉しているのでしょうが、どうなのでしょうか。
ケースは違いますが、
同じヴォーリズ設計の滋賀の豊郷小学校のときは
工事を止めることができました。 大津地裁決定でしたか。
今回は、前所有者の意に反した動きとなっているようですし、
緊急性があると考えられ、そういったことからも工事は止められる
のではないかと信じています。
1/15から準備に入ってしまったようです。
ttp://mytown.asahi.com/hyogo/news.php?k_id=29000000701160002