あなたたち 沖縄を弄ぶなよ・佐藤優2






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 安波ヘリパッドだ。高江ヘリパッドではない。
 
建設されるN-1地区、H地区、G地区は国頭村安波である。高江ではない。だから高江ヘリパッドではない。安波ヘリパッドだ。N-4地区だけが高江ヘリパッドである。

高江中学校からの距離
N4地区・・・1,5km    N1地区・・・2,5km    H地区・・・2km   G地区・・・2,8km
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あなたたち 沖縄を弄ぶなよ
沖縄アニミズム信奉者になった佐藤優


ハイサイグスーヨー。チューウガナビラ。ワンネー佐藤優ヤイビーン。佐藤優です。
この数年間で私のアイデンティティは変化した。元々外務省の官僚をやっていたでしょう。国会意識が強かったです。ただルーツは沖縄だから、沖縄系日本人と思っていたたんだけども、今は違うんです。日本系沖縄人だと思っている。どういうことか。沖縄か日本かどっちかを選べと言ったら文句なしに沖縄を選ぶということです。今この場に何人集まったかということをみんな気にしているでしょう。僕はあんまり気になんないです。むしろニライカナイとかオボツカグラとかあそこから祖霊がたくさん来ているから、数えきれないほどのウチナーンチュのマブイが集まっている。
                           「佐藤優演説」
 佐藤優氏が2015年5月17日「戦後70年 止めよう辺野古新基地建設!」沖縄県民大会の壇上で述べた最初の口上である。ウチナー口で挨拶するのは愛嬌があり沖縄県民は親しみが湧いただろう。沖縄系日本人から日本人系沖縄人だと思うようになったというのも県民との距離感をなくす効果がある。しかし、ニライカナイやオボツカグラから多くの祖霊がやってきて、数えきれないほどのウチナーンチュのマブイが集まっているというのはどうだろうか。無数の沖縄の先祖の霊が政治集会に集まってくるのである。私は佐藤氏の祖霊の話に唖然とした。
 子供の頃、海の彼方にニライカナイがあると母親に教えられたが、私はニライカナイの存在を信じることができなかった。

ニライカナイ
沖縄県や鹿児島県奄美群島の各地に伝わる他界概念のひとつ。
遥か遠い東(辰巳の方角)の海の彼方、または海の底、地の底にあるとされる異界。
豊穣や生命の源であり、神界でもある。年初にはニライカナイから神がやってきて豊穣をもたらし、年末にまた帰るとされる。また、生者の魂もニライカナイより来て、死者の魂はニライカナイに去ると考えられている。琉球では死後7代して死者の魂は親族の守護神になるという考えが信仰されており、後生(ぐそー:あの世)であるニライカナイは、祖霊が守護神へと生まれ変わる場所、つまり祖霊神が生まれる場所でもあった。
ニライカナイというのは、東の海の彼方にはアメリカ大陸があること、地球は球であることを知らない昔の琉球人が想像した世界である。

オボツカグラ
沖縄における天空異界の観念。
オボツカグラとは縦の社会を示し、海の向こう(横方向)の異界であるニライカナイとはまた別の異界である。縦の社会は権力を示し、君真物を頂点とした古代琉球王朝の信仰形態の数少ない資料になっている。そしてニライカナイの方が有名になってしまい、その影に隠れてしまった可哀想な異界でもある。
ニライカナイと同様にその意味は真ん中で二つに分かれ、オボツは天上を示し、カグラは神のいる場所を示す。これにより、カグラは本来、神楽ではなく神の座(くら)、神座(かぐら)の意味が正しいことが分かる。このあたり、琉球言語と本島言語が混ざっているのが見て取れる。

