中国で闘う記者たちを応援する

中国で闘う記者たちを応援する


改革先進地として恥…中国記者スト、市民も声援
 【広州=吉田健一】中国の有力紙・南方週末の新年社説が広東省共産党委員会の指示で大幅に書き換えられた問題で、同紙は6日夜、党宣伝部門の介入による書き換えを否定する声明を出した。

 同紙記者らは「事実に反する声明だ」と強く反発。一部が抗議のストライキに突入したほか、7日には記者らを支持する市民約300人が、広東省広州市の同紙本社前に集まる異例の事態となった。

 同紙は否定声明を中国版ツイッター「微博」の公式アカウントで発表。「(記事書き換えという)ネット上のうわさは事実ではない」と、党の介入を否定した。

 だがこの直前、記者側は「アカウントのパスワードを上層部に押さえられた」と微博で暴露。声明に怒った記者ら20人近くがストを表明し、論説担当ら約100人が上層部への抗議文書に名を連ねた。記者側と当局・上層部との対立は激しさを増している。

 共産党の宣伝機関と位置づけられる中国の報道機関で、言論統制を理由としたストの表面化は、1989年の天安門事件以降ほとんど例がない。

 一方、7日午前から、ネット上でのデモ呼びかけに応じた若者ら多数が同紙本社前に集結。花束や「改革開放先進地として恥ずかしい」などと記した紙を正門前に置き、記者たちに声援を送った。周辺には制服、私服の警官が配置されたが、強制排除など強硬手段は取らなかった。

(2013年1月7日22時44分 読売新聞)
中国共産党に弾圧に抗して民主化の闘いをしている新聞記者たち。多くの市民も応援している。
共産党の弾圧は厳しく、記者を支持した市民はみんな警察に呼ばれて注意されたようだ。
今の中国は戦前の日本に似ている。戦前は共産党が徹底して弾圧され、「蟹工船」の作者小林多喜二は警察の拷問で殺された。

高校の教科書でこのことを知ったとき大きなショックを受けたことを覚えている。政治活動家が警察に殺されるということはあり得ても小説家が殺されるということはあり得ないと思った。
琉大に入るとプロレタリア文学について調べた。すると、多くの共産党活動家や小説家、詩人などが弾圧されていた事実を知った。共産党活動家だけでなくアナーキストや自由主義者なども弾圧されていた。そして、何人かは殺されたり行方不明になっていた。
私は評論家吉本隆明の本を読んでいるうちに中野重治の誌が好きになった。彼はプロレタリア詩人である。
「夜明け前のさよなら」はとても好きだ。心が癒されるものがある。

夜明け前のさよなら


僕らは仕事をせねばならぬ
そのために相談をせねばならぬ
しかるに僕らが相談をすると
おまわりが来て眼や鼻をたたく
そこで僕らは二階をかえた
路地や抜け裏を考慮して

ここに六人の青年が眠つている
下にはひと組の夫婦と一人の赤ん坊とが眠つている
僕は六人の青年の経歴を知らぬ
彼らが僕と仲間であることだけを知つている
僕は下の夫婦の名まえを知らぬ
ただ彼らが二階を喜んで貸してくれたことだけを知つている

夜明けは間もない

僕らはまた引つ越すだろう
かばんをかかえて
僕らは綿密な打合せをするだろう
着々と仕事を運ぶだろう
あすの夜僕らは別の貸ぶとんに眠るだろう

夜明けは間もない

この四畳半よ
コードに吊るされたおしめよ
すすけた裸の電球よ
セルロイドのおもちやよ
貸ぶとんよ
蚤よ
僕は君らにさよならをいう
花を咲かせるために
僕らの花
下の夫婦の花
下の赤ん坊の花
それらの花を一時にはげしく咲かせるために

警察は共産主義者を逮捕し、拷問して「転向」することを迫った。「転向」
というのは共産主義を止めるということである。多くの共産主義者は拷問に
絶えることができなくて「転向」した。中野重治も「転向」した。そして、「転向」したという自分を責める。
小林多喜二は「転向」を拒否して殺された。

戦後、中野重治は共産党に再入党するがしばらくすると脱党する。
中野重治が考える共産党ではなかったからだ。
多くの小説家や詩人は共産党が目指している共産主義社会は自由で平等で貧富のない理想社会だと思っていた。中野重治もそう考えていたと思う。
しかし、共産党がつくった現実のソ連や中国は違っていた。
共産党に幻滅した中野重治は共産党を脱退した。共産党と意見が違い共産党から除籍された詩人もいる。

ロシア革命を心から喜び、革命の誌を書き続けた革命詩人のマヤコフスキーはスターリンの社会主義国家に絶望し自殺している。

中国では共産党の弾圧に傷めつけられたり殺されたりしながらも、自由を求めて闘っている人たちがいる。かれらの闘いは近いうちに実を結ぶだろう。

表現の自由を求めて闘っている中国の記者たちに、なんて日本の記者たちは冷淡なのだろう。日本の記者たちには表現の自由を求める魂がないようだ。
アメリカによって与えられた表現の自由を日本の記者たちはまだ完全には消化していない。さびしいものだ。
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