タイムスが「普天間固定化」の必然性を説明?

タイムスが「普天間固定化」の必然性を説明?

 二〇一四年七月二十三日の沖縄タイムスの社説には驚いた。なんと、「普天間固定化」の必然性を理論的に説明したのだ。
沖縄タイムス社説
「オスプレイ佐賀配備」「負担軽減は見せかけだ」

 島しょ防衛のため自衛隊の活動拠点を新たに確保するとともに、全国至る所に日米が共同使用できる基地を増やし、軍事面の一体化をさらに―自衛隊、米軍による佐賀空港利用計画は、こうした大きな流れの一環である。
            「沖縄タイムス社説」

MV22オスプレイ十七機佐賀空港配備、米海兵隊の暫定使用、陸上自衛隊目達原駐屯地のヘリ約五〇機の移駐などの計画が政府にあることを指摘している。そして、

 武田副大臣は「沖縄の負担軽減のため」でもあることを強調した。沖縄の負担軽減と言えば断りにくいだろうし、県民も国民も理解してくれるはずだと思っているだろうが。逆である。
 そもそも普天間飛行場を五年内に完全に運用停止し、暫定使用のため佐賀空港に関連施設を整備し、佐賀空港で運用したあと、辺野古に新基地が完成した段階で再び沖縄に移すという手法は、財政面でも、軍事合理性から言っても、住民感情から言っても、無理筋の話だ。
 佐賀県民や沖縄県民・名護市民の住民感情をもてあそぶような失礼極まりない提案である。
           「沖縄タイムス社説」
 この提案の本当の目的をタイムス社説は指摘する。

 なぜこの時期に、こういう常識外れの案が飛び出したのか。今年一月の名護市長選で自民党の石破幹事長は、辺野古推進候補を後押しするため、選挙期間中に唐突にに五〇〇億円の振興基金構想を打ち出した。性懲りもなくあの手法を試みているとしか思えないのだ。
           「沖縄タイムス社説」
 タイムス社説は「オスプレイ佐賀配備」は十一月の県知事選を強く意識した手法であることを鋭く指摘する。そして、

 沖縄の負担軽減のためだと本気で考えているのであれば、普天間飛行場県内移設を断念し、その機能を佐賀空港に移したほうが分かりやすい。それを佐賀県が拒否するのであれば、沖縄県内にも移設するべきではない。
           「沖縄タイムス社説」
と、普天間飛行場を沖縄県内に移設するべきではないと結論づけている。流れるような理屈であり、政府の狙いを鋭く指摘しているが、タイムス社説が結論づけたのは実は「普天間飛行場の固定化」である。驚くべき結論ではないか。

 「普天間飛行場断念」し「佐賀空港への移設」を試みる。拒否すれば「佐賀空港移設断念」をして、「県内移設も断念」するとタイムス社説は結論づけている。
佐賀空港移設を断念すればなぜ、県内移設も断念しなければならないのか意味不明であるが、タイムス社説はそう主張している。
しかし、よく考えてみると、県外移設と県内移設を断念するということは普天間飛行場は移設することができなくて固定化することになってしまう。普天間飛行場が県外移設も県内移設もできなければ固定するか閉鎖・国外撤去の方法しかないが、タイムス社説は閉鎖・撤去について追及していない。佐賀空港移設=県外移設はできないことを主張しているだけである。そして、県内移設を断念するべきと主張しているだけである。
 
 しかし、政府の構想はどっちの負担軽減にもつながらない、いびつなもの。実態は沖縄、佐賀両県に日米が共同で使用することのできる新たな基地を建設するという負担増の話だ。
          「沖縄タイムス社説」
 政府の負担軽減は見せかけであることを強調したいがために、普天間飛行場の固定化を結論付けているのが沖縄タイムス社説である。いびつな理屈である。
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