 私がオボツカグラを知らないのは母親や大人がオボツカグラについて話さなかったからである。母親もオボツカグラは知らなかったと思う。勉強家の佐藤氏は古代の琉球王朝時代の文化や宗教を調べてオボツカグラを知ったのであろう。沖縄の歴史を調べ上げた佐藤氏は私よりも沖縄のことを知っている。その意味ではすごいと思う。
しかし、沖縄で育った私は沖縄の古い因習や宗教との精神的な葛藤があった。佐藤氏のように沖縄の昔について勉強はしなかったが、昔からあり続け戦後も沖縄に存在している因習や宗教は大人から教えられたし私の生活に影響した。
 私は長男であったから先祖や仏壇にまつわる教えや、ぐそう(あの世)の話や火の神など神についても教えられた。最初は教えを信じていたが高校生になる頃には信じないで否定するようになっていた。ただ、自分の考えを大人たちに主張するのではなく、沖縄の神々の否定は心の中に押しとどめていた。沖縄で育っていない佐藤氏は沖縄の歴史を勉強し、昔の沖縄にはニライカナイやオボツカグラ信教があったことを知り、今もその信教が沖縄の人々にあると思って、県民大会でニライカナイやオボツカグラから先祖の霊がやってきたと述べたのである。そして、無数の先祖の霊が県民大会を応援していると述べたのである。笑ってしまう話である。
 県民大会は辺野古基地建設反対が目的の大会であった。そして、「沖縄は過去も沖縄人のものであり、現在も沖縄人のものであり、そして未来も沖縄人のものである」と主張し、沖縄には民族自決権があることを主張し琉球独立をも目指している大会でもあった。そのような県民大会を祖先の霊が支持しているというのが佐藤氏である。本当に祖先の霊は琉球独立も視野に入れている県民大会を応援しているだろうか。明治政府による琉球処分が沖縄差別の始まりであると佐藤氏は述べているが、霊の心を知るには琉球王朝を知る必要がある。大城立裕氏の小説・琉球処分は琉球処分の時の沖縄の様子をリアルに描いた小説である。小説・琉球処分は1968年に出版されたが、1959年に琉球新報に連載された小説である。

 小説・琉球処分は、明治五年五月に、明治政府から派遣された三人の男が浦添間切沢岻村から内間村へ向けて歩いている様子から始まっている。三人は沖縄の現状について調べていた。

 断髪の二人は、沢岻村を出る頃から、議論を続けていた。
「七日間をつぶしてこの島の百姓の生活を見てきてその疲弊ぶりに舌をまいた君が、やはりそのようなことしか言わないのか、ぼくとしては納得いきかねる」
・・・・・・・
「確かに貧乏には驚きます。何か腹立たしいものも感じます。だからといって、それをすべてわが責任であるかのように、苦しむいわれはないと思うだけです。正月二十五日にこの島へ来てからずっと、首里の政庁でも調べたではありませんか。なるほど島津が琉球を収奪した。しかし、琉球の百姓をしばりあげたのは、島津が直接にしたのではなくて、琉球政庁の役人どもだ。かれらは島津にひたすら頭を下げて苦しい苦しいといいながら、百姓と同じように苦しもうとはしなかった。自分らはぬくぬくと暮らした。その責任を問うべきですよ。それが琉球の御一新というものだ」
                          「小説・琉球処分」
 三人は元島津藩士である。三人が見た沖縄は百姓の極貧であった。そして、極貧の百姓を搾取して豊かな生活をしている琉球王朝があった。その事実を小説・琉球処分は元島津藩士である三人の明治政府から派遣された男に語らせる。小説は琉球処分官と琉球王朝の駆け引きが中心であるが、沖縄の百姓の貧しさも描いている。

「皮肉を言うわけではないが、きみはやはり、封建政治をにくんだ勤王の志士奈良原幸五郎だ。しかし、きみは、自分が鹿児島の人間だということを忘れている。見たまえ。ぼくらが自分では日本帝国の官員として琉球の人民を解放するために来たつもりでも、百姓どもは、やはりぼくらを島津の片割れとして警戒しているのだ」
「それは思い過ごしだ、伊地知さん。いや確かに百姓たちはまだぼくらをこわがっているかもしれないが、そんなことをいちいち気にしていたってはじまらない。ぼくらとしては、この島の産業開発と教育とに努力をかたむけること。きのう話した通りです。・・・・・」
                           「小説・琉球処分」
 明治維新とは、封建社会の江戸幕府から士農工商の身分制度を排して四民平等の近代国家を築いたものであった。明治政府による琉球処分が沖縄を近代社会にするものであることが三人の会話から分かる。しかし、琉球王朝は沖縄の近代化を理解できない。

明治御一新を説明するのにあれだけ骨が折れるとは思いませんでしたぜ。薩摩の国が鹿児島県になったのがなんだか悪いことをしたみたいで、変な錯覚までおこしましたな」
・・・・・・・
「薩摩への借金も免除してやると言ったとき、いちばん理解に苦しんだらしい。かれらの今までの考え方からすると、こんなことは奇蹟ともいうべきものだろうから」
「あの調子では、その金で土民を救済し国本を張る資にするようにと命じたところで、その政策をとれるかどうか、あてになりませんな」
                         「小説・琉球処分」
明治政府は大日本帝国憲法を制定して、法の下での平等を目指して身分制度を廃止し、武士の特権をなくした。しかし、琉球王朝にとって農民を搾取する身分制度は当然のことであり、王朝を廃止して、武士と農民が同じ身分になる四民平等を理解することができなかった。明治維新は琉球王朝にとって予想もしていなかったことであり理解できないのは当然であっただろう。明治政府は琉球王朝を廃止するというのだ。琉球王朝が存在しなくなるということを理解するほうが無理である。自己決定権が明治政府に奪われてしまう。それは琉球王朝にとっては差別に等しい。
 琉球処分は身分制度を排し、四民平等の社会を築くことである。農民は大歓迎した。琉球王朝以外の沖縄のほとんどの人たちは琉球処分に賛成したのである。とすれば琉球王朝が復活するかもしれない琉球独立に多くの農民の霊は反対だろう。佐藤氏は多くの霊が県民大会を応援にやってきたと述べているが、あり得ないことである。やって来たのは琉球王朝の身分の高い霊たちだけであるだろう。

 戦後の日本は議会制民主主義国家である。国全体のことは国会で決め、県全体のことは県議会が決め、市町村のことは市町村議会で決める。琉球独立の根拠は沖縄のことは沖縄が決めるべきであるのに国会や政府が決めていることにある。そして、それを沖縄差別と言っている。琉球独立は現在の日本国家の議会制民主主義を否定している。琉球独立論者が感じる差別は支配階級である琉球王朝の感じた差別と同じである。議会制民主主義を否定して琉球独立を目指す運動は琉球王朝復活を目指した運動である。
 琉球独立を主張する佐藤氏は王朝時代の信教ニライカナイ、オボツカグラを信じているようである。そして、「「この数年間で私のアイデンティティは変化した」と述べたように翁長知事が主張している沖縄アイデンティティを支持するようになった。

沖縄は過去も沖縄人のものであり、現在も沖縄人のものであり、そして未来も沖縄人のものである。今まで私たちはイデオロギー、革新とか保守とか労働者とか地域とか国家と言うことを難しく考えすぎた。そのために沖縄人というよりも個別優先をした。それがつけ込む隙になった。ただ、翁長知事が誕生したから変わった。
                            「佐藤優演説」
 佐藤氏はイデオロギー、革新、保守、労働者、地域、国家について考えるよりも沖縄人をひとまとめにして考えるべきであり、そのほうが日米政府の沖縄差別が分かり、「沖縄は過去も沖縄人のものであり、現在も沖縄人のものであり、そして未来も沖縄人のものである」という考えになれると言う。
翁長知事は去年の知事選の時、突然沖縄アイデンティティを主張するようになった。イデオロギーは腹六分に抑えて沖縄アイデンティティで結束して日米政府と闘うというのが翁長知事のアイデンティティ論であった。

 保守・・・普天間飛行場の県外移設  日米安保容認
革新・・・普天間飛行場の閉鎖・撤去 日米安保廃棄
 
翁長知事の沖縄アイデンティティは革新と手を組む方法として考え出したものであった。安保容認の保守翁長陣営と安保廃棄の革新が一緒になることは政治理念から考えると実現不可能である。しかし、翁長知事の発案した沖縄アイデンティティは翁長陣営と革新が一緒になることを可能にしたのである。お互いの政治主張はそのままであり、県外移設か閉鎖・撤去のどちらかに統一することはなく沖縄アイデンティティの名で一緒になったのである。政治理念が水と油のように全く違うのに一緒になるのは政界ではありえないことである。ところが沖縄では現実に起こった。

翁長知事の沖縄アイデンティティは安保賛成の翁長陣営と安保廃棄の共産党が一緒になることを正当化するための理論であった。しかし、そうすると普天間飛行場の県外移設と閉鎖・撤去を両陣営は維持したまま共闘することになるので、選挙公約には県外移設と閉鎖・撤去は使えない。使ったのが辺野古移設反対であった。選挙期間中両派は辺野古移設反対、新基地建設反対を訴えると同時に、翁長陣営は県外移設を主張し、革新陣営は閉鎖・撤去を主張した。となると普天間飛行場の解決方法が二つに分かれる。しかも政治理念は日米安保容認と日米安保廃棄に対立した状態である。革新陣営と手を結んだ翁長知事は普天間飛行場問題の解決方法では県外移設も閉鎖撤去も主張することができないことになる。翁長陣営と革新陣営が一緒になるということは普天間飛行場問題の放棄である。つまり固定化を容認することと同じである。
分析官の佐藤氏ならこのことは御見通しであるだろう。しかし、そんなことは一言も言わないで翁長知事のアイデンティティ論を称賛するのである。日米安保容認であっても日米安保廃棄であっても沖縄人ならいい、沖縄人は政治理念が違っていても一緒になれと佐藤氏はいうのである。

沖縄アイデンティティを一番恐れているのが東京の中央政府です。
 あの人たちはですね。人間性は色々問題あるが、悪知恵だけは働きますからね。外務省というのはフォークにナイフに蝶ネクタイみたいなかんじでやってますけどね、腹黒いですからねェ〜 わたし自身がいたからよくわかっています。
                            「佐藤優演説」
 確かに佐藤氏のいうように沖縄アイデンティティを一番恐れているのが東京の中央政府かもしれない。安保容認の翁長知事と安保廃棄の革新が手を組んで政府と対峙するのが沖縄アイデンティティである。道理のない反対を平気でやるのが沖縄アイデンティティだ。東京の中央政府が理論的に説明しても理解しないし、辺野古の反対派は感情にまかせて違法行為を平気でやる。話し合いも協議もできないのだから東京の中央政府が沖縄アイデンティティを一番恐れているのは佐藤氏の指摘通りだろう。
沖縄アイデンティティ信奉者の佐藤氏は沖縄人の結集を呼びかける。

 それだから県外移設に向けて、ある時期まで一生懸命頑張っていたが、前知事公室長を一年早く退職させて外務省参与にして辺野古移設への知恵をなんとか吸い取れないかと。こういうような卑劣なことをやります。前公室長、あなたもウチナーンチュだから絶対に誘惑に乗らないでね。あの人たちを助けないでください。それから、現場で対峙している警察官、防衛庁の職員、海上保安庁の職員、ガードマンの中にもウチナーンチュは居るでしょう。県出身者。なんで沖縄県出身者、沖縄人と沖縄人が対立しなければならないんですか。それを解決するのは簡単ですよ。辺野古の新基地を造るのを止めれば、その対立はすぐ終わる。
                            「佐藤優演説」
佐藤氏のインテリジェンスを疑ってしまう。ウチナーンチュだから政府に協力しない。沖縄人と沖縄人は対立してはいけない。だから公務員であっても沖縄人ならば辺野古基地建設に反対している人間を取り締まってはいけない。沖縄人と沖縄人の対立を解決するために辺野古の新基地を造るのを止めればいいと佐藤氏はいう。それが沖縄アイデンティティ主義の佐藤氏の考えである。
 議会制民主主義国家は国民の安全を守る義務がある。その義務を実行するのが警察であり海上保安庁である。違法行為を取り締まるのが彼らの義務である。警察、海上保安庁の職員、ガードマンは反対派と対峙しているわけではない。日本国は表現の自由が保障されている。辺野古移設反対を主張するのは自由であり、取り締まりの対象ではない。自由にどんどん辺野古移設反対を主張すればいい。しかし、キャンプ・シュワブに入る従業員の車や機材を積んだトラックなどを暴力で停めたり、海では進入禁止のフロートを超えてボーリング調査を阻止したりするのは違法行為である。違法行為は議会制民主主義の法治主義を破壊する行為である。許されるものではない。警察、海上保安庁の職員は反対派の違法行為を取り締まっているだけである。主張を弾圧しているのではない。彼らが違法行為をしなければ取り締まる必要はない。警察、海上保安庁の職員は法を守る仕事をしているだけてある。
 佐藤氏はウチナーンチュの警察、海上保安庁の職員は反対派の違法行為を取り締まるなと主張している。それは法治主義の否定である。警察、海上保安庁の職員が法治主義を放棄して個人の判断で取り締まるようになれば民主主義社会が崩壊する。沖縄アイデンティティ主義の佐藤氏は民主主義社会の崩壊を提唱しているのである。

 キャンプ・シュワブや辺野古の海で反対派が違法な行為をしなければ取り締まることはないから争いはなくなる。反対派は議会制民主主義のルールを遵守して不毛な違法行為をやめるべきである。そして、警察官や海上保安庁の職員やガードマンの人たちをこの不毛な仕事から解放してやるべきである。

 「今日本の陸地の0・6%しかない沖縄に74%の米軍基地がある。これは差別以外のなにものでもない。しかしですね。差別が構造化している場合、差別者は自分が差別していることを認識していないんですね」にはあきれる。沖縄の米軍基地は全国の23%である。74%ではない。それに米軍基地で一番大きいのは沖縄ではない。北海道である。この事実は10年以上も前から指摘されている。74%の米軍基地があるから差別されているというのなら実際は23%であるから差別されていないことになる。それに普天間飛行場が辺野古移設し、嘉手納飛行場以南の米軍基地が返還され、日米政府が約束している基地を返還すると沖縄本島の米軍基地は21%以上削減する。米軍基地は18%以下になるのだ。日米政府は沖縄の米軍基地を23%から18%へ削減する方針である。しかし、佐藤氏はこの事実を隠蔽している。

佐藤氏は差別が構造化している場合、差別者は自分が差別していることを認識しないで「逆に沖縄の我が儘のように見える」という。日本民族対沖縄民族は99対1であり、日本民族が圧倒的多数である。だから大民族である日本人には沖縄を差別していることが分かりにくいと佐藤氏は言う。日米政府の基地削減計画を阻止する方向に活動しているのが辺野古移設反対派であると言う。
「日本の陸地の0・6%しかない沖縄に74%の米軍基地がある」は嘘である。本当は23%である。そして、日米政府は18%にする方針である。その事実を隠して佐藤氏は沖縄は差別されているというのである。でっち上げ差別である。でっち上げ差別から佐藤氏は奇妙な理屈を展開していく。

ただ私たちは差別されて頭を低くしていたでしょう。そんなことを言われると惨めになると。実力をつけて跳ね返すんだと思っていた。逆なんです。差別についてきちんと語らないとこの構造は変わらない。そして今や我々は差別について語れるほど強くなったんです。
                          「佐藤優演説」
差別されていなかったのに差別されていると主張している者たちが頭を低くしていたはずがない。彼らはむしろ「私たちは差別されている」と胸を張って叫んでいた。それどころが嘘の経済論を打ち立てて日本政府の援助は足りないなどと日本政府に文句を言ったのである。

県議会事務局が米軍基地を全面返還すると9155億5千万円の経済効果あるという試算結果を発表した。
県議会事務局(T議長)は、もし、米軍基地がすべて返還された場合の経済効果は年間4兆7191億400万円であると具体的な数値の試算を出した。試算の内訳は嘉手納基地の以南では9109億6900万円であり、嘉手納基地の以北の経済効果は3兆7350万円、100ヘクタール以下の小規模面積施設730億9400万円と試算した。合計すると4兆7191億400万円の経済効果になるという。しかし、現時点の県内経済規模で実現可能な経済効果は、全部返還した効果の19・4%にとどまるとして、年間9155億5千万円の経済効果に上るとの修正試算結果を県議会事務局は発表した。米軍基地から現在生じている経済効果の2・2倍に当たるという。

雇用効果は9万4435人
県議会事務局は雇用効果も試算している。県議会事務局によれば、米軍基地があるために生じる雇用効果3万4541人に対し、全部の米軍基地が返還された場合の雇用誘発者数は48万6754人になるという。平成24年2月の県全体の就業者数は60万8千人である。10%の土地の米軍基地が返還されると雇用誘発者数が48万6754人にもなるというのは途方もない試算である。

県議会事務局は実現可能な雇用効果(19・4%)は米軍基地があるがゆえの効果より2・7倍に当たる9万4435人であるという。沖縄県の完全失業率は7・5%であり、完全失業者数は5万人である。基地が全部返還された時の雇用効果9万4435人は、米軍基地関連の雇用効果3万4541人と完全失業者5万人を合計した8万4541人を上回っている。基地関連雇用者と完全失業者すべて雇用しても、9894人の労働者不足になる。失業率ゼロどころか、県外から9894人の労働者を募集しなければならなくなる。ものすごい雇用効果である。
それにしても、奄美大島、八重山、宮古島には米軍基地はないが、米軍基地のある沖縄本島に比べて経済は発展していない(嘉手納基地以南の人口密度は東京都並みである)。米軍基地がないほうが経済は発展するという法則は沖縄本島だけにあり、奄美大島、八重山、宮古島にはこの経済法則はないようである。
T県議会長は、県議会事務局の試算で基地が全部返還した時の経済効果が年間9155億5千万円に上るとの試算結果を根拠にして、復帰後1972年~2011年の間に沖縄に投じられた国の予算(9・9兆円)の少なさを指摘し、
「振興策について政府内からは『沖縄を甘やかしてはいけない』という議論があるが、試算を見れば39年間で9・9兆円とは、支援策としてあまりにもたりないことは明白だ」と述べている。
T県議会長は復帰後、米軍基地が全て撤去されていた時の方が沖縄の経済は数倍も発展していたと主張し、「ポスト振興策の議論が始まる中、米軍基地による経済影響を正確に把握し、沖縄の自立経済を確保するため国の支援を求める根拠としたい」と述べている。
                   「沖縄に内なる民主主義はあるか」
9155億5千万円という嘘の経済効果の試算を出し、「試算を見れば39年間で9・9兆円とは、支援策としてあまりにも足りないことは明白だ」と日本政府に文句をいう連中が頭を低くしてみじめな思いになっているはずがない。それなのに彼らがみじめな思いをして実力をつけて跳ね返すんだと思っていたと佐藤氏は述べるである。そして、その思いは逆であり差別についてきちんと語らないとこの構造は変わらないという。そして、
「今や我々は差別について語れるほど強くなったんです」
と県民大会に集まった観衆に言い、大拍手をもらう。県民大会に集まった観衆は実は昔から差別があると主張してきた。つまり、昔から彼らは強かったのだ。そんな事実を無視して佐藤氏の演説は続く。

 ひとつ例を出しましょう。辺野古基金です。私も共同代表を務めさせていただいています。プライス勧告の時みんなお金が欲しかった。でも土地を売らなかったでしょう。今は辺野古を阻止する、その為のお金を集めようといったら2億円以上のお金を集められるほど沖縄は力がついているんです。我々はすでに勝っているんです。
「佐藤優演説」
 差別について語れるほど強くなった例に辺野古基金を取り上げている。変な理屈である。

プライス勧告とはなにかを知っておく必要がある。県の資料を引用する。
6月9日 プライス勧告発表、島ぐるみ闘争へ (1956年)
 1956(昭和31)年6月9日、米国下院軍事委員会特別分科委員会委員長のメルヴィン・プライスが沖縄の基地、軍用地問題に関する「プライス勧告」を発表しました。
 その内容は、沖縄基地が①制約なき核基地、②アジア各地の地域的紛争に対処する米極東戦略の拠点、③日本やフィリピンの親米政権が倒れた場合のより所、としてきわめて重要であるとし、これまでの軍用地政策を含む米軍支配のあり方を基本的に正しいと認めたものであった。

プライス勧告と島ぐるみ闘争の背景
 1950年代、朝鮮戦争の勃発や中華人民共和国の成立、米ソ冷戦時代の背景を受けて、米軍は沖縄への恒久的基地建設を本格化した。そして「銃剣とブルドーザー」に象徴されるように、強制的な土地接収が行われた。
 こうしたなか、さらに米民政府は、1954(昭和29)年3月17日、米陸軍省の「軍用地一括払い」の方針を発表した。

 一括払いは、実質的な土地買い上げ政策であった。
 これに対して琉球政府立法院は、同年4月30日に全会一致で「軍用地処理に関する請願」(議事録PDF)を可決した。
 それが後に、一括払い反対、適正補償、損害賠償、新規接収反対の「土地を守る四原則」と呼ばれた。
 その後、琉球政府行政主席の比嘉秀平ら四者協議会が土地問題折衝のため渡米し、対米交渉を行い、その要請に基づき1955(昭和30)年10月23日、米下院軍事委員会のプライス調査団が沖縄に派遣された。
 この調査団が議会に提出した報告書がいわゆるプライス勧告である。
 一括払い反対、新規接収反対などの土地を守る四原則に基づく沖縄側の要求に対し、同勧告は、軍用地料の算定に譲歩したにすぎず、主要な点は聞き入れなかったものでした。
 プライス勧告の全文が沖縄に届いた6月20日、前沖縄64紙町村のうち56市町村で一斉に市町村民大会が開かれ、多くの住民が参加した。

 1956(昭和31)年6月以降、沖縄では住民の激しい抗議活動が行われ、やがて島ぐるみ闘争へと発展した。

 四原則貫徹実践本部は、プライス勧告に反論した。
 米軍は、軍人の安全を理由にオフリミッツ(立ち入り禁止令)を発令した。米軍相手に商売を営む民間地への立ち入りを禁止することで住民側は経済的窮地に立たされた。
 しかし住民の抵抗運動はその後も続き、やがて米国側は、軍用地料の一括払いの方針を撤回し、適正価格で土地を借用するとすることで、島ぐるみ闘争を終結に導いた。
                         「沖縄県公文書」
 「プライス勧告の時みんなお金が欲しかった。でも土地を売らなかったでしょう」という佐藤氏はお金的に得するよりも、例え損しても自分たちの土地を守るために土地を売らなかったと思っているが、「土地を守る四原則」を見ればわかるようにプライス勧告に従うとお金的に莫大な損をするから反対したのだ。
問題を解決するため、アメリカ下院の調査団が沖縄を訪問したが、保革の枠を越えた全住民を巻き込んだ「島ぐるみ闘争」が拡大した。米国は民主主義国家である。独裁国家ではない。米国は一括払いを強制しないで、沖縄の代表者と交渉をした。交渉の結果、アメリカ当局は「当初評価額の約6倍の地代を支払うこと」と、「原則毎年払いで、希望者のみ10年分の先払いを認める」ことで解決が図られることになった。
島ぐるみ闘争に見られるように沖縄が「差別されて頭を低くしていた」というのは嘘である。むしろ共産党など左翼集団による激しい抵抗運動が多かった。島ぐるみ闘争は衰えていくが、原因は米軍が弾圧したからではない。米軍基地を受け入れた辺野古が空前の経済発展したからである。戦前の沖縄は農業が中心であった。土地を取られたら食べていけないという思いが強かったから米軍の土地接収に強く反発したが、辺野古の経済発展でそうではないことに気付いたのである。金武町や他の市町村も米軍を歓迎するようになる。それに軍雇用員など米軍関係の仕事が増え、沖縄の人々の生活は豊かになっていった。それが原因で島ぐるみ闘争は衰えていった。
佐藤氏は沖縄の歴史を捻じ曲げ、「私たちは差別されて頭を低くしていた」というのである。そして、辺野古基金に2億円以上のお金を集められるほどに沖縄は力がついているというのである。たった2億円を集めた程度の力は大したことはない。沖縄の歴史では2億円とは比べ物にならないくらいの勝利を何度もやっている。例えば米軍は旧具志川村の昆布の土地を接収しようとしたが反対闘争によって実現しなかった。昆布土地闘争の勝利だ。2億円を集めたくらいで我々はすでに勝っているという佐藤氏の弁には苦笑するしかない。県民大会の目的は辺野古飛行場建設を阻止することである。阻止した時が勝利である。辺野古資金が2億円以上になったから勝利したとは言えない。しかし、佐藤氏は勝利したといって調子に乗るのである。

調子に乗った佐藤氏は「あとはどういう風に勝っていくか」と言い、「自己決定権を確立して民主主義を強化して自由を強化する」と締めくくる。
日本は議会制民主主義国家であり沖縄県は日本の地方自治体である。沖縄県も市町村も地方自治体としての自治権は保証されているし、地方自治体としての自己決定権は確立している。国、県、市町村の自己決定権はそれぞれに確立しているのが議会制民主主義国家日本である。
例えば、国が辺野古に米軍飛行場をつくろうとしても県や名護市、辺野古区が反対すればつくることはできない。事実、最初は県や名護市、辺野古区は飛行場建設に反対だった。だから辺野古飛行場をつくることはできなかった。政府は飛行場をつくれるように県知事、名護市長、辺野古区と何回も交渉を重ねて三者が賛成したから辺野古飛行場建設を始めたのである。2010年の民主党政権時代に辺野古区長、島袋名護市長、仲井真知事は自己決定権によって辺野古飛行場建設に賛成したのである。
翁長知事は2010年の辺野古飛行場建設の政治的決着と2014年度の仲井真知事が公有水面埋め立て申請を承認したあとで県知事になり、辺野古飛行場建設に反対した。そして、国に辺野古飛行場建設を止めるように要求し国が断ると沖縄県に自己決定権がないと主張したが、翁長知事の要求は一度決定したことを一方的に破棄することであり自己決定権と言えるものではない。沖縄県は自己決定権はあるのだ。一方的な破棄権がないということである。
佐藤氏は、なぜか「あと、おもろそうしをもう一回読みましょう」と意味不明のことを言う。そして、「読み難いけどね。沖縄に危機が来た時、セジという特別な力が降りてくる。そして、必ず危機を切り抜けている。今も我々にはセジがついている」と言い。「ニヘーデービル。どうもありがとうございます」と演説は終わる。

セジ
霊力を意味し,村落レベルの神女でもその適格者はセジ高い女でなければならない。セジを身につけ,これを国王に奉り,兄弟をまもり,またこれで仇敵を呪詛することもした。
セジという霊力は殊更特別なものではなく、人間は誰でも多かれ少なかれセジを持ち、また自分以外のセジの影響を受けると考えられている。そして自分がコントロールできない現象は、すべてセジという目に見えない力に拠るものとする。
またこのセジは、人間の中から生まれるものというより外部から与えられるものと考えられ、例えばある日突然神がかりするユタのように、自分の好むと好まざるとにかかわらず高いセジを与えられる人もいる。

 佐藤氏の演説はニライカナイ、オボツカグラに始まりセジで終わる。政治集会であるのに霊を崇拝する話になっている。霊の世界と政治の世界を混合した佐藤氏の演説が嘘にまみれてしまうのは仕方がないことである。
 沖縄の霊界に迷い込んでしまった佐藤氏に沖縄の政治を正確に分析するのは不可能のようだ。

【沖縄の声】高江ヘリパッド反対運動は市民運動ではなく共産・社民・社大党の政治運動[桜H28/7/29]
チャンネル桜沖縄支局「沖縄の声」
2016/07/29 に公開
平成28年7月28日木曜日に放送された『沖縄の声』。本日は、キャスターの又吉康隆氏が前半「高江ヘリパッド反対運動は市民運動ではない。共産党・社民党・社大党の政治運動である」、後半のコラムコーナー”又吉康隆のこれだけは言いたい”では「自民党と対峙できる政党は民進党ではない。おおさか維新の会である」のテーマについて解説いただきます。
※ネット生放送配信:平成28年月7月28日、19:00~
出演:
   又吉 康隆(沖縄支局担当キャスター)
